アルバムレビュー：Black Sabbath by Black Sabbath

アルバムレビュー

2024.11.29

発売日: 1970年2月13日
ジャンル: ヘヴィメタル、ブルースロック

アルバム全体の印象

「Black Sabbath」は、バーミンガム出身のバンドBlack Sabbathのデビューアルバムであり、ヘヴィメタルというジャンルの原点ともいえる作品である。1970年2月13日（金曜日）にリリースされたこのアルバムは、その暗く陰鬱な雰囲気と、ブルースロックを基調としたヘヴィなサウンドで音楽界に衝撃を与えた。

トニー・アイオミのギターリフは、このアルバムを象徴する要素であり、彼の低音リフが生み出す重厚なサウンドが、後のメタルシーンに多大な影響を与えている。加えて、オジー・オズボーンの独特なボーカル、ギーザー・バトラーの深みのあるベースライン、ビル・ワードの力強いドラミングが融合し、バンドのシグネチャーサウンドを完成させている。

アルバムの多くの楽曲は、神秘的でオカルト的なテーマを扱っており、タイトル曲「Black Sabbath」の不穏なトーンや、ブルースの影響が強い「The Wizard」など、リスナーを独特な世界観へ引き込む力を持っている。本作は商業的成功を収めるとともに、批評家からも高い評価を受け、ヘヴィメタルの礎を築いた。

各曲解説

1. Black Sabbath
アルバムを象徴するタイトル曲で、雷鳴と雨音の効果音から始まる不気味なオープニングが印象的。トニー・アイオミのトリトーン（悪魔の音程）を使ったギターリフと、オジー・オズボーンの恐怖に満ちたボーカルが楽曲の世界観を作り上げている。オカルト的な歌詞がリスナーをさらに引き込む。

2. The Wizard
ブルースロックの影響が色濃い楽曲で、オジーがハーモニカを披露する一曲。魔法使いをテーマにした歌詞と、アップテンポなリズムが特徴で、アルバムの中でも特にキャッチーな楽曲だ。

3. Behind the Wall of Sleep
サイケデリックロックの要素が感じられる楽曲で、ギーザー・バトラーのベースラインが際立つ。歌詞には幻想的なテーマが込められており、独特なリズムが聴きどころ。

4. N.I.B.
ビル・ワードのドラムソロに続いて始まる、ギーザーのベースリフが印象的なトラック。愛を語る悪魔の視点から描かれた歌詞がユニークで、トニー・アイオミのギターソロが楽曲のクライマックスを飾る。

5. Evil Woman
アメリカ盤に収録されたカバー曲で、ブルースロックのルーツが感じられる。オリジナル曲ではないものの、バンドらしいアレンジが施され、シンプルながらもノリの良いトラックに仕上がっている。

6. Sleeping Village
アコースティックギターのイントロから始まる、緩急のある楽曲。徐々にダークでヘヴィなサウンドへ展開していく構成が見事で、アルバム全体のダイナミクスを高めている。

7. Warning
Aynsley Dunbar Retaliationの楽曲をカバーした10分以上の大作。ブルース色の濃い構成の中で、トニー・アイオミの即興的なギターソロが炸裂し、バンドの演奏力の高さを証明している。

8. Wicked World
アメリカ盤に収録されたトラックで、社会問題をテーマにした歌詞が特徴的。シンプルながらも鋭いメロディが印象的で、アルバム全体のバリエーションを広げている。

アルバム総評

「Black Sabbath」は、ヘヴィメタルの誕生を告げる歴史的なアルバムである。ブルースロックを基盤としながらも、暗く重いトーンや不穏なテーマが、当時のロックシーンに新しい風を吹き込んだ。トニー・アイオミのギターリフとオジー・オズボーンの個性的なボーカルは、このアルバムで完全に確立されており、後の作品にも引き継がれていく。

本作は、その革新性からジャンルを定義づける作品として評価され続けており、現在でも多くのリスナーに影響を与えている。メタルの原点を知るうえで、必聴の一枚である。