発売日: 2017年5月5日
ジャンル: ポストハードコア、オルタナティブロック
in•ter a•li•aは、At the Drive-Inが17年のブランクを経てリリースした4作目のスタジオアルバムである。前作Relationship of Command（2000年）以来となるこのアルバムは、バンドが再結成後に復活した意欲作だ。バンドはこの作品で、かつての激しさとエネルギーを取り戻しつつ、より緻密でテクニカルな演奏を披露している。ギタリストのジム・ウォードが不参加という点で異なる側面もあるが、バンドの象徴的なサウンドは健在。セドリック・ビクスラー＝ザヴァラの力強いボーカル、オマー・ロドリゲス＝ロペスの独特なギターワークが中心となり、エモーショナルな表現と複雑な楽曲構成が展開される。
各曲ごとの解説:
- No Wolf Like the Present
アルバムのオープニングを飾るこの曲は、緊張感のあるギターリフと怒涛のリズムで開始される。セドリックのシャープなボーカルが曲全体を支配し、バンドの復活を強烈に印象づける。バンドのエネルギーは健在で、リスナーを一気に引き込むトラックだ。 - Continuum
ダークな雰囲気を持つこの曲は、重厚なギターリフとリズムセクションが特徴。セドリックのボーカルは、焦燥感を感じさせるパフォーマンスで、リスナーに強いインパクトを与える。歌詞は抽象的で謎めいており、曲全体の不穏な雰囲気とマッチしている。 - Tilting at the Univendor
リズミカルなギターと複雑なビートが印象的なこの曲は、バンドのテクニカルな一面が際立つトラック。ポストハードコア特有の緊張感が全体を支配し、感情の起伏が激しい。セドリックのボーカルがますますエモーショナルになり、曲に深みを加えている。 - Governed by Contagions
アルバムのリードシングルで、エネルギッシュでキャッチーな要素が強い一曲。強烈なギターリフとリズムの変化が織りなすこの曲は、At the Drive-Inの象徴とも言えるサウンドだ。セドリックの切迫感のあるボーカルとオマーのギターリフが曲を引っ張る。 - Pendulum in a Peasant Dress
アップテンポでアグレッシブなギターリフが特徴のトラック。ポストハードコアとオルタナティブロックの要素が見事に融合しており、曲全体に勢いとスピード感がある。セドリックのボーカルが情熱的に響き、バンドの勢いが感じられる。 - Incurably Innocent
歌詞には人権や政治的テーマが含まれており、バンドの社会的メッセージが込められた楽曲。ギターリフはキャッチーでありながらも緊張感があり、ドラムとベースのリズムがタイトに絡み合う。エモーショナルな表現が際立ち、力強いメッセージが印象に残る。 - Call Broken Arrow
ややダークなトーンで、メロディックなギターリフが特徴的なトラック。曲全体にわたって感情の高まりと静けさの対比があり、セドリックのボーカルも静と動を行き来する。エネルギッシュながらも、抑制された感情が漂う独特な一曲だ。 - Holtzclaw
激しいギターリフとドラムの疾走感が際立つトラックで、アルバムの中でも特にスピード感が強い一曲。セドリックのボーカルはますますアグレッシブになり、リズムセクションの攻撃的な演奏が曲全体を引っ張っている。 - Torrentially Cutshaw
不規則なリズムとメロディックなギターが混ざり合った複雑な楽曲。ポストハードコアの持つ実験的な要素が色濃く表れており、バンドのテクニカルな演奏力が光る。リズムの変化と感情の起伏がリスナーを引き込む。 - Ghost-Tape No. 9
このトラックは、重厚なサウンドスケープとセドリックの叙情的なボーカルが特徴。ダークなトーンが全体に漂い、社会的メッセージや内省的な歌詞が織り交ぜられている。ギターリフは不穏さを感じさせ、曲に独特の雰囲気を与えている。 - Hostage Stamps
アルバムのラストを飾るこの曲は、激しくエネルギッシュなギターリフと複雑なリズムが印象的。バンドの持つ攻撃性とメッセージ性が詰め込まれたトラックで、セドリックのシャウトが曲全体を支配し、アルバムを強烈なエンディングへと導いている。
アルバム総評:
in•ter a•li•aは、At the Drive-Inの復活を象徴する作品であり、彼らの音楽的なエネルギーが衰えていないことを証明するアルバムだ。激しいギターリフ、緊張感のあるリズム、そしてセドリック・ビクスラー＝ザヴァラのエモーショナルなボーカルがアルバム全体を通して繰り広げられ、彼らの持つ攻撃性と感情の深さが見事に表現されている。17年のブランクを感じさせない演奏力と、ポストハードコアの持つ実験性が絶妙に融合しており、バンドの持つメッセージ性も強く打ち出されている。特に「Governed by Contagions」や「Hostage Stamps」などのトラックは、バンドの持つエネルギーとメロディセンスが光る。At the Drive-Inのファンにとって、待望の復活アルバムとして高く評価されるべき作品だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Worship and Tribute by Glassjaw
エモとポストハードコアの要素が融合した名作で、感情的な深みとテクニカルな演奏が光る。in•ter a•li•aのファンにも響く一枚。 - The Shape of Punk to Come by Refused
ポストハードコアの金字塔とも言えるアルバムで、激しさと実験性が絶妙に融合。in•ter a•li•aのファンにとっても必聴の作品。 - De-Loused in the Comatorium by The Mars Volta
セドリック・ビクスラー＝ザヴァラとオマー・ロドリゲス＝ロペスによるプログレッシブロックの名作。テクニカルな演奏と複雑な構成が楽しめる。 - We Are the Romans by Botch
ポストハードコアとメタルコアを融合させた激しい作品。重厚なギターリフと複雑なリズムが特徴で、テクニカルな演奏が好きなリスナーにおすすめ。 - Hot Damn! by Every Time I Die
メタルコアとポストハードコアのエッセンスが詰まった作品で、攻撃的なギターリフとキャッチーな要素が楽しめる。in•ter a•li•aの持つエネルギーに共鳴する一枚。
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