
1. 歌詞の概要
“Nasty” は、Janet Jackson が1986年にリリースしたアルバム “Control” に収録された楽曲で、彼女のキャリアの中でも特に力強いメッセージを持つファンク&R&Bナンバーです。
この曲は、女性の自己主張と独立心をテーマにした楽曲 であり、Janet Jackson が 「ナスティー(下品)な男たち」 に対して毅然とした態度を取る様子が描かれています。歌詞の中では、女性が男性からの軽薄なナンパや無礼な態度を拒絶し、自分を尊重してくれる相手を求める という強い意志が表現されています。
タイトルの “Nasty” は、「下品な」「無礼な」 という意味を持ち、Janet はこの曲で「自分にふさわしくない男性とは付き合わない」というメッセージを力強く発信しています。
サウンド面では、当時の最先端であった ニュージャック・スウィングとエレクトロファンクの要素 を取り入れ、鋭いビートとエネルギッシュなリズム が特徴となっています。
2. 歌詞のバックグラウンド
“Nasty” は、Janet Jackson のキャリアにとって極めて重要なターニングポイント となった楽曲のひとつです。
この曲が収録されたアルバム “Control” は、Janet Jackson が 父親(ジョー・ジャクソン)や音楽業界のコントロールから抜け出し、自分自身のアーティストとしての独立を確立した作品 でした。
当時、彼女は プロデューサーの Jimmy Jam & Terry Lewis と組み、それまでのポップ寄りの路線から、より強いビートとダンサブルなR&Bサウンドへとシフト しました。その結果、“Nasty” のような楽曲が生まれ、彼女のアーティスト像が「従順なアイドル」から「自立した女性」へと大きく変化 しました。
また、この曲は Janet Jackson 自身が 実際に経験した出来事 にインスパイアされて作られました。彼女はある日、ミネアポリスの街を歩いている時に 無礼で攻撃的な男性たちに絡まれた ことがあり、その経験がこの楽曲のアイデアにつながりました。この出来事をきっかけに、彼女は「私はナスティーな男たちが嫌い!」というメッセージを込めた曲を作ることを決意しました。
3. 歌詞の抜粋と和訳
原詞(抜粋)
Gimme a beat!
Sittin’ in the movie show
Thinkin’ nasty thoughts
Better be a gentleman
Or you’ll turn me off
和訳
ビートをちょうだい!
映画館で座っていたら
下品なことばかり考えている男がいた
もっと紳士でいてくれないと
私は興味を失ってしまうわ
原詞(抜粋)
No, my first name ain’t baby
It’s Janet, Miss Jackson if you’re nasty
和訳
いいえ、私の名前は「ベイビー」じゃない
「ジャネット」よ、でも「ミス・ジャクソン」と呼んでくれるなら別だけど
歌詞の全文はこちら
4. 歌詞の考察
この曲の歌詞は、女性が男性に対して毅然とした態度を取ることの大切さ をテーマにしています。
- 「Better be a gentleman or you’ll turn me off」(もっと紳士でいてくれないと、私は興味を失ってしまうわ)
→ これは、軽薄なナンパや失礼な態度の男性に対して、「もっと礼儀正しく接してほしい」というメッセージを伝えています。 - 「No, my first name ain’t baby」(いいえ、私の名前は「ベイビー」じゃない)
→ 女性を名前ではなく「ベイビー」や「ハニー」と呼ぶ男性に対して、「私は個人としてのアイデンティティを持っている」という強い意思を表現しています。 - 「It’s Janet, Miss Jackson if you’re nasty」(「ジャネット」よ、でも「ミス・ジャクソン」と呼んでくれるなら別だけど)
→ このフレーズは、彼女の最も有名なラインのひとつであり、後に多くのアーティストやカルチャーで引用されることになります。「Miss Jackson」と呼ばれることで、彼女が男性に対して一歩距離を置き、リスペクトを求める姿勢が表れています。
この曲は、1980年代後半から1990年代にかけての フェミニズムの潮流ともリンクし、「自立した女性」というメッセージを強く打ち出した楽曲 となりました。
5. この曲が好きな人におすすめの曲
- “Control” by Janet Jackson – 自立した女性としての決意を歌った楽曲
- “Respect” by Aretha Franklin – 男性に対して敬意を求める名曲
- “Independent Women, Pt.1” by Destiny’s Child – 女性の自立をテーマにしたR&Bクラシック
- “Dirrty” by Christina Aguilera – パワフルなビートとセクシーなメッセージ
- “Womanizer” by Britney Spears – 遊び人の男性に対する警告ソング
6. Janet Jackson の音楽における本楽曲の位置付け
“Nasty” は、Janet Jackson のキャリアにおいて**「自立した女性アーティスト」としてのイメージを確立した楽曲** であり、彼女のフェミニズム的なメッセージが最も強く表れた作品のひとつ です。
この楽曲を収録したアルバム “Control” は、彼女が家族の影響から独立し、自分自身の音楽を確立した作品 であり、このアルバムをきっかけに彼女はスーパースターの地位を確立しました。
また、“Nasty” は、後の ガールズパワー・ムーブメントや女性アーティストのセルフエンパワーメントをテーマにした楽曲 にも影響を与え、多くのアーティストが彼女のスタイルを参考にするようになりました。
結論
“Nasty” は、Janet Jackson の音楽の中でも最も力強くフェミニズムを打ち出した楽曲 であり、1980年代のポップミュージックにおける女性アーティストの地位を大きく押し上げた作品 です。
強いビート、鋭いメッセージ、そして彼女の圧倒的なパフォーマンスが組み合わさることで、今なお多くのリスナーに影響を与え続ける名曲です。
コメント