アルバムレビュー:Hysteria by Def Leppard
発売日: 1987年8月3日
ジャンル: ハードロック、グラムメタル
『Hysteria』は、Def Leppardにとって最大の成功を収めたアルバムであり、1980年代のハードロックを代表する作品だ。ロバート・ジョン・”マット”・ランジの綿密なプロダクションのもと、緻密に構築されたサウンドと多層的なボーカルハーモニーが特徴。このアルバムは7つのシングルヒットを生み出し、全世界で2,000万枚以上のセールスを記録。ハードロックの重厚さとポップのキャッチーさを兼ね備えたサウンドが、幅広いリスナーに受け入れられた。
各曲ごとの解説:
- Women
アルバムの冒頭を飾るこのトラックは、ゆっくりとしたイントロから力強いリフへと展開する。歌詞は女性をテーマにしており、エネルギッシュなサウンドがバンドのハードロックらしい側面を強調している。 - Rocket
リズミカルでエコーの効いたドラムサウンドが特徴の一曲。スペーステーマを取り入れた歌詞が印象的で、シンセサイザーがバックに控えつつ、ギターリフとドラムがメインを引っ張るユニークな構成になっている。 - Animal
アルバムの代表的なシングルで、メロディアスなギターワークとキャッチーなサビが特徴。歌詞は情熱的なラブソングで、バンドのポップな側面を存分に引き出している。Def Leppardの真骨頂とも言えるバランスの取れた一曲だ。 - Love Bites
バラード調のロックナンバーで、アルバムの中でも異彩を放つ存在。メランコリックな歌詞と、叙情的なギターソロが感情を揺さぶる。ランジのプロダクションが際立ち、ボーカルハーモニーが美しく響く名曲である。 - Pour Some Sugar on Me
アルバム最大のヒット曲で、ライブでも定番のパフォーマンスナンバー。セクシュアルなメタファーが満載の歌詞と、ダンサブルなリズムが融合した、80年代を象徴するハードロックアンセムだ。特にサビ部分の「Pour some sugar on me!」は多くのリスナーにとって忘れがたいフックである。 - Armageddon It
軽快なリズムに乗せたロックンロールスタイルの楽曲。エッジの効いたギターリフと明るいサビが印象的で、ライブ感溢れるエネルギッシュなパフォーマンスが想起される。 - Gods of War
政治的なメッセージを持つ楽曲で、核兵器や戦争に対する反戦の意志が表現されている。ギターリフは壮大で、叙事詩的なサウンドスケープが広がり、深みのあるサウンドプロダクションが際立っている。 - Don’t Shoot Shotgun
パワフルでアップテンポな楽曲。ギターリフが前面に押し出され、バンドのエネルギッシュな一面が強調されている。歌詞はシンプルで、スピード感と力強さが特徴。 - Run Riot
速いテンポとエネルギッシュなボーカルが特徴の一曲。勢いのあるギターソロとリズムが、若者の反抗心や自由をテーマにした歌詞と合わさって、アルバムの中でも特に激しい楽曲となっている。 - Hysteria
アルバムのタイトルトラックで、スローで情緒的なラブソング。美しいメロディラインと控えめなギターが、感情の起伏を表現している。ボーカルのハーモニーが重厚で、ロマンティックな雰囲気を作り出している。 - Excitable
パーティー感溢れる明るい楽曲で、シンセサイザーのサウンドがフィーチャーされている。リズムセクションが強く、ダンサブルな一面を持つ楽しいナンバーだ。 - Love and Affection
アルバムを締めくくるバラードで、ポジティブなメッセージを持つ楽曲。感情的なボーカルとメロディアスなギターが調和し、余韻の残るエンディングを提供している。
アルバム総評:
『Hysteria』は、Def Leppardの音楽性のピークを象徴するアルバムであり、ハードロックの重厚さとポップのキャッチーさが見事に融合している。ロバート・ジョン・”マット”・ランジのプロデュースにより、サウンドは緻密に作り上げられており、ギターリフ、ドラム、そして多層的なボーカルハーモニーが複雑に絡み合う。また、シングルのヒット曲「Pour Some Sugar on Me」や「Love Bites」など、アルバム全体にわたって高いクオリティを維持しつつ、多様なサウンドを提供している。1980年代のロックシーンを代表する一枚として、今なお色褪せることのない影響力を持っている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Slippery When Wet by Bon Jovi
ポップでキャッチーなハードロックのサウンドが、Def Leppardの『Hysteria』と共通している。特に「Livin’ on a Prayer」などのヒット曲が満載で、同じ80年代のロックファンにはたまらない一枚。 - 1987 by Whitesnake
ハードロックとバラードが融合したこのアルバムは、Def Leppardのファンにとっても魅力的。特に「Here I Go Again」のようなエモーショナルなナンバーが、『Hysteria』の「Love Bites」などと通じる。 - Pyromania by Def Leppard
『Hysteria』の前作で、同じくロバート・ジョン・”マット”・ランジがプロデュース。より生々しいロックサウンドが特徴で、Def Leppardの進化を感じさせる作品だ。 - Appetite for Destruction by Guns N’ Roses
1980年代後半を象徴するハードロックアルバム。『Hysteria』よりも荒々しいが、キャッチーさとエネルギーのバランスが優れており、ハードロックファンには必見の一枚。 - Back in Black by AC/DC
重厚なリフとパンチの効いたリズムが特徴のハードロック名盤。ロバート・ジョン・”マット”・ランジが手がけたプロダクションのクオリティも高く、シンプルでありながら強力なサウンドが、Def Leppardのファンにも刺さるだろう。
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