発売日: 2015年8月28日
ジャンル: インストゥルメンタル・ヒップホップ / ジャズ・ヒップホップ / ネオソウル
ロンドンを拠点とするマルチインストゥルメンタリスト兼プロデューサー、Tom Mischがリリースした「Beat Tape 2」は、彼の音楽的才能が凝縮された作品だ。DIYアプローチで制作されたこのアルバムは、彼が当時20歳でありながら驚くべき成熟度を持っていたことを証明している。
アルバム全体を通して、ジャズ、ソウル、ヒップホップがシームレスに融合し、リラックスした雰囲気と滑らかなビートが特徴だ。Mischのトレードマークである暖かみのあるギターリフ、洗練されたベースライン、そしてビートメイキングのスキルが輝く一枚である。さらに、アルバムには多くのゲストアーティストが参加しており、それぞれが個性豊かなヴォーカルやラップで彩りを加えている。
「Beat Tape 2」は、忙しい日常の合間に一息つきたい時や、リラックスした夜を過ごしたい時にぴったりのサウンドトラックであり、Mischの音楽のポテンシャルを最大限に引き出した作品だ。
各トラック解説
1. The Journey
アルバムのオープニングを飾るインストゥルメンタル曲。柔らかなギターリフとジャジーなコード進行が心地よく、まるで旅の始まりを告げるような穏やかな雰囲気を持つ。
2. Wander With Me (feat. Carmody)
Carmodyをフィーチャーしたメロウなナンバー。MischのギターとCarmodyのエモーショナルなヴォーカルが調和し、聴き手を心地よい夢のような世界へと誘う。
3. Nightgowns (feat. Loyle Carner)
UKヒップホップの新星Loyle Carnerを迎えた一曲。穏やかなビートとジャズ的なアプローチが、Carnerのリリックと見事にマッチしている。リラックスしたトーンの中に深い感情が感じられる。
4. Falafel
ビートとギターが軽やかに絡み合うインストゥルメンタルトラック。簡潔でありながら、Mischの音楽性が凝縮されている。
5. Wake Up This Day (feat. Jordan Rakei)
ソウルフルなヴォーカリストJordan Rakeiが参加。彼のスムーズなヴォーカルと、Mischの洗練されたビートメイキングが、温かみのある楽曲を生み出している。
6. In The Midst Of It All (feat. Sam Wills)
ダウナーな雰囲気が漂う楽曲。Sam Willsの繊細なヴォーカルと、Mischのジャジーな編曲が絶妙なバランスで融合している。
7. Come Back
ギターが中心となったシンプルなインストゥルメンタル。メロディックなフレーズが心に残り、思索的な時間を演出する。
8. Your Love (feat. Alexa Harley)
Alexa Harleyをフィーチャーした、明るくポップなトラック。キャッチーなメロディとエネルギッシュなビートが、アルバム全体のトーンを持ち上げている。
9. Hark
Mischのギターが美しく響くインストゥルメンタル。繊細なコードワークとリズムが、彼の音楽的な多才さを物語る。
10. Colours of Freedom
エレクトロとジャズが融合したトラックで、自由をテーマにした壮大な雰囲気が感じられる。Mischのプロダクションスキルが特に光る一曲。
11. Beautiful Escape (feat. Zak Abel)
Zak Abelを迎えた、アルバムの中でも特にエモーショナルな楽曲。Abelの力強いヴォーカルと、Mischの繊細なギターアレンジが完璧なコラボレーションを見せる。
12. Home
アルバムのラストを飾るシンプルで美しいインストゥルメンタル曲。Mischのギターとピアノが静かに響き、帰るべき場所を思い起こさせるような温かさに満ちている。
アルバム総評
「Beat Tape 2」は、Tom Mischが持つ音楽的な感性を余すことなく表現した作品だ。特に、ジャズとヒップホップの要素を滑らかに融合させたサウンドが際立つ。また、ゲストアーティストとのコラボレーションにより、アルバム全体が多彩で豊かな音楽体験を提供している。インストゥルメンタルとヴォーカル曲が絶妙に組み合わされており、どの楽曲も丁寧に作り込まれているのが伝わってくる。このアルバムは、Mischの音楽性が花開いた瞬間を捉えた一枚であり、ジャズヒップホップやネオソウルファンにとってマストアイテムだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Geography by Tom Misch
Mischのフルアルバムデビュー作であり、「Beat Tape 2」をさらに進化させた作品。ファンクやディスコの要素も取り入れている。
99.9% by Kaytranada
エレクトロニカとヒップホップを融合させた作品で、滑らかなビートとメロウな雰囲気が共通する。
Black Focus by Yussef Kamaal
ジャズとビートミュージックを融合したアルバム。複雑なリズムと暖かいサウンドが「Beat Tape 2」に通じる。
Man Made by Greentea Peng
ネオソウルとジャズの要素を取り入れた作品で、Mischのファンにも響くナチュラルな音楽性。
Ella by Loyle Carner
Tom MischもコラボレーションしているLoyle Carnerのアルバム。暖かみのあるプロダクションとUKヒップホップのリリックが魅力。
コメント