発売日: 1975年12月15日
ジャンル: ファンク、Pファンク
Mothership Connectionは、ジョージ・クリントン率いるParliamentが1975年にリリースしたアルバムであり、Pファンクムーブメントを決定づけた作品として広く評価されている。ファンクとサイケデリックの要素が融合し、宇宙と未来をテーマにしたこのアルバムは、音楽的にもビジュアル的にも革新的であり、ファンクの枠を超えた影響力を持つ名盤だ。クリントンのユニークなビジョンにより、「宇宙船」をコンセプトにしたこのアルバムは、単なる音楽を超えて、一種の文化現象となった。特に「Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)」や「Mothership Connection (Star Child)」は、ファンクのクラシックとして今も愛されている。
各曲ごとの解説:
- P. Funk (Wants to Get Funked Up)
アルバムのオープニングを飾るファンキーなトラックで、Parliamentの象徴ともいえるPファンクサウンドが炸裂する。ジョージ・クリントンの語り口調のボーカルと、リラックスしたグルーヴが特徴的。ファンキーなベースラインとホーンセクションが、まさに「宇宙規模のファンク」を表現している。 - Mothership Connection (Star Child)
このアルバムの中心的な楽曲であり、Parliamentの象徴的な宇宙船「Mothership」の到来を祝うかのような壮大なトラック。クリントンが「Star Child」としてのキャラクターを演じ、リスナーをPファンクの宇宙へと誘う。ホーンとベースが際立ち、サイケデリックな要素とグルーヴィーなリズムが融合している。 - Unfunky UFO
アップテンポでリズミカルなトラック。クリントンは「Unfunky UFO」という架空の存在を通じて、ファンクに満ちた理想の世界と対照的な、ファンクを知らない人々を描いている。ベースラインが特に強力で、全体のグルーヴをリードしている。 - Supergroovalisticprosifunkstication
長いタイトルが示すように、このトラックはParliament特有の複雑で多彩なサウンドを展開する。ホーンとベースが絡み合い、グルーヴが止まらないエネルギッシュな一曲で、リズムセクションがとにかく強力。歌詞はあまりないが、音楽自体がメッセージを伝えている。 - Handcuffs
ミディアムテンポのファンクナンバーで、恋愛や束縛をテーマにした歌詞が特徴。ジョージ・クリントンの独特のユーモアとシリアスなテーマが交錯し、キャッチーなメロディとリズムが耳に残る一曲。 - Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)
このアルバムの中でも特に有名なクラシックで、ファンクミュージックの代名詞的な曲。パワフルなベースラインとコーラスが繰り返される構成が中毒性を生み出し、ダンスフロアで絶大な人気を誇る。Parliamentのファンクサウンドの完成形ともいえる楽曲で、何度もリフレインされる「Tear the Roof off the Sucker」というフレーズが印象的。 - Night of the Thumpasorus Peoples
アルバムのクロージングを飾る楽曲で、再び宇宙的なテーマが展開される。サイケデリックなギターとグルーヴィーなベースが絡み合い、エネルギッシュでありながらも不思議な空間を作り出している。ファンクの未来を示唆するかのような壮大なサウンドで、アルバム全体を締めくくるにふさわしい一曲だ。
アルバム総評:
Mothership Connectionは、ParliamentがPファンクの旗を高く掲げ、ファンクミュージックを新たな次元へと押し上げたアルバムである。ジョージ・クリントンの独創的なビジョンと、ファンキーなリズムセクション、ホーンセクションが見事に融合し、ファンクとサイケデリックの境界を超えたサウンドを作り上げている。特に「Give Up the Funk (Tear the Roof off the Sucker)」や「Mothership Connection (Star Child)」は、今もなおダンスフロアや音楽シーンで語り継がれる楽曲だ。
このアルバムは、単なる音楽作品に留まらず、ファンクの精神と文化を象徴する一大ムーブメントを巻き起こした。Pファンクというジャンル自体が、このアルバムで確立され、以降のファンク、ヒップホップ、R&B、さらにはエレクトロニックミュージックにまで影響を与えた。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- One Nation Under a Groove by Funkadelic
同じくジョージ・クリントン率いるFunkadelicの名作。ファンクとサイケデリックロックが融合し、Parliamentのサウンドをさらに進化させた一枚。 - Standing on the Verge of Getting It On by Funkadelic
ロックとファンクを大胆に融合させたアルバム。ギターリフとファンキーなベースが絡み合い、ParliamentのPファンクサウンドをよりハードにした印象。 - Fresh by Sly & The Family Stone
ファンクとソウルが進化した名盤。Parliamentのファンクサウンドと共鳴する要素が多く、Sly & The Family Stoneの革新性が感じられる。 - Can’t Stop Won’t Stop by Curtis Mayfield
ファンクとソウルの巨匠カーティス・メイフィールドのアルバム。メッセージ性の強い歌詞とグルーヴィーなサウンドが特徴で、Pファンク好きにおすすめ。 - The Payback by James Brown
ファンクのゴッドファーザー、ジェームス・ブラウンの代表作。強力なリズムとリーダーシップが光る一枚で、Parliamentのファンクサウンドのルーツともいえる。
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