発売日: 2017年8月25日
ジャンル: ドリームポップ、オルタナティブロック、フォークロック
Widowspeakの4作目のアルバムExpect the Bestは、これまでのドリームポップ的な要素に加え、より深みのあるオルタナティブロック色を取り入れた作品だ。柔らかいメロディとノスタルジックなトーンは健在だが、本作ではよりダークでヘヴィな要素が加わり、バンドの音楽的進化が感じられる。
モリー・ハミルトンの親密で囁くようなボーカルと、ロバート・アール・トーマスの空間的なギターが引き続きアルバムの核を成しているが、リリックやサウンドには現代社会に対する不安感や内面的な葛藤が反映されている。これにより、より深い感情的な響きを持つ作品に仕上がっている。
トラック解説
1. The Dream
アルバムのオープニングを飾るダークでスロウな一曲。浮遊感のあるギターリフとハミルトンの儚いボーカルが絡み合い、まるで夢の中に引き込まれるような感覚を与える。
2. When I Tried
アップテンポのリズムが特徴的なトラック。日常生活の中での自己疑念や挫折をテーマにした歌詞が、エネルギッシュなギターサウンドに支えられている。
3. Dog
重厚なギターリフと沈んだムードが特徴的な一曲。タイトルの「Dog」は忠誠心や束縛を象徴しており、歌詞には感情の複雑さが込められている。
4. Warmer
アルバムの中で特にドリーミーな楽曲。静かなイントロから徐々に盛り上がる展開が心地よく、ハミルトンの穏やかなボーカルが印象に残る。
5. Good Sport
ゆったりとしたテンポで進行し、フォークの影響を感じさせるトラック。歌詞には友情や思いやりのテーマが織り込まれており、温かみのある雰囲気を持つ。
6. Let Me
シンプルなギターとボーカルが中心の曲で、最も親密な雰囲気を持つ。歌詞には関係性の中での不安や希望が描かれている。
7. Right On
ヘヴィなギターとリズムが印象的なオルタナティブロック色の強い楽曲。内面的な闘いと希望をテーマにした歌詞が、ダイナミックなアレンジによって力強く響く。
8. Expect the Best
アルバムのタイトル曲で、ノスタルジックなメロディと歌詞が特徴的。ハミルトンの声が穏やかに未来への不確実性を語りかける。
9. Fly on the Wall
退屈な日常の中での自己観察をテーマにした楽曲。軽やかなリズムが、歌詞の持つ微妙な悲哀を引き立てる。
10. Something to Believe
アルバムの締めくくりにふさわしい希望を感じさせる楽曲。浮遊感のあるギターと優しいボーカルが、聴き手に静かな安らぎを与える。
アルバム総評
Expect the Bestは、Widowspeakがこれまで築いてきたサウンドを維持しながらも、より深く、ダークなテーマに挑戦した作品だ。音楽的には、ドリームポップ的な繊細さとオルタナティブロックの力強さが融合し、幅広い感情を引き出すことに成功している。特に「Dog」や「Right On」のような曲は、バンドの新たな一面を見せつける力作だ。
このアルバムは、リスナーに内省的な時間を提供しつつも、静かな希望を感じさせる仕上がりとなっており、モリー・ハミルトンとロバート・アール・トーマスのコンビがますます成熟していることを示している。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Beach House – 7
幻想的で広がりのあるサウンドが、Expect the Bestのムードと共鳴する。
Mazzy Star – She Hangs Brightly
ドリームポップとブルースの要素が混ざり合い、Widowspeakのファンに刺さる一枚。
Weyes Blood – Front Row Seat to Earth
メランコリックな歌詞と広がりのあるサウンドスケープが、Expect the Bestの内省的なトーンと重なる。
Angel Olsen – My Woman
オルタナティブロックとフォークが融合したサウンドが、Widowspeakの新しい一面に似ている。
Warpaint – Heads Up
オルタナティブロックのエッジと繊細なサウンドが、Expect the Bestの多面的な魅力に通じる。
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