- 発売日: 1980年4月14日
- ジャンル: ヘヴィメタル
Iron Maidenは、同名のバンドIron Maidenが1980年にリリースしたデビューアルバムで、ヘヴィメタルの新たな時代の幕開けを告げた重要な作品である。1970年代後半に芽生えた「ニュー・ウェイヴ・オブ・ブリティッシュ・ヘヴィメタル（NWOBHM）」ムーブメントの一翼を担うこととなったこのアルバムは、スピード感のあるリフと、メタルの激しさとメロディの美しさを兼ね備えたサウンドで、後のヘヴィメタルシーンに多大な影響を与えた。
ボーカルを担当するポール・ディアノの荒々しい歌声や、スティーヴ・ハリスによる重厚なベースライン、デイヴ・マーレイとデニス・ストラットンのツインギターが、ヘヴィでありながらもダイナミックな音楽を展開している。Iron Maidenは、彼らのシグネチャーである複雑な楽曲構成とスリリングなリフがすでに形作られており、後の作品への布石が感じられる。また、アルバムのジャケットには後にバンドの象徴となるマスコット「エディ」が初登場しており、視覚面からも強烈なインパクトを残している。
トラック解説
1. Prowler
アルバムのオープニングを飾る、エネルギッシュで攻撃的なトラック。ハリスのベースラインが楽曲全体をリードし、ディアノの荒々しいボーカルがダークな雰囲気を引き立てている。サビのキャッチーさと、スピーディな展開がIron Maidenの魅力を端的に表現している。
2. Remember Tomorrow
ヘヴィでメロウなイントロから、徐々にエネルギーを高めるミドルテンポの曲。静と動のコントラストが効いており、メロディアスな部分と激しいリフが織り交ざっている。ディアノのエモーショナルなボーカルが印象的で、バンドの多面的な才能が感じられる一曲。
3. Running Free
シングルとしてリリースされたキャッチーなナンバーで、バンドの持つパンク的なエネルギーが溢れる一曲。観客とのコール＆レスポンスがライブでも盛り上がる定番曲で、シンプルなリフとエネルギッシュなドラムが疾走感を生み出している。
4. Phantom of the Opera
アルバム中でも最も複雑で壮大なトラック。クラシカルなリフとメロディ、スピーディな展開、そしてドラマチックな構成が特徴的で、後のIron Maidenのプログレッシブな楽曲スタイルの原型が感じられる。展開の多彩さが聴きごたえを与え、バンドの代表曲としても知られる。
5. Transylvania
インストゥルメンタルのトラックで、スピーディでエッジの効いたリフが印象的。デイヴ・マーレイとデニス・ストラットンのギターが繰り広げるツインリードが見事に調和し、バンドの高度な演奏力を示している。エネルギッシュで展開の多い楽曲構成が聴きどころ。
6. Strange World
静かな雰囲気と、サイケデリックな要素を含んだ幻想的なトラック。ミッドテンポのメロウなメロディが、アルバム全体に緩急をつけており、ハードな楽曲が続く中で異彩を放っている。ディアノのボーカルが繊細で感情的な表現を見せ、バンドの幅広い音楽性が感じられる。
7. Charlotte the Harlot
ストレートなロックンロールのテイストが強いトラックで、キャッチーなリフが耳に残る。歌詞には娼婦をテーマにした物語が描かれており、ポール・ディアノの力強いボーカルとリフが楽曲の雰囲気を引き立てている。疾走感があり、ライブでも盛り上がる一曲。
8. Iron Maiden
アルバムのタイトル曲であり、ライブのラストを飾る定番曲。シンプルなリフと強烈なエネルギーが炸裂する、バンドのアンセムとも言えるトラックである。ハリスのヘヴィなベースラインが楽曲を引っ張り、バンドの原点であるシンプルでパワフルなヘヴィメタルが詰まっている。
アルバム総評
Iron Maidenは、ヘヴィメタルの基盤を築き、NWOBHMムーブメントの象徴となった重要なデビュー作である。バンドの荒々しいエネルギーとスリリングな演奏が詰まったこのアルバムは、ポール・ディアノのパンク的なボーカルと、スティーヴ・ハリスのダイナミックなベースライン、そしてツインギターの構成によってヘヴィメタルの新たなスタンダードを確立した。リフの構成力やドラマチックな展開、エネルギッシュな演奏は、後に続く作品群にも引き継がれていくIron Maidenのスタイルの原点が詰まっている。
このアルバムは、ダークで緊迫感のあるトラックと、パワフルでスピーディなサウンドが見事に融合しており、聴き手を圧倒する力を持つ。Iron Maidenの入門編としても最適で、80年代のヘヴィメタルの歴史を語る上で欠かせない名盤である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Killers by Iron Maiden
2枚目のアルバムで、より磨きのかかったサウンドとポール・ディアノのボーカルが聴ける。Iron Maidenの続編とも言えるヘヴィメタルファン必聴の作品。 - British Steel by Judas Priest
ヘヴィメタルの代表作で、シンプルでパワフルなリフが特徴。Iron Maidenと同じくNWOBHMの一翼を担ったアルバム。 - Wheels of Steel by Saxon
NWOBHMムーブメントのもう一つの代表作。荒々しいエネルギーとキャッチーなメロディが楽しめる。 - Heaven and Hell by Black Sabbath
ヘヴィメタルの黎明期を築いたBlack Sabbathの名作。Dioのボーカルが加わり、Iron Maidenにも影響を与えたと言われる作品。 - Ace of Spades by Motörhead
パンクとヘヴィメタルの要素を融合させたエネルギッシュな一枚。スピーディでアグレッシブなサウンドがIron Maidenのファンにも刺さる。
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