発売日: 1981年11月
ジャンル: ロカビリー / ロックンロール / ブルース
Stray Catsの2作目となるアルバムGonna Ballは、デビュー作Stray Catsの成功を受け、さらなる進化と実験的なアプローチを試みた意欲作である。50年代のロカビリーの復活を掲げた彼らは、このアルバムでブルースやジャンプ・ブルース、さらにはカントリー的要素を取り入れ、バンドの音楽性を広げた。
プロデューサーには再びデイヴ・エドモンズを迎え、ライブ感溢れる録音スタイルを維持しながらも、よりリズムにフォーカスした楽曲が多数収録されている。アルバムのタイトル「Gonna Ball」は「盛り上がろう!」という意味を持ち、全体的に楽しくエネルギッシュな雰囲気が感じられる一方で、バラードやブルース調の楽曲もあり、Stray Catsの多様な面を垣間見ることができる。
商業的には前作ほどの成功には至らなかったものの、Stray Catsの音楽的な幅広さを示す重要な作品として評価されている。
トラック解説
1. Baby Blue Eyes
アルバムの幕開けにふさわしい軽快なロカビリーナンバー。キャッチーなメロディとセッツァーのスムーズなギターリフが印象的で、ダンスフロアを盛り上げる一曲だ。
2. Little Miss Prissy
スピード感のある楽曲で、パーティー感と反骨精神が融合したナンバー。セッツァーの遊び心あるボーカルが楽しい。
3. Wasn’t That Good
ブルースの影響が色濃く反映されたスローな楽曲。セッツァーのギターソロが光り、バンドの音楽的な成熟を感じさせる。
4. Cryin’ Shame
疾走感のある楽曲で、パンチの効いたギターリフとスラップベースが際立つ。恋愛の痛みをテーマにした歌詞とエネルギッシュな演奏が融合している。
5. (She’ll Stay Just) One More Day
アルバムの中でも特に感情的なバラード。スタンドアップベースの柔らかな音色と控えめなギターが、失恋の切なさを際立たせている。
6. Gonna Ball
タイトル曲であり、アルバム全体のテーマを象徴するナンバー。ジャイブとブルースが混ざり合ったエネルギッシュな楽曲で、ライブ映えする。
7. Wicked Whisky
酒をテーマにしたコミカルな楽曲。ロカビリーのリズムが軽快で、ストーリーテリングの要素も楽しめる。
8. Rev It Up & Go
車をテーマにした疾走感あふれる楽曲で、前作の「Runaway Boys」を彷彿とさせる。ロカビリーのスピリットが詰まった一曲。
9. Lonely Summer Nights
メランコリックなムードが漂う楽曲で、切ない歌詞が胸に迫る。バンドの柔らかい一面を垣間見せる作品だ。
10. Crazy Mixed-Up Kid
軽快なビートとユーモラスな歌詞が特徴の楽曲。セッツァーのギターが軽やかで、バンドの遊び心が伝わってくる。
11. Jeanie, Jeanie, Jeanie
オリジナルのロカビリー曲を現代風にアレンジしたナンバー。原曲のエネルギーを維持しながら、Stray Catsらしいダイナミズムを加えている。
アルバム総評
Gonna Ballは、Stray Catsがシンプルなロカビリーにとどまらず、ブルースやカントリー、ジャンプ・ブルースといったジャンルを取り入れることで音楽性を広げたアルバムだ。セッツァーのギターとリー・ロッカーのスラップベースが引き続き中心的な役割を果たしており、50年代への敬意を払いながらも新しい風を吹き込んでいる。
商業的にはデビュー作の成功に及ばなかったものの、アルバムには「Gonna Ball」や「Cryin’ Shame」などのライブで人気の楽曲が収録されており、ファンには重要な位置づけの作品だ。Stray Catsの実験的な一面と音楽的な成長を感じられるこのアルバムは、ロカビリーというジャンルの奥深さを改めて教えてくれる。
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Stray Cats by Stray Cats
デビューアルバムで、彼らのロカビリーサウンドの原点が詰まった一枚。キャッチーでエネルギッシュな楽曲が揃う。
Rant N’ Rave with the Stray Cats by Stray Cats
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Live at the Ritz by Stray Cats
ライブアルバムで、バンドの迫力あるパフォーマンスを体感できる一枚。
Elvis Presley by Elvis Presley
ロカビリーのルーツを知るための必聴アルバム。Stray Catsが大きな影響を受けた作品。
London Calling by The Clash
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