Bandwagonesque by Teenage Fanclub

発売日: 1991年11月19日
ジャンル: オルタナティブロック、パワーポップ

『Bandwagonesque』は、スコットランドのバンド、Teenage Fanclubが1991年にリリースした3枚目のアルバムであり、彼らの代表作として広く評価されている。ノイジーなギターと美しいメロディが融合したサウンドは、Big StarやThe Byrdsなどからの影響を感じさせつつも、独自のポップセンスを持つ。批評家からも絶賛され、特にこのアルバムはNMEの「1991年のベストアルバム」に選ばれ、Nirvanaの『Nevermind』を抑えるという驚きの結果を出した。キャッチーなメロディと感情的な深みを持つこのアルバムは、オルタナティブロックとパワーポップの名作として、今なお多くのファンに愛されている。

各曲ごとの解説:

1. The Concept
   　アルバムの幕開けを飾るエピックなナンバーで、Teenage Fanclubのサウンドの本質を示す曲。フィードバックの効いたギターとキャッチーなメロディが調和し、甘酸っぱい恋愛の歌詞が心に響く。特に後半のギターソロとコード進行が延々と続く展開は、壮大な余韻を残す。
2. Satan
   　短くインストゥルメンタル的なトラックで、ギターリフが中心のノイジーなパンク風の曲。アルバム全体の中で異色を放つ存在で、疾走感が強調されたエネルギッシュなナンバーだ。
3. December
   　甘く切ないメロディと叙情的な歌詞が特徴のこの楽曲は、Teenage Fanclubのメロディメイキングの才能が発揮されている。美しいギターアレンジとコーラスのハーモニーが、冬の寒さと感傷的なムードを引き立てている。
4. What You Do to Me
   　シンプルでキャッチーなポップソングで、約2分という短い曲だが、強いインパクトを与える。甘く楽しい恋愛の歌詞と軽快なギターリフが心地よく、シンプルながらも非常に耳に残るメロディが特徴。
5. I Don’t Know
   　ややミディアムテンポのこの曲は、メランコリックなメロディとリフが絡み合い、Teenage Fanclubの特徴的なギターサウンドを前面に押し出している。歌詞は、愛や関係の中での迷いをテーマにしており、感情的な深みを持っている。
6. Star Sign
   　アルバムの中でも特に人気のあるトラック。星座占いをテーマにしたユニークな歌詞が印象的で、軽快なリズムと爽やかなメロディが聴く者を引き込む。力強いギターとしっかりしたビートが曲を支え、Teenage Fanclubのポップセンスが最も輝く楽曲の一つだ。
7. Metal Baby
   　明るく軽快なギターリフが主導する楽曲で、ロックとポップのバランスが絶妙。タイトル通り「メタルな彼女」についての歌詞がコミカルで、全体に楽しく聴けるトラックだ。コーラスのハーモニーが、曲に柔らかさを加えている。
8. Pet Rock
   　ノイジーなギターとポップなメロディが組み合わさったトラックで、Teenage Fanclubの特徴である「フィードバックを活かしたポップソング」が際立つ。シンプルな構成ながらも、爽快なエネルギーを感じさせる。
9. Sidewinder
   　穏やかなギターのリフと優しいメロディが特徴の、アルバムの中でも比較的落ち着いた楽曲。静かなアコースティックギターのイントロから始まり、徐々に壮大なサウンドに展開していく。
10. Alcoholiday
    　アルバムの中でも最も感情的で深みのある曲の一つ。ややスローなテンポと、失恋や心の葛藤を歌った歌詞が、Teenage Fanclubのシンプルなメロディと相まって心に響く。ギターリフと歌詞が交互に感情を高め、最終的にリスナーを引き込むエモーショナルなナンバー。
11. Guiding Star
    　軽快でポップなメロディが特徴的な楽曲で、心地よいギターの響きとノーマン・ブレイクの柔らかなボーカルが美しく調和している。リズムとメロディが絶妙に絡み合い、聴きやすいポップなナンバーとしてアルバムに彩りを加えている。
12. Is This Music?
    　アルバムを締めくくるインストゥルメンタルトラック。ノイジーなギターサウンドがメインだが、メロディアスでエモーショナルな展開を持つ。Teenage Fanclubのサウンドの核となる要素が詰まった一曲で、静かに余韻を残してアルバムを終える。

アルバム総評:

『Bandwagonesque』は、Teenage Fanclubの代表作として、ギターポップとオルタナティブロックの美しい融合を体現している。甘く切ないメロディ、ノイジーなギター、そしてシンプルなリリックが調和し、どの曲も耳に残るキャッチーさを持っている。「The Concept」や「Star Sign」などの名曲は、バンドのメロディメーカーとしての実力を証明し、アルバム全体に通じるポップなエネルギーと感情的な深みが、リスナーに強い印象を与える。1990年代のオルタナティブロックシーンの中でも特に評価が高く、パワーポップファンにとっては必聴の一枚である。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. #1 Record by Big Star
   『Bandwagonesque』に大きな影響を与えたアルバムで、甘く切ないメロディとギターポップのエッセンスが詰まっている。Teenage Fanclubのサウンドが好きなリスナーにとって、ビッグスターのメロディセンスは必聴。
2. Girlfriend by Matthew Sweet
   1990年代のパワーポップの名作で、キャッチーなメロディとエネルギッシュなギターが特徴。Teenage Fanclubのポップな側面が好きなリスナーには、このアルバムも響くだろう。
3. Grand Prix by Teenage Fanclub
   『Bandwagonesque』の次にリリースされたアルバムで、より洗練されたギターポップサウンドを展開している。キャッチーなメロディと感情的な深みが特徴の作品。
4. Parklife by Blur
   1990年代のブリットポップの代表作で、ポップで明るいメロディと日常的なテーマが共通している。Teenage Fanclubのファンにとって、同じ時代のギターポップが楽しめる一枚。
5. Copper Blue by Sugar
   元Hüsker Düのボブ・モールドによるバンドSugarのアルバムで、ノイジーなギターとキャッチーなメロディが融合した名作。Teenage Fanclubのロックサウンドが好きなリスナーにおすすめ。