発売日: 2016年1月15日
ジャンル: インディーロック、シンセポップ、プログレッシブロック
Curve of the Earthは、Mystery Jetsにとって5作目のスタジオアルバムであり、これまでのエレクトロポップやニューウェーブからより広がりのあるサウンドへと進化した作品である。このアルバムでは、バンドはより深く内省的なテーマに取り組み、宇宙や孤独、愛、失うことへの恐れなど、人生の普遍的な問いを掘り下げている。Mystery Jetsは、シンセサウンドやギターを多用しつつ、より緻密でエモーショナルな音楽を作り上げた。本作の制作にあたって、バンドはスタジオを自ら構築し、音作りにより自分たちの手を入れたという。
プロデューサーにはバンドメンバー自身が関わり、70年代のプログレッシブロックの影響を感じさせるダイナミックなサウンドが特徴的。「Telomere」や「Bubblegum」などの楽曲は、バンドの新たな音楽的な成熟を示しており、メランコリックで壮大な雰囲気が漂う。アルバム全体を通して、Mystery Jetsはより深みとスケールを増し、リスナーを夢幻的な音の世界へと引き込む一枚に仕上がっている。
トラックごとの解説
1. Telomere
アルバムの幕開けを飾るメランコリックなトラックで、遺伝子や人生の儚さに触れた歌詞が印象的。ゆったりとしたリズムとエモーショナルなギターが、アルバム全体のテーマを暗示している。
2. Bombay Blue
サイケデリックな雰囲気が漂う楽曲で、どこか異国情緒が感じられる。ミステリアスなメロディと繊細なアレンジが、リスナーを異世界へと導く。
3. Bubblegum
ポップでありながらも切なさが漂う楽曲で、キャッチーなリフとリリカルな歌詞が心に響く。Mystery Jetsの持つポップセンスとエモーショナルな側面が融合した一曲。
4. Midnight’s Mirror
ダークで壮大なサウンドスケープが広がるトラック。リズムの変化と幻想的なシンセサウンドが重なり合い、ドラマティックな展開が特徴。
5. 1985
過去と未来が交差するようなノスタルジックな楽曲。リリックには時間の流れや若さへの思いが込められており、Mystery Jetsの叙情的な一面が感じられる。
6. Blood Red Balloon
ミッドテンポのリズミカルな楽曲で、軽快なメロディと複雑なアレンジが耳に残る。ノスタルジックな雰囲気が漂い、バンドの多様な音楽性が表現されている。
7. Taken by the Tide
エモーショナルなギターリフと静かなビートが印象的な曲で、サウンドが徐々に盛り上がっていく構成が秀逸。深いテーマとドラマティックなメロディが心に残る。
8. Saturnine
ダークでメランコリックなムードが漂うトラックで、ミステリアスなシンセサウンドと重厚なリズムが交差する。バンドのプログレッシブなアプローチが際立つ。
9. The End Up
アルバムを締めくくる叙情的な一曲。静かに始まりつつも、最後に向かってスケール感が増していく展開が印象的で、アルバム全体に余韻を残すフィナーレ。
アルバム総評
Curve of the Earthは、Mystery Jetsがこれまでのエレクトロポップからさらに進化し、内省的で壮大なサウンドを作り上げた作品である。過去作とは異なり、バンドがより成熟したテーマに取り組み、人生や存在に対する普遍的な問いを探求している。特に「Telomere」や「1985」などの楽曲には、時間や記憶、遺伝子といったテーマが取り入れられ、深い感情が込められている。プログレッシブロックからの影響も感じられ、Mystery Jetsの音楽が一層のスケール感を持って展開される一枚である。Curve of the Earthは、バンドの新たな挑戦と成長が感じられる作品であり、ファンのみならず幅広いリスナーに響くアルバムである。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Innerspeaker by Tame Impala
サイケデリックロックと夢幻的なサウンドスケープが楽しめる一枚で、Mystery Jetsの幻想的な側面が好きなリスナーにおすすめ。
A Moon Shaped Pool by Radiohead
内省的で深みのあるリリックと壮大なアレンジが特徴で、Curve of the Earthの持つ重厚で叙情的なムードと共鳴する。
The Suburbs by Arcade Fire
ノスタルジックで叙情的なテーマが詰まったアルバムで、Mystery Jetsの懐古的な一面と響き合う作品。
Currents by Tame Impala
エレクトロポップとサイケデリックロックが融合した作品で、幻想的でありながらも内省的なムードがCurve of the Earthと共通する。
Strange Trails by Lord Huron
広がりのあるサウンドスケープとノスタルジックなテーマが魅力のアルバムで、Mystery Jetsのエモーショナルで叙情的な一面が好きなリスナーにおすすめ。
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