発売日: 2018年6月29日
ジャンル: インディーロック、アートポップ
Florence + The Machineの4作目となるアルバムHigh As Hopeは、バンドのこれまでのドラマチックで壮大なサウンドとは一線を画し、より内省的でミニマルなアプローチを採用した作品だ。Florence Welchの感情的なボーカルは健在ながら、楽曲のアレンジはシンプルで親密な雰囲気を醸し出している。
このアルバムでは、愛、孤独、家族、希望といったテーマを扱い、Florence Welchがこれまでのアルバム以上に個人的な感情や体験を歌詞に込めている。プロデューサーにはWelch自身とEmile Haynieが参加し、クラシックなインディーロックの要素に洗練されたモダンな感覚が加わった、バンドの新たな方向性を示す作品となっている。
各曲ごとの解説
1. June
静かで詩的なイントロダクションから始まるトラック。愛と希望をテーマにした歌詞が、徐々に盛り上がるアレンジと共に壮大なスケール感を作り出している。
2. Hunger
アルバムのリードシングルで、自己探求や孤独をテーマにした楽曲。明るいメロディと対照的に、歌詞は深い内面を掘り下げており、キャッチーでありながらも心に残る一曲。
3. South London Forever
ノスタルジックな歌詞が印象的な楽曲で、青春時代の記憶と大人になった視点の交錯を描いている。ピアノとストリングスが楽曲に温かさを加えている。
4. Big God
ミニマルなアレンジと重厚なボーカルが際立つトラック。欲望と執着をテーマにしており、歌詞とサウンドの緊張感が印象的だ。ジャズの影響が色濃く感じられる一曲。
5. Sky Full of Song
アルバムの中でも特に控えめなトラックで、抑えたアレンジがWelchの繊細なボーカルを引き立てている。自由と孤独をテーマにした詩的な歌詞が心に響く。
6. Grace
母親や家族に向けた感謝と謝罪の気持ちを歌った感動的なバラード。ピアノとストリングスが、歌詞の持つ感情的な重みを美しく支えている。
7. Patricia
パティ・スミスへのオマージュとして書かれた楽曲。エネルギッシュなビートとWelchの情熱的なボーカルが、彼女への敬意を感じさせる。
8. 100 Years
ゆっくりと展開するトラックで、広がりのあるサウンドスケープが特徴的。希望と喪失をテーマにした歌詞が、ミニマルなアレンジとともに深い感動を与える。
9. The End of Love
切なさが漂うバラードで、愛と別れをテーマにした歌詞が印象的。繊細なアレンジがWelchの感情的なボーカルを際立たせている。
10. No Choir
アルバムのラストを飾る控えめなトラック。静寂の中に希望が感じられる歌詞と、シンプルなアレンジが余韻を残す。
フリーテーマ:シンプルさの中に宿る深い感情
High As Hopeは、Florence Welchのこれまでの壮大なアプローチから脱却し、内省的で親密な音楽へとシフトしたアルバムだ。そのシンプルなアレンジの中には、彼女の心の内面をさらけ出すような歌詞と感情が詰まっており、聴き手に深い共感を与える。家族や自分自身との向き合い、希望を見出す過程が、美しい楽曲を通して丁寧に描かれている。
アルバム総評
High As Hopeは、Florence Welchがアーティストとして新たな段階に進んだことを示す作品だ。壮大さを抑え、よりミニマルで個人的な楽曲が中心となったこのアルバムは、彼女の歌詞やボーカルが一層際立つ仕上がりとなっている。特に「Hunger」や「Grace」、「Big God」などの楽曲は、彼女の内面と向き合う誠実な姿勢が伝わる感動的な一枚として、多くのリスナーの心をつかむだろう。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
How Big, How Blue, How Beautiful by Florence + The Machine
ドラマチックなサウンドと個人的なテーマが共通する前作。
For Emma, Forever Ago by Bon Iver
内省的な歌詞とシンプルなアレンジが共通する名作。
Carrie & Lowell by Sufjan Stevens
家族や自己探求をテーマにした親密なアルバム。
A Moon Shaped Pool by Radiohead
繊細なアレンジと感情的な歌詞が共通する作品。
The Idler Wheel… by Fiona Apple
内面の葛藤を描いたシンプルで力強い楽曲が詰まったアルバム。
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