発売日: 1992年3月31日
ジャンル: ハードロック、グラムメタル
Def Leppardの5thアルバム『Adrenalize』は、前作『Hysteria』の成功を受けて制作されたもので、80年代のグラムメタルの遺産を引き継ぎつつも、1990年代の音楽シーンに適応した作品だ。ギタリストのスティーヴ・クラークの死去という悲劇にもかかわらず、アルバムは強力なシングル「Let’s Get Rocked」や「Have You Ever Needed Someone So Bad」など、キャッチーでエネルギッシュな曲を多数収録。プロダクションは依然として洗練されており、Def Leppardならではの分厚いコーラスと重厚なギターサウンドが健在だ。全米チャートで1位を獲得し、バンドの根強い人気を証明した。
各曲ごとの解説:
- Let’s Get Rocked
若々しい反抗心とエネルギーが溢れる一曲。軽快なリフとキャッチーなメロディが、ライブでの盛り上がりを予感させる。歌詞はシンプルで楽しさにフォーカスしており、「今夜は楽しもう!」という明るいメッセージが伝わるポップロックの代表作。 - Heaven Is
リズミカルでポップな要素が強い楽曲。恋愛をテーマにした歌詞とキャッチーなコーラスが印象的で、シンガロングに最適な曲だ。明るく軽快なサウンドが全体を通じて心地よい。 - Make Love Like a Man
力強いギターリフと豪快なコーラスが特徴の曲。バンドのユーモラスで遊び心のある一面が反映されており、歌詞は軽快で自信に満ちたメッセージを伝える。ライブでの定番曲としても人気が高い。 - Tonight
バラード調のミッドテンポなナンバー。エモーショナルなメロディと静かなイントロが、徐々に壮大な展開を見せる。ジョー・エリオットの感情的なボーカルが際立っており、曲が進むにつれて力強さを増す点が特徴的。 - White Lightning
故スティーヴ・クラークに捧げられた約7分の壮大な楽曲。歌詞は彼の破滅的なライフスタイルを反映しており、バンドメンバーの悲しみと哀悼の意が込められている。重厚なギターリフと緊張感のある展開が、楽曲全体をドラマチックに仕上げている。 - Stand Up (Kick Love Into Motion)
ロマンチックで甘美なメロディを持つバラード。恋愛の情熱をテーマにした歌詞と、優美なギターの旋律が魅力的で、バンドの持つ柔らかい一面が表れている。メロディアスで感情的なパフォーマンスが光る一曲だ。 - Personal Property
ファンキーなリズムとハードロックが融合した楽曲。自信に満ちたボーカルとリズムセクションが際立っており、バンドの多様性を感じさせる。軽快なリズムで、ノリの良いロックナンバーに仕上がっている。 - Have You Ever Needed Someone So Bad
感情的なバラードで、恋愛における切なさや葛藤を表現した一曲。ジョー・エリオットの繊細なボーカルが楽曲の中心にあり、スローなテンポと美しいギターアレンジが、楽曲の感動的な雰囲気を高めている。 - I Wanna Touch U
軽快でエネルギッシュなナンバー。アップテンポのリズムとキャッチーなメロディが特徴で、バンドの得意とするパーティーロック的な要素が前面に出ている。歌詞はシンプルだが、ライブでの盛り上がりを意識した楽曲だ。 - Tear It Down
ハードロックのエッジが際立つ、アルバムのクローズナンバー。エネルギッシュでスピーディーなリフが全体を駆け抜け、攻撃的なサウンドが魅力的。ラストを飾るにふさわしい勢いのある楽曲。
アルバム総評:
『Adrenalize』は、Def Leppardが1990年代初頭のロックシーンに適応しつつ、彼らの特徴であるキャッチーでエネルギッシュなサウンドを維持したアルバムだ。特に「Let’s Get Rocked」や「Have You Ever Needed Someone So Bad」などのシングルは、バンドの商業的成功をさらに拡大させた。全体的に洗練されたプロダクションが光り、スティーヴ・クラークの死後も、彼らの音楽的なスタイルが失われていないことを示している。アルバム全体を通じて一貫して楽しめる作品で、80年代のバンドのサウンドを懐かしむファンにも、新しいリスナーにも訴える力を持っている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Hysteria by Def Leppard
『Adrenalize』の前作で、同様にキャッチーで洗練されたサウンドを持つ。特に「Pour Some Sugar on Me」などのヒット曲が収録され、ポップメタルの代表作となっている。 - Keep the Faith by Bon Jovi
90年代に入ってもなお強力なポップロックを展開したBon Joviのアルバム。キャッチーなメロディとエネルギッシュなサウンドは『Adrenalize』と共通する要素が多い。 - Use Your Illusion I & II by Guns N’ Roses
1990年代初頭のロックシーンを代表する大作。より攻撃的でダークな一面を持ちながらも、ポップでメロディアスな楽曲も収録されており、『Adrenalize』ファンにも響く内容。 - Dangerous by Michael Jackson
ロックやポップの要素を融合させたアルバムで、ハードロックファンにも楽しめる作品。特に「Black or White」のように、キャッチーでエッジの効いた楽曲が特徴的。 - Get a Grip by Aerosmith
90年代に復活を遂げたAerosmithのアルバム。ハードロックとポップのバランスが絶妙で、『Adrenalize』のリスナーにも響くメロディアスな楽曲が豊富に揃っている。
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