発売日: 1997年1月23日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、ポストグランジ
Our Lady Peaceのブレイクスルー——エモーショナルで洗練されたオルタナティブ・ロックの名作
1997年にリリースされたClumsyは、Our Lady Peace（OLP）にとって商業的な成功を収めた重要なセカンドアルバムであり、バンドの音楽性がより洗練され、メロディアスでダイナミックな楽曲が増えた作品である。本作には、バンドの代表曲となる「Superman’s Dead」や「Clumsy」が収録されており、90年代後半のオルタナティブ・ロックシーンにおけるカナダのバンドの存在感を大きく高めた。
デビュー作Naveed（1994年）では、ヘヴィなギターと実験的なサウンドが特徴的だったが、本作ではよりメロディを重視し、レイン・メイダ（Raine Maida）の独特なヴォーカルと、キャッチーな楽曲構成が際立つ作品となっている。オルタナティブ・ロックの持つダークな雰囲気と、ポップなメロディが絶妙に融合したアルバムであり、90年代のポストグランジを象徴する作品の一つとして評価されている。
全曲レビュー
1. Automatic Flowers
アルバムのオープニングを飾るアップテンポなナンバー。ダイナミックなドラムとギターリフが特徴的で、レイン・メイダの独特なヴォーカルが楽曲全体に緊張感を与えている。サビでの力強いメロディが印象的。
2. Superman’s Dead
本作の代表曲の一つであり、ヘヴィなリフとエモーショナルなヴォーカルが融合した、OLPのアイデンティティを確立した楽曲。サビでの「Doesn’t anybody ever know that the world’s a subway?」というフレーズが印象的で、社会的なメッセージ性を持つ歌詞も特徴的。バンドのダークな側面が強く表れている。
3. 4 A.M.
アルバムの中でも特にエモーショナルなバラード。アコースティックギターを主体としたサウンドと、メイダの感情的なボーカルが際立つ楽曲。内省的な歌詞が共感を呼び、OLPの楽曲の中でも特に人気が高い。
4. Big Dumb Rocket
グルーヴ感のあるギターリフが印象的な楽曲。シンプルな構成ながら、パワフルな演奏が特徴で、ライブでも盛り上がるナンバー。
5. Clumsy
アルバムのタイトル曲であり、OLPの代表曲の一つ。メロディアスでありながらも、どこか不安定な雰囲気を持つ楽曲で、歌詞の内容も感傷的。「I’ll be waving my hand watching you drown」というラインが象徴的で、人間関係の葛藤や孤独をテーマにしている。
6. Hello Oskar
スラップベースのイントロが特徴的な楽曲。ファンク的な要素も感じられ、アルバムの中でも異色のナンバー。エネルギッシュなリズムとメロディが融合している。
7. Let You Down
ヘヴィなギターとメロディアスなボーカルが融合した楽曲。メイダのボーカルの表現力が際立ち、OLPの持つドラマティックなサウンドが最大限に発揮されている。
8. The Story of 100 Aisles
実験的なリズムとギターサウンドが特徴的な楽曲。90年代のオルタナティブ・ロックらしい不穏な雰囲気を持ち、バンドのダークな側面が表れている。
9. Car Crash
アルバムの中でも特にスローで、ヘヴィな楽曲。ダークで静かなイントロから始まり、徐々に盛り上がる構成が印象的。歌詞のテーマも社会的であり、OLPの哲学的な側面が感じられる。
10. Carnival
アルバムのラストを飾る楽曲で、シンプルながらも叙情的なメロディが印象的。メイダのボーカルが楽曲全体を支配し、バンドの持つ独特な世界観が詰まった一曲。
総評
Clumsyは、Our Lady Peaceがカナダ国内のみならず、国際的な成功を収めるきっかけとなったアルバムであり、90年代のオルタナティブ・ロックの中でも特にエモーショナルな作品として評価されている。本作では、デビュー作よりも楽曲が洗練され、メロディアスな要素が強化されているが、依然としてOLP特有のダークな雰囲気とエネルギッシュな演奏が感じられる。
特に「Superman’s Dead」「Clumsy」「4 A.M.」といった楽曲は、現在でもバンドの代表曲として愛されており、OLPのサウンドの基盤を作った重要な楽曲である。メイダの独特なボーカルと、ヘヴィでありながらも繊細なギターサウンドが融合し、バンドの個性を決定づけた。
90年代のオルタナティブ・ロックやポストグランジが好きなリスナーにはもちろん、Pearl JamやLive、Bushなどのバンドを好む人にもおすすめのアルバムである。
おすすめアルバム
- Our Lady Peace – Happiness… Is Not a Fish That You Can Catch (1999)
- Clumsyの流れを引き継ぎながらも、より実験的なアプローチを試みた作品。
- Pearl Jam – Vs. (1993)
- エモーショナルでダイナミックなオルタナティブ・ロックの名盤。OLPとの共通点も多い。
- Live – Throwing Copper (1994)
- 叙情的でありながら力強いサウンドが特徴のオルタナティブ・ロックの名盤。
- Bush – Razorblade Suitcase (1996)
- グランジとポストグランジの要素を融合させた、ダークでメロディックな作品。
- Smashing Pumpkins – Mellon Collie and the Infinite Sadness (1995)
- メランコリックなメロディとオルタナティブ・ロックのダイナミクスが際立つアルバム。
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