発売日: 2000年10月30日
ジャンル: ロック / オルタナティブロック
「All That You Can’t Leave Behind」は、U2が2000年代に新たなスタートを切るべくリリースしたアルバムであり、彼らの原点回帰とも言える作品だ。80年代の名作「The Joshua Tree」や「Achtung Baby」の壮大さを彷彿とさせながらも、現代的で洗練されたサウンドが特徴。このアルバムでは、シンプルで普遍的なテーマが歌われ、リスナーに希望と感動を届ける楽曲が詰め込まれている。
特に「Beautiful Day」や「Walk On」といったトラックは、世界的な成功を収め、U2のメッセージ性と音楽的な魅力を改めて証明するものとなった。プロデューサーには長年のコラボレーターであるブライアン・イーノとダニエル・ラノワを迎え、U2ならではのスピリチュアルな深みとポップな感覚が融合した傑作だ。
各トラック解説
1. Beautiful Day
アルバムの代表曲で、U2のポップセンスが光るアンセミックな一曲。希望と再生を歌った歌詞と壮大なアレンジが、聴く者に感動を与える。
2. Stuck in a Moment You Can’t Get Out Of
ゴスペルの要素を取り入れたエモーショナルな楽曲。ボノが亡き友人に捧げた一曲で、彼の感情的なボーカルが胸に響く。
3. Elevation
エッジの効いたギターリフと軽快なビートが特徴のダンサブルなトラック。ライブでも人気が高く、U2のエネルギーを体現している。
4. Walk On
勇気と希望をテーマにした感動的なバラード。ミャンマーの民主化運動家アウンサンスーチーへのトリビュートとしても知られる。
5. Kite
個人的な別れをテーマにした感情的な楽曲。風に乗って自由に飛び立つカイト(凧)のメタファーが印象的で、深い余韻を残す。
6. In a Little While
ソウルフルでメロウな雰囲気が漂う楽曲。愛や時間の流れについての歌詞が優しく心に響く。
7. Wild Honey
ポップで軽快な一曲。愛と幸福感がテーマで、シンプルながらも温かみのあるメロディが印象的。
8. Peace on Earth
9/11以前に書かれた平和への願いを込めた楽曲。切ない歌詞と控えめなアレンジが、メッセージの重みを際立たせている。
9. When I Look at the World
内省的なトーンの楽曲で、信仰や世界の見方について問いかける深い内容が込められている。
10. New York
都会の喧騒や孤独をテーマにした楽曲。ダイナミックなビートとドラマチックなボーカルが、ニューヨークのエネルギーを表現している。
11. Grace
アルバムのラストを飾る静謐なバラード。優雅さや救いをテーマにした歌詞が心を穏やかに締めくくる。
アルバム総評
「All That You Can’t Leave Behind」は、U2が彼らの音楽的ルーツを再訪しつつ、現代的な感覚を取り入れた作品だ。シンプルで普遍的なメッセージ性を持ちつつ、壮大で感動的な楽曲が揃っており、多くのリスナーに響く一枚となっている。「Beautiful Day」や「Walk On」のような希望に満ちた楽曲から、「Peace on Earth」のような切実な祈りまで、幅広いテーマを持つ本作は、U2のメッセージ性と音楽的魅力を改めて証明するものだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Joshua Tree by U2
壮大でスピリチュアルなサウンドが、「All That You Can’t Leave Behind」のファンに響く。
Achtung Baby by U2
挑戦的なサウンドと深い感情を描いたアルバムで、U2のもう一つの魅力が楽しめる。
Automatic for the People by R.E.M.
内省的で感情豊かな楽曲が揃い、「All That You Can’t Leave Behind」のリスナーに共感を呼ぶ。
Parachutes by Coldplay
ポップロックの美しさを感じさせるアルバムで、U2のエモーショナルな一面が好きな人におすすめ。
X&Y by Coldplay
壮大なメロディと感情的な歌詞が、「Beautiful Day」のような楽曲が好きな人にぴったり。
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