発売日: 1974年10月25日
ジャンル: レゲエ
Bob Marley and the Wailersの『Natty Dread』は、Bob Marleyがバンドのフロントマンとしてさらに進化を遂げたアルバムであり、彼のキャリアにおける重要な転換点を示している。これは、オリジナルのWailersメンバーであったPeter ToshとBunny Wailerが脱退した後、Bob Marleyが新しいサウンドと方向性を追求した最初のアルバムである。
アルバムは、社会的メッセージ、ラスタファリ運動への賛同、そして愛や希望といった普遍的なテーマを巧みに融合している。音楽的には、ジャマイカのルーツレゲエと新しいアプローチを取り入れた洗練されたプロダクションが特徴。バックコーラスにはI Threes（Rita Marley、Judy Mowatt、Marcia Griffiths）が参加し、楽曲に深みと力強さを加えている。
トラック解説
1. Lively Up Yourself
アルバムのオープニングを飾る陽気でエネルギッシュなトラック。軽快なリズムとBob Marleyの親しみやすいボーカルが、楽曲全体を楽しい雰囲気で包み込む。
2. No Woman, No Cry
Bob Marleyの最も愛される楽曲の一つで、思い出と希望を描いた感動的なナンバー。暖かみのあるアレンジと、感情を揺さぶる歌詞が特徴で、ライブバージョンは特に有名。
3. Them Belly Full (But We Hungry)
社会的不公平をテーマにした楽曲で、飢餓や貧困を鋭く描写している。重厚なベースラインと力強いリズムが楽曲のメッセージを支える。
4. Rebel Music (3 O’Clock Roadblock)
警察の取り締まりや抑圧への抗議を描いたトラック。抗議の精神がリリックとサウンドに込められている。
5. So Jah Seh
ラスタファリ運動のスピリチュアルなテーマを歌った楽曲。ゆったりとしたリズムとBob Marleyの誠実なボーカルが調和している。
6. Natty Dread
アルバムタイトル曲で、ラスタファリズムを称賛するアンセム。楽曲全体に誇りと自信が溢れている。
7. Bend Down Low
ロマンチックな一面を描いた軽快なナンバー。楽しいリズムと愛をテーマにした歌詞がリラックスした雰囲気を作り出している。
8. Talkin’ Blues
不安定な生活や現実の苦悩を冷静に描いた楽曲。ブルースの影響を受けたメロディが特徴的で、歌詞の深みが心に響く。
9. Revolution
アルバムの締めくくりを飾る力強い楽曲で、変革の必要性を訴えるメッセージが込められている。インパクトのあるリフが楽曲のテーマを強調している。
アルバム総評
『Natty Dread』は、Bob Marleyのアーティストとしての成長とラスタファリ運動へのコミットメントを示したアルバムである。政治的でスピリチュアルなテーマが貫かれており、彼の音楽が単なるエンターテイメントを超えてメッセージ性を持つ文化的な現象であることを明確に示している。「No Woman, No Cry」や「Rebel Music」といった楽曲は、レゲエの枠を超えた普遍的な魅力を持ち、多くのリスナーに深い影響を与えている。本作は、Bob Marleyが世界的な象徴となる道を切り開いた重要な一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
1. Rastaman Vibration by Bob Marley and the Wailers
社会的メッセージが強いアルバムで、『Natty Dread』の続編ともいえる内容。
2. Exodus by Bob Marley and the Wailers
スピリチュアルで希望に満ちたテーマを描いた傑作。より洗練されたサウンドが楽しめる。
3. Survival by Bob Marley and the Wailers
アフリカの解放と連帯をテーマにしたアルバムで、『Natty Dread』のメッセージ性と響き合う。
4. Legalize It by Peter Tosh
ラスタファリ運動の象徴的なテーマを扱ったPeter Toshのソロアルバムで、共通するスピリチュアルな雰囲気を感じられる。
5. Heart of the Congos by The Congos
スピリチュアルなルーツレゲエの傑作で、『Natty Dread』と同様に深いテーマを持つ。
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