アルバムレビュー：From Under the Cork Tree by Fall Out Boy

アルバムレビュー

2025.03.15

発売日: 2005年5月3日
ジャンル: ポップパンク、エモ

エモ・ポップパンクの金字塔—Fall Out Boyをスターに押し上げたブレイクスルー作
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総評
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エモ・ポップパンクの金字塔—Fall Out Boyをスターに押し上げたブレイクスルー作

2005年、Fall Out Boyは2ndアルバムFrom Under the Cork Treeでシーンの中心に躍り出た。本作は、バンドのアイデンティティを確立するとともに、エモとポップパンクをメインストリームへと押し上げた重要な作品である。リードシングル「Sugar, We’re Goin Down」はBillboard Hot 100で8位にランクインし、続く「Dance, Dance」も大ヒットを記録。

Pete Wentzの自虐的かつ文学的な歌詞、Patrick Stumpのソウルフルなヴォーカル、エネルギッシュなバンドアンサンブルが完璧に融合し、エモの持つ感情の爆発をポップに昇華している。また、過剰に長い楽曲タイトルや皮肉の効いたユーモアも本作の魅力のひとつであり、Fall Out Boyの個性を際立たせている。

全曲レビュー

1. Our Lawyer Made Us Change the Name of This Song So We Wouldn’t Get Sued

タイトルからも分かるように、Fall Out Boyの皮肉なユーモアが炸裂したオープニングトラック。疾走感のあるギターリフとパワフルなコーラスが、アルバムの勢いを決定づける。

2. Of All the Gin Joints in All the World

ジャズ映画『カサブランカ』の名セリフをタイトルにした楽曲。リズミカルなドラムとキャッチーなメロディが特徴的で、Fall Out Boyらしいエモーショナルなサウンドが詰まっている。

3. Dance, Dance

本作を代表する大ヒットシングル。タイトなリズムとファンキーなギターリフ、そしてPatrick Stumpのソウルフルなヴォーカルが絡み合い、ダンサブルなポップパンクとして完成されている。ライブでも定番の楽曲。

4. Sugar, We’re Goin Down

彼らのキャリアを決定づけたシングル。エモーショナルな歌詞と耳に残るメロディ、そしてキャッチーなコーラスが融合し、エモ・ポップパンクのアンセムとなった。

5. Nobody Puts Baby in the Corner

80年代映画『ダーティ・ダンシング』から取られたタイトル。アグレッシブなギターとダークな歌詞が際立ち、Fall Out Boyのロマンチックかつシニカルな作風が光る。

6. I’ve Got a Dark Alley and a Bad Idea That Says You Should Shut Your Mouth (Summer Song)

アルバムの中で最も静かでメランコリックな楽曲。抑えめのアレンジと切ない歌詞が、Fall Out Boyのエモーショナルな側面を強調している。

7. 7 Minutes in Heaven (Atavan Halen)

タイトルはゲーム「7 Minutes in Heaven」と、抗不安薬「Ativan（アタバン）」をもじったもの。疾走感のあるリズムとポップなメロディが印象的。

8. Sophomore Slump or Comeback of the Year

Fall Out Boyのセカンドアルバムという位置づけをテーマにしたセルフリフレクティブな楽曲。バンドのプレッシャーと決意を描いた歌詞が共感を呼ぶ。

9. Champagne for My Real Friends, Real Pain for My Sham Friends

タイトルは映画『ステート・オブ・グレース』のセリフから引用。シリアスな歌詞とアップテンポなサウンドが対照的な楽曲。

10. I Slept with Someone in Fall Out Boy and All I Got Was This Stupid Song Written About Me

Fall Out Boy特有のユーモアが詰まったタイトル。リフ主体のパワフルなポップパンクナンバー。

11. A Little Less Sixteen Candles, a Little More “Touch Me”

1980年代の青春映画『Sixteen Candles』をタイトルにした楽曲。シングルとしてリリースされ、キャッチーなメロディが人気を集めた。

12. Get Busy Living or Get Busy Dying (Do Your Part to Save the Scene and Stop Going to Shows)

タイトルは映画『ショーシャンクの空に』のセリフから引用。Pete Wentzのスポークンワードのパートが特徴的で、Fall Out Boyの哲学的な側面が感じられる。

13. XO

アルバムを締めくくるエネルギッシュな楽曲。終盤に向かって盛り上がるダイナミックな展開が印象的。

総評

From Under the Cork Treeは、Fall Out Boyのメジャーブレイクを果たしたアルバムであり、エモ・ポップパンクの代表作のひとつである。本作では、感情的な歌詞とキャッチーなメロディ、シリアスなテーマとユーモアが絶妙に融合し、バンドの個性を確立している。

エモの激しさとポップパンクの親しみやすさがバランスよくミックスされており、Fall Out Boyがいかにしてメインストリームの成功を手にしたかが理解できる作品だ。現在でもこのアルバムは、エモリバイバルの原点として語り継がれている。