発売日: 2001年7月3日
ジャンル: ガレージロック、ブルースロック、パンクロック
White Blood Cellsは、The White Stripesがインディーシーンから主流の音楽界に躍り出たきっかけとなる3作目のスタジオアルバムである。この作品で、ジャック・ホワイトのエネルギッシュなギタープレイとメグ・ホワイトのシンプルで効果的なドラムが、リスナーに衝撃を与えた。荒削りなサウンドが特徴だった過去作に比べ、よりメロディアスで幅広い楽曲構成を取り入れ、The White Stripesのポップ性とクリエイティビティを見事に融合させている。
タイトルのWhite Blood Cellsは、急速に増加するバンドの注目度を「攻撃」に例えたもので、アルバムにはその状況への反応が込められている。ガレージロックの原点回帰を体現する作品でありながら、ジャックの卓越したソングライティングと二人の独自性が光る名盤だ。
トラック解説
1. Dead Leaves and the Dirty Ground
アルバムの冒頭を飾るエネルギッシュなトラック。重厚なギターリフが特徴で、ジャックのエモーショナルなボーカルが楽曲を引き立てる。失恋の悲しみを描いた歌詞が心に響く一曲。
2. Hotel Yorba
軽快でポップなフォークロック調のトラック。アコースティックギターが楽曲を彩り、歌詞にはノスタルジックなユーモアが込められている。バンドの親しみやすい一面が感じられる代表曲。
3. I’m Finding It Harder to Be a Gentleman
ピアノが加わり、ブルースロック色が強い楽曲。伝統的なブルースの影響を受けつつ、歌詞にはモダンな感覚が織り込まれている。ジェントルマンであることの難しさを皮肉を込めて描いている。
4. Fell in Love with a Girl
アルバム最大のハイライトとも言えるパンクロック的なトラック。疾走感のあるギターと激しいドラムが印象的で、曲の長さは2分にも満たないが、その短さが曲のエネルギーをさらに引き立てている。
5. Expecting
荒々しいギターリフが際立つ楽曲で、メグの力強いドラムが楽曲を支えている。短いながらも攻撃的なパフォーマンスが楽しめる一曲。
6. Little Room
アルバムの中で最も短いトラックで、わずか50秒ほどの楽曲。メグのシンプルなドラムとジャックの歌詞が実験的な雰囲気を醸し出す。
7. The Union Forever
ダークでシリアスなトラック。オーソン・ウェルズの映画『市民ケーン』の台詞を引用した歌詞が印象的で、バンドの映画愛が垣間見える一曲。ジャックのギターとボーカルがドラマチックな雰囲気を生み出している。
8. The Same Boy You’ve Always Known
メロディックなアコースティックトラックで、アルバム全体の中でも穏やかな一曲。歌詞には懐かしさや後悔が込められており、ジャックのボーカルが親密な雰囲気を醸し出す。
9. We’re Going to Be Friends
フォーク調の穏やかなバラードで、子供時代の無邪気さを描いた歌詞が心温まる。シンプルなギターと控えめなアレンジが楽曲の純粋さを際立たせている。
10. Offend in Every Way
ジャックのギターリフとメグのミニマルなドラムが絡み合うミッドテンポのトラック。歌詞には自己反省と葛藤が込められており、アルバムの中でも深みのある一曲。
11. I Think I Smell a Rat
不穏な雰囲気が漂う楽曲で、鋭いギターリフが楽曲を支配している。皮肉めいた歌詞とシンプルなアレンジが印象的。
12. Aluminum
インストゥルメンタル的なアプローチが特徴のトラック。ジャックのギターがノイズ的なサウンドを生み出し、実験的な一面を垣間見ることができる。
13. I Can’t Wait
ミッドテンポで進むブルースロック調の楽曲。ジャックの歌詞には切望や焦燥感が込められており、エモーショナルなパフォーマンスが光る。
14. Now Mary
軽快で親しみやすいロックンロールナンバー。短いながらもメロディの親しみやすさが際立つ一曲で、アルバムのペースを緩めない。
15. I Can Learn
メロディックで感情的なトラック。歌詞には内面的な葛藤が込められており、ジャックのギターとボーカルが楽曲をドラマチックに仕上げている。
16. This Protector
アルバムの締めくくりを飾るピアノ主体のトラック。メグがリードボーカルを務める珍しい楽曲で、アルバム全体を穏やかにまとめる。
アルバム総評
White Blood Cellsは、The White Stripesの荒々しいガレージロックとポップなソングライティングが見事に融合した作品である。ジャック・ホワイトのギタープレイとソングライティングの才能が際立ち、メグ・ホワイトのシンプルなドラムがそのサウンドを力強く支えている。特に「Fell in Love with a Girl」や「Hotel Yorba」などの楽曲は、バンドの象徴的な存在となり、ガレージロックのリバイバルを牽引した。
アルバム全体を通じて、ブルースやフォーク、パンクなどさまざまな要素が融合しており、The White Stripesの創造性が存分に発揮されている。荒削りながらも緻密に計算されたこの作品は、ロックの持つ純粋なエネルギーを感じさせる名盤だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Strokes – Is This It
シンプルでエネルギッシュなロックサウンドが共通し、同時期のガレージロックリバイバルを代表する作品。
The Black Keys – Rubber Factory
ブルースとガレージロックを融合したアルバムで、White Blood Cellsのファンにおすすめ。
The Hives – Veni Vidi Vicious
攻撃的でポップなガレージロックが特徴で、The White Stripesのエネルギーに共鳴する一枚。
Pixies – Doolittle
実験的なサウンドとキャッチーなメロディが、White Blood Cellsの多様性に通じる。
Jack White – Lazaretto
ジャック・ホワイトのソロアルバムで、White Blood Cellsのファンに響くエネルギッシュなサウンドが楽しめる。
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