アルバムレビュー：Candy-O by The Cars

アルバムレビュー

2024.11.30

発売日: 1979年6月13日
ジャンル: ニューウェーブ、パワーポップ、ロック

The Carsの2作目となるアルバム『Candy-O』は、デビュー作で示したニューウェーブとパワーポップの融合をさらに磨き上げた作品である。アルバム全体を通して、より研ぎ澄まされたメロディとエッジの効いたギターワーク、そしてグレッグ・ホークスのシンセサイザーが生み出す未来的なサウンドが際立つ。プロデュースを手掛けたのは、クイーンなどの仕事で知られるロイ・トーマス・ベイカー。彼の精密な音作りが、アルバムのクリーンでダイナミックな仕上がりに大きく貢献している。

ジャケットアートも話題を呼び、アルバム全体に漂うスタイリッシュな雰囲気を象徴している。エロティックでクールなイメージを強調したジャケットは、アーティストのアルベルト・バルガスによるものだ。音楽とビジュアルの両面で、The Carsの個性が輝いている一枚である。

トラック解説
アルバム総評
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トラック解説

1. Let’s Go (3:33)

アルバムを開幕するポップでエネルギッシュなトラック。グレッグ・ホークスのシンセサイザーリフがキャッチーで、すぐに耳に残る。「She’s got the rhythm, she’s got the motion」と歌うリック・オケイセックの歌詞は軽快で青春的なムードを作り出している。The Carsの代表曲の一つ。

2. Since I Held You (3:16)

爽やかなギターワークとオケイセックのクールなボーカルが際立つミッドテンポのナンバー。恋愛の不安や欲望を描いた歌詞が、曲全体のメランコリックな雰囲気と調和している。

3. It’s All I Can Do (3:44)

ベンジャミン・オールがリードボーカルを担当したバラード調のトラック。切ないメロディラインと控えめなシンセサイザーが感情的な深みを与えている。恋愛の苦悩を繊細に描写した歌詞が心に残る。

4. Double Life (4:14)

ダークでミステリアスな雰囲気を持つ曲で、ニューウェーブの影響が色濃く表れている。軽快なリズムセクションとホークスのシンセサイザーが、楽曲に未来的な質感を加えている。

5. Shoo Be Doo (1:41)

エクスペリメンタルな短編曲で、奇妙なエコー効果やボーカル加工が際立つ。次のトラックへの橋渡し的な役割を果たしつつ、アルバム全体に個性を加える重要なピース。

6. Candy-O (2:37)

アルバムのタイトル曲で、リック・オケイセックがボーカルを担当。エレクトリックギターのカッティングが鋭く、シンプルながらもインパクトのある楽曲だ。歌詞には謎めいた魅力が漂い、アルバム全体のテーマを象徴している。

7. Night Spots (3:14)

エネルギッシュでダンサブルなトラックで、80年代的なシンセポップの萌芽を感じさせる。リズミカルなシンセサイザーとギターリフが曲を引き立てている。

8. You Can’t Hold on Too Long (2:47)

疾走感のあるギターワークと力強いリズムセクションが特徴的な楽曲。歌詞は感情的で、失うことへの恐れをテーマにしている。

9. Lust for Kicks (3:52)

軽やかなビートと遊び心のあるメロディが特徴。シンセサイザーとギターが楽曲に深みを与え、ユーモラスな歌詞がリスナーを引き込む。

10. Got a Lot on My Head (2:59)

パンキッシュなエネルギーを持つロックナンバーで、ストレートなギターサウンドがアルバムに勢いをもたらしている。

11. Dangerous Type (4:28)

アルバムのラストを飾るトラックで、ダークでセクシーな雰囲気が漂う。ギターとシンセが織り成す音の層が、楽曲に緊張感とドラマチックさを与えている。

アルバム総評

『Candy-O』は、The Carsが持つポップセンスと革新性が完璧に融合したアルバムである。キャッチーなシングル曲からエクスペリメンタルなトラックまで、多彩な楽曲が収録されており、ニューウェーブの魅力を存分に味わえる。デビュー作に続き、彼らの音楽的ビジョンがさらに確立された作品として、現在でも色あせない輝きを放っている。