アルバムレビュー：New Edition by New Edition

アルバムレビュー

2025.03.13

発売日: 1984年8月6日
ジャンル: R&B、ポップ、ニュー・ジャック・スウィング

成熟への第一歩――アイドルから本格的R&Bグループへ
全曲レビュー
総評
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成熟への第一歩――アイドルから本格的R&Bグループへ

1984年にリリースされた『New Edition』は、グループにとって2作目のアルバムであり、ジャクソン5風のポップR&Bから脱却し、本格的なR&Bグループへと進化した作品である。前作『Candy Girl』は、プロデューサーのMaurice Starrが主導したサウンドだったが、本作からはMCAレコードへ移籍し、プロデューサーとしてMichael SembelloやRichard Rudolphらが関わることで、より洗練されたプロダクションが施されている。

シングル「Cool It Now」は全米R&Bチャートで1位を獲得し、Billboard Hot 100でも4位のヒットを記録。さらに「Mr. Telephone Man」もトップテン入りし、New Editionが単なるティーンアイドルではなく、実力派R&Bグループであることを証明した作品となった。

全曲レビュー

1. Cool It Now

本作を代表する大ヒットシングル。甘いメロディとスムーズなハーモニーが特徴で、ラップ調のブリッジも取り入れられたポップとR&Bの完璧な融合。10代の恋愛の高揚感を描いた歌詞が、青春の一瞬を切り取ったような楽曲となっている。

2. Mr. Telephone Man

Ray Parker Jr.がプロデュースした、ファンクの影響を感じるミッドテンポのR&Bソング。電話をテーマにしたユニークな歌詞と、メロディアスなコーラスが印象的な名曲。ボビー・ブラウンのリードボーカルも際立ち、グループ内での個性が強調されている。

3. I’m Leaving You Again

切ないメロディが印象的なバラード。メンバーのハーモニーの美しさが際立つ楽曲で、成長したヴォーカルパフォーマンスが聴きどころ。

4. Baby Love

タイトルからもわかるように、ジャクソン5の影響を色濃く受けた楽曲。ポップで可愛らしい雰囲気があり、前作の『Candy Girl』の延長線上にあるサウンド。

5. Delicious

ファンキーなベースラインが特徴の、ダンサブルなR&Bトラック。ボビー・ブラウンの存在感が増し、よりソウルフルなスタイルへと進化していることが感じられる。

6. My Secret (Didja Get It Yet?)

キャッチーなポップR&Bチューン。サビの繰り返しが印象的で、ダンスフロア向けの軽快なリズムが楽しい一曲。

7. Hide and Seek

80年代のポップソウルの典型的なサウンドを持つ曲で、シンセとリズミカルなビートが特徴。全体的に遊び心がある楽曲。

8. Lost in Love

アルバムの中でも特に感情的なバラード。シンプルなメロディながら、メンバーのボーカルの成長が顕著に感じられる。

9. Kinda Girls We Like

アップテンポのダンスナンバー。ポップな要素が強く、ライブで盛り上がること間違いなしのエネルギッシュな楽曲。

10. Maryann

80年代のR&Bバラードの王道を行く、メロウでロマンティックなラブソング。ピアノとスムーズなハーモニーが心地よい。

総評

『New Edition』は、彼らがティーンアイドルから本格的なR&Bグループへと進化したことを示した重要なアルバムであり、ボビー・ブラウン、ラルフ・トレスヴァント、リッキー・ベルらのヴォーカルがより洗練され、個々の個性が輝き始めた作品でもある。

「Cool It Now」や「Mr. Telephone Man」などのヒット曲は、今なお80年代R&Bの名曲として語り継がれており、グループのキャリアを決定づけるものとなった。ポップな要素を残しつつも、より本格的なR&Bへと移行し、後のニュー・ジャック・スウィング時代へと繋がる布石を打ったアルバムとも言える。

80年代のポップR&Bが好きな人、ジャクソン5やBoyz II Menのようなハーモニーを重視するボーイズグループが好きな人には、間違いなくおすすめの一枚。