アルバムレビュー：GUTS by Olivia Rodrigo

発売日: 2023年9月8日
ジャンル: ポップロック, オルタナティブロック, ポップパンク

Olivia Rodrigoの2枚目のアルバム『GUTS』は、彼女の成長と自己探求をテーマにした作品で、前作『SOUR』の成功を受け、さらに感情的で複雑な歌詞を披露している。アルバム全体を通して、若者としての不安や自己疑念、そして愛や社会の期待に対する葛藤が描かれており、ポップロックやオルタナティブロックの影響を受けたサウンドが特徴的だ。Rodrigoはこのアルバムで、自らの感情や失敗、混乱を大胆に表現し、リスナーに対して自身の「本音」を吐露している。

トラックリスト (全12曲):

1. All-American Bitch
   　社会の期待や美の基準に苦しむ女性の姿を描いた曲。強烈なギターリフとともに、怒りとユーモアを交えた歌詞が印象的。
2. Bad Idea Right?
   　元恋人と再び会うことに対する葛藤を描くポップパンクナンバー。軽快なビートが、悩みながらも誘惑に負ける感情を引き立てている。
3. Vampire
   　アルバムのリードシングルで、信頼を裏切られた恋愛をテーマにした感情的なバラード。ピアノとロックが融合した壮大なサウンドが特徴。
4. Lacy
   　嫉妬と自己嫌悪が交差する内面的な葛藤を描いた曲。軽やかなボーカルとともに、繊細なリリックが心に残る。
5. Ballad of a Homeschooled Girl
   　社会的な不安やぎこちなさを歌うエネルギッシュなロック曲。失敗や誤解に悩む青春時代の困難がテーマ。
6. Making the Bed
   　自己批判と成功に対する不満を歌うメランコリックなバラード。ピアノとシンセが美しく調和し、内省的なトーンが漂う。
7. Logical
   　非現実的な恋愛の期待と失望を描く感情的な曲。ピアノを中心としたメロディに、Rodrigoの繊細なボーカルが乗る。
8. Get Him Back!
   　復讐と愛の間で揺れる感情をユーモラスに描いたポップロックトラック。コーラスでの力強いボーカルが印象的。
9. Love Is Embarrassing
   　恋愛の恥ずかしさや失敗を軽快なトーンで歌った曲。キャッチーなメロディとユーモアに富んだ歌詞が魅力。
10. The Grudge
    　深い傷を負った関係に対する怒りと許しの困難をテーマにしたバラード。感情豊かな歌詞が強く響く。
11. Pretty Isn’t Pretty
    　美に対する社会のプレッシャーをテーマにした曲。シューゲイズ風のサウンドが、歌詞のもつメッセージを強調している。
12. Teenage Dream
    　若者としての夢と現実の狭間で揺れる感情を描くアルバムのクロージングトラック。穏やかなメロディでアルバムを締めくくる。

アルバム総評:

『GUTS』は、Olivia Rodrigoの成長と自己表現の深化を示す作品だ。ロックやポップパンクの影響を受けたサウンドに、彼女の強烈な感情と鋭いリリックが見事に融合している。青春の苦しさや混乱をリアルに描きながらも、どこかユーモラスで共感を呼ぶ要素も多い。特に「Vampire」や「Get Him Back!」は、その感情的な深みとポップな魅力が際立っている。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. SOUR by Olivia Rodrigo
   彼女のデビューアルバムで、同様に感情的で鋭いリリックが特徴。『GUTS』と同様にティーンの苦悩を描いている。
2. When We All Fall Asleep, Where Do We Go? by Billie Eilish
   ダークで内省的なアルバムで、感情的な深みが『GUTS』と共通している。
3. Paramore by Paramore
   ポップパンクとエモの要素が豊富なアルバムで、エネルギッシュなロックサウンドが共通点。
4. Future Nostalgia by Dua Lipa
   ポップとダンスミュージックを融合させた作品で、キャッチーなサウンドが魅力的。
5. The Miseducation of Lauryn Hill by Lauryn Hill
   愛や自己発見、社会的なテーマを扱ったアルバムで、深いリリックと感情の表現が『GUTS』と共鳴する。