- 発売日: 1972年6月1日
- ジャンル: ロック、カントリーロック、フォークロック
イーグルスのセルフタイトルデビューアルバムEaglesは、アメリカ西海岸のサウンドを代表する重要な作品である。ドン・ヘンリー、グレン・フライ、バーニー・レドン、ランディ・マイズナーの4人が織りなすハーモニーと、カントリーとロックを融合させた楽曲が、このアルバムで一気に世に知られることとなった。特に「Take It Easy」や「Peaceful Easy Feeling」といった楽曲は、アメリカの広大な風景や自由なライフスタイルを彷彿とさせ、70年代のアメリカンロックの象徴的なサウンドを作り上げている。
Eaglesは、ロサンゼルスのカリフォルニア・サウンドと、カントリーロックの融合を鮮やかに表現し、彼らの音楽が持つ温かみとリラックスした雰囲気を感じさせる一枚である。プロデューサーはギリン・ジョンズが担当し、アルバム全体にナチュラルでアコースティックなサウンドが広がり、バンドのメロディセンスとコーラスワークが最大限に引き立っている。
トラック解説
1. Take It Easy
アルバムの冒頭を飾る、イーグルスの代表曲のひとつで、グレン・フライとジャクソン・ブラウンによって共作された。軽快なリズムとカントリー調のギターリフが印象的で、聴く者をリラックスさせる。この曲は、「自分を追い詰めすぎず、肩の力を抜いて生きる」というメッセージが込められており、時代を超えて愛され続ける。
2. Witchy Woman
ミステリアスでややダークなムードを持つ楽曲で、ドン・ヘンリーとバーニー・レドンの共作。ヘンリーのボーカルと印象的なギターリフが、魔女のように魅力的な女性の姿を描き出している。リズムが生み出す緊張感が特徴的で、デビューアルバムの中でも異彩を放つ一曲。
3. Chug All Night
ロックンロールの要素が強い楽曲で、グレン・フライのリードボーカルがエネルギッシュに響く。アップテンポでパーティー気分の楽しいトラックだが、どこかカントリーテイストが加わり、イーグルスらしいスタイルが確立されている。
4. Most of Us Are Sad
ランディ・マイズナーがメインボーカルを務めるバラード。感傷的な歌詞とシンプルなメロディが、静かな哀愁を漂わせている。バンドのハーモニーが美しく、アルバムの中でもひときわエモーショナルな瞬間を生み出している。
5. Nightingale
ジャクソン・ブラウンが書いた楽曲で、グレン・フライがリードボーカルを担当。明るいメロディと歌詞に温かさが感じられ、軽快なギターリフが曲全体をリードしている。美しいハーモニーが曲に彩りを加えている。
6. Train Leaves Here This Morning
バーニー・レドンがメインボーカルを担当するフォーク調のトラック。リズムもゆったりしており、旅立ちや別れをテーマにした歌詞が詩的に表現されている。アコースティックギターのアルペジオが心地よく響き、アルバムに穏やかな流れをもたらしている。
7. Take the Devil
ヘビーでダークなトラックで、ランディ・マイズナーがリードボーカルを務めている。宗教的なイメージや救済を求める心情が歌われ、シリアスなテーマを持つ一曲。力強いリズムとボーカルが、深みのあるサウンドを生み出している。
8. Earlybird
アップテンポで、軽快なカントリーテイストが特徴の曲。バーニー・レドンのバンジョーが印象的で、都会を離れて自然の中で過ごす自由なライフスタイルがテーマ。自然の音が挿入され、牧歌的な雰囲気が強調されている。
9. Peaceful Easy Feeling
イーグルスの代表曲で、快適でリラックスした雰囲気が広がる。ジャック・テンプチンによって書かれたこの曲は、グレン・フライの温かみのあるボーカルが聴きどころで、アメリカ西部の風景が浮かぶような美しいメロディと歌詞が特徴的だ。
10. Tryin’
アルバムを締めくくるロックナンバーで、ランディ・マイズナーがリードボーカルを担当。エネルギッシュで前向きなトラックで、ギターのリフが楽曲を力強く支えている。アルバムの中でも異色のロックンロール的なサウンドが新鮮。
アルバム総評
Eaglesは、イーグルスの音楽スタイルの基盤を築いた重要な作品であり、70年代のカントリーロックの代表作として評価されている。彼らの完璧なハーモニーと、温かみのあるカントリーテイストが融合したサウンドが、どこかノスタルジックでアメリカ西部の広がりを感じさせる。本作に収録された「Take It Easy」や「Peaceful Easy Feeling」は、時代を超えた名曲として愛され続け、イーグルスの魅力が凝縮されている。都会の喧騒から離れ、アメリカの自然の中で心地よい時間を過ごすような感覚が、このアルバムを聴くことで味わえる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Sweet Baby James by James Taylor
カントリーフォークの名盤で、温かみのあるサウンドとリリカルな歌詞が特徴。Eaglesの持つカントリーとフォークの融合が好きなリスナーにおすすめ。 - Harvest by Neil Young
同じくカントリーロックのクラシックで、シンプルでエモーショナルな楽曲が揃っている。イーグルスの持つ自然や素朴さが感じられる一枚。 - The Southern Harmony and Musical Companion by The Black Crowes
アメリカ南部の音楽スタイルとロックを融合させたアルバム。カントリーとロックの調和が取れたサウンドが、Eaglesのファンにも響くはず。 - Desperado by Eagles
イーグルスのセカンドアルバムで、よりシリアスなテーマが展開されている。アメリカのアウトロー精神を感じさせ、カントリーロックの深化が楽しめる。 - Blue by Joni Mitchell
フォークとカントリーの要素が強い、ジョニ・ミッチェルの代表作。内省的な歌詞と穏やかなサウンドが共通し、静かな感動を与える一枚。
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