発売日: 2016年10月14日
ジャンル: エレクトロポップ / インディーロック / ダンスロック
「Gameshow」は、Two Door Cinema Clubが3年ぶりにリリースした3作目のスタジオアルバムであり、バンドの新たな方向性を示す挑戦的な作品だ。これまでのギターベースのインディーロックから離れ、80年代のシンセポップやディスコ、ファンクの影響を大胆に取り入れたサウンドが特徴的である。フロントマンのアレックス・トリンブルは、制作過程でデヴィッド・ボウイやプリンスからインスピレーションを得たと語っており、その影響はアルバム全体にわたって感じられる。
歌詞は、現代社会の偽善や名声の危うさ、消費主義への批判など、これまでよりも政治的・哲学的なテーマに踏み込んでいる。「Gameshow(ゲームショー)」というタイトルは、現代社会がいかに虚構的で表面的なものであるかを暗示しており、バンドの意欲的な姿勢を感じさせる。
各トラック解説
1. Are We Ready? (Wreck)
アルバムのリードシングルで、消費主義社会への皮肉を込めた楽曲。キャッチーなコーラスとファンキーなビートが印象的で、アルバムのテーマを象徴するトラック。
2. Bad Decisions
80年代のシンセポップを彷彿とさせる楽曲で、デヴィッド・ボウイやトーキング・ヘッズの影響が色濃い。歌詞では、自己破壊的な行動や後悔について語られている。
3. Ordinary
ディスコとエレクトロポップの要素が融合した軽快なナンバー。都会生活の無機質さと自己探求のテーマが歌詞に込められている。
4. Gameshow
タイトル曲で、アルバム全体のコンセプトを集約した楽曲。ギターリフとシンセの絡み合いがスリリングで、現代社会の偽善や虚栄心への批判が強烈に表現されている。
5. Lavender
ダークでミステリアスな雰囲気を持つトラック。歌詞には不安感や現代社会の圧力が投影されており、エレクトロニックなサウンドがそれを引き立てている。
6. Fever
ダンサブルなビートとファルセットボーカルが特徴のトラック。感情の高ぶりや情熱がテーマになっており、サウンドの高揚感と一致している。
7. Invincible
アルバムの中でも特に内省的な一曲。アコースティックギターとシンセが絡み合うアレンジが新鮮で、歌詞では自己の脆さや希望を描いている。
8. Good Morning
軽快なリズムと明るいメロディが特徴のトラック。現代のデジタル文化や瞬間的な幸福をテーマにした皮肉の効いた歌詞が印象的。
9. Surgery
緊張感のあるギターリフとシンセサウンドが印象的な楽曲。歌詞では、個人の変化や社会的プレッシャーをテーマにしている。
10. Je Viens De Là
アルバムのエンディングを飾るトラック。フランス語のタイトルは「私はそこから来た」を意味し、ノスタルジックで詩的な雰囲気が漂う。シンプルなアレンジが歌詞の感情を引き立てている。
アルバム総評
「Gameshow」は、Two Door Cinema Clubがこれまでの音楽性を大胆に刷新し、新たな可能性を模索したアルバムである。80年代のシンセポップやディスコからの影響を受けたサウンドは、彼らの音楽性に新しい深みと洗練を加えている。歌詞では、社会への批判や内省がこれまで以上に強調され、アルバム全体に一貫したコンセプトが感じられる。「Are We Ready? (Wreck)」や「Bad Decisions」といった楽曲は、ダンスフロアでの高揚感を提供しつつ、聴き手に現代社会について考えさせるメッセージ性を持っている。Two Door Cinema Clubの新たな章を開く作品として、必聴のアルバムだ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Let’s Dance by David Bowie
80年代のシンセポップやディスコの影響を感じる楽曲が多く、「Gameshow」のサウンドに近い。
Discovery by Daft Punk
ディスコとエレクトロの融合が特徴で、Two Door Cinema Clubの新しい方向性に共通する。
Talking Heads: 77 by Talking Heads
アートポップとファンキーなビートが融合したアルバムで、「Bad Decisions」に通じる影響が感じられる。
Hot Fuss by The Killers
ダンサブルなインディーロックとキャッチーなメロディが特徴で、「Gameshow」のファンに響く作品。
Currents by Tame Impala
サイケデリックなエレクトロポップで、「Gameshow」の実験的な側面を好むリスナーにおすすめ。
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