発売日: 2020年5月22日
ジャンル: インディーフォーク、サイケデリックロック、ドリームポップ
『Strange to Explain』は、Woodsが2020年にリリースした11枚目のスタジオアルバムであり、キャリアの新たなフェーズを象徴する作品だ。コロナ禍が始まる直前のタイミングでのリリースという偶然も重なり、アルバム全体に漂う静謐な雰囲気と内省的なテーマが、時代と見事にシンクロしている。フォークの温かさ、サイケデリックな広がり、そしてドリーミーなポップサウンドがバランスよく融合し、Woodsならではの世界観をさらに深化させた作品だ。
このアルバムでは、リーダーのジェレミー・アールが父親になった経験が反映され、歌詞には家族、成長、時間の移ろいといったテーマが散りばめられている。また、ミニマルなアレンジとメランコリックなメロディーが中心に据えられ、静けさの中に漂う感情の深みが際立っている。アルバム全体を通じて、リスナーを夢の中へと誘うような感覚を味わえる一枚だ。
トラック解説
- Next to You and the Sea
アルバムの幕開けを飾るトラックは、軽快なリズムとドリーミーなギターが印象的。心地よいノスタルジーが漂い、新たな始まりを感じさせる一曲だ。 - Where Do You Go When You Dream?
柔らかなサイケデリックサウンドが広がるトラック。夢と現実の境界をぼやかすような歌詞が印象的で、アルバム全体のトーンを設定する楽曲だ。 - Before They Pass By
アコースティックギターと穏やかなメロディーが心地よい楽曲。時間の儚さや、瞬間を大切にすることを歌うリリカルなトラックだ。 - Can’t Get Out
重層的なボーカルとエコーが効いたギターが特徴。閉塞感と希望が交錯する、複雑な感情を描いた楽曲。 - Strange to Explain
アルバムのタイトル曲であり、メランコリックなピアノが中心となる一曲。時間と記憶、人生の不可解さをテーマにした詩的な歌詞が印象深い。 - The Void
サイケデリックな要素が強い楽曲で、エレクトリックギターの歪みと静けさが交互に現れる。深い空虚感を探るようなトラックだ。 - Just to Fall Asleep
リズミカルでポップなトラック。眠りへの願望がテーマで、軽やかながらもどこか切なさが漂う。 - Fell So Hard
アコースティックサウンドと優しいボーカルが調和した楽曲。愛や感情の重さを描写するメロディーが印象的。 - Light of Day
スローテンポで静謐な一曲。夜明けのような希望と再生を感じさせるトラックで、アルバムの中でも特に美しい瞬間を提供する。 - Be There Still
ギターのシンプルなアルペジオと控えめなボーカルが心に響くトラック。過去と現在の繋がりがテーマになっている。 - Weekend Wind
アルバムを締めくくる穏やかな楽曲。アコースティックなサウンドと詩的な歌詞が、アルバム全体の余韻を深めるフィナーレにふさわしい。
アルバム総評
『Strange to Explain』は、Woodsの繊細な音楽性と成熟したソングライティングが際立った作品だ。これまでのサイケデリックフォークやインディーフォークの要素に、ドリームポップ的な柔らかさが加わり、リスナーを穏やかな感情の旅へと誘う。時間の流れや家族といった普遍的なテーマを内省的に描いた歌詞が、アルバム全体の統一感を強めている。特に「Strange to Explain」や「Light of Day」といった楽曲は、静謐でありながら深い感動を与える名曲だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Shore by Fleet Foxes
フォークの温かみとメランコリックな要素が特徴で、『Strange to Explain』の穏やかな雰囲気に共鳴する。
Have We Met by Destroyer
ドリームポップ的な音楽性と詩的な歌詞が共通し、リスナーを深い感情の世界に引き込む。
Person Pitch by Panda Bear
柔らかなサイケデリックサウンドと浮遊感のあるメロディーが、『Strange to Explain』のサウンドと響き合う。
Carrie & Lowell by Sufjan Stevens
家族や時間をテーマにした内省的なアルバムで、Woodsの叙情的な一面が好きな人におすすめ。
Helplessness Blues by Fleet Foxes
フォークとサイケデリックな要素を融合させた作品で、自然や時間のテーマが共通している。
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