アルバムレビュー：Fortune by Chris Brown

アルバムレビュー

2025.03.15

発売日: 2012年7月3日
ジャンル: R&B、ポップ、ヒップホップ、エレクトロポップ

新たな実験と進化—Chris Brownのダークで洗練された5thアルバム
全曲レビュー
総評
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新たな実験と進化—Chris Brownのダークで洗練された5thアルバム

2012年、Chris Brownは5thアルバムFortuneをリリースし、前作F.A.M.E.（2011年）の成功を受け継ぎながらも、さらに実験的なサウンドを取り入れた作品を世に送り出した。本作は、エレクトロポップやダブステップの要素を強く押し出し、クラブ向けのダンスチューンから、彼の得意とするR&Bバラードまで幅広いスタイルを展開している。

シングル「Turn Up the Music」「Don’t Wake Me Up」は、ダンスフロア向けのエネルギッシュな楽曲として大ヒット。一方で、「Sweet Love」「Strip」のようなR&Bトラックでは、Chris Brownのソウルフルなヴォーカルが際立っている。全体として、彼の音楽的な幅広さと、より洗練されたプロダクションが光るアルバムとなっている。

FortuneはBillboard 200で1位を獲得し、Chris Brownの人気をさらに確固たるものにした。しかし、一部の批評家からはアルバムの方向性に賛否が分かれたことも事実である。

全曲レビュー

1. Turn Up the Music

エレクトロポップとダブステップの要素を取り入れたクラブアンセム。エネルギッシュなビートが特徴的で、大ヒットを記録。

2. Bassline

ダークで重厚なビートが印象的なエレクトロヒップホップナンバー。

3. Till I Die (feat. Big Sean & Wiz Khalifa)

Big SeanとWiz Khalifaを迎えたヒップホップトラック。パーティー感溢れるビートが際立つ。

4. Mirage (feat. Nas)

Nasをフィーチャーしたヒップホップ寄りの楽曲。ラグジュアリーな雰囲気が漂う。

5. Don’t Judge Me

内省的なバラードで、Chris Brownの感情的な歌唱が光る一曲。歌詞の内容も深く、ファンの間で人気の高い楽曲。

6. 2012

アトモスフェリックなR&Bトラックで、未来的なサウンドが印象的。

7. Biggest Fan

スムーズなR&Bナンバー。官能的な歌詞とメロディアスなサウンドが特徴。

8. Sweet Love

しっとりとしたバラードで、Chris Brownのヴォーカルが際立つラブソング。

9. Strip (feat. Kevin McCall)

ミッドテンポのR&Bトラックで、セクシーな雰囲気が漂う。Kevin McCallのラップが楽曲にアクセントを加えている。

10. Stuck on Stupid

ミディアムテンポのR&Bバラード。恋愛の狂おしさを歌った切ない歌詞が印象的。

11. 4 Years Old

ノスタルジックな雰囲気のバラード。少年時代の記憶を振り返るような内容。

12. Party Hard / Cadillac (feat. Sevyn Streeter)

2曲が一体となった楽曲。前半はアップテンポなパーティーチューン、後半はジャジーなバラードに展開する。

13. Don’t Wake Me Up

エレクトロポップの要素が強いダンストラック。キャッチーなメロディと壮大なサウンドが印象的。

14. Trumpet Lights (feat. Sabrina Antoinette)

エクスペリメンタルな要素が強いエレクトロニックトラック。

総評

Fortuneは、Chris BrownがエレクトロポップとR&Bの融合をさらに進めた作品であり、彼の音楽的な探求心が感じられるアルバムとなっている。「Turn Up the Music」や「Don’t Wake Me Up」といったダンスフロア向けの楽曲は、ポップチャートでも成功を収め、クラブミュージックとしての魅力を発揮した。

一方で、「Sweet Love」や「Don’t Judge Me」のようなバラードでは、彼のR&Bシンガーとしての魅力が際立っており、アルバム全体としてのバランスが取れている。ヒップホップの要素も随所に取り入れられており、「Till I Die」や「Mirage」では、Big SeanやNasとのコラボレーションが楽曲を引き立てている。

本作は、前作F.A.M.E.よりも実験的なサウンドを採用しており、クラシックなR&Bファンには賛否が分かれる部分もあったが、Chris Brownの音楽的な進化を感じさせる重要な作品となった。