発売日: 1974年5月
ジャンル: ファンク / ソウル / ジャズ
Tower of Powerの4作目となる「Back to Oakland」は、彼らの音楽的進化と円熟を示した傑作アルバムだ。この作品は、タイトルが示す通り、彼らのルーツであるカリフォルニア州オークランドに帰着するような、ファンク、ソウル、そしてジャズが融合した「East Bay Sound」の真髄を表現している。
ホーンセクションのタイトでパワフルな演奏、グルーヴィーなリズムセクション、そしてLenny Williamsのソウルフルなボーカルがアルバム全体を通じて光る。特に、「Don’t Change Horses (In the Middle of a Stream)」や「Squib Cakes」のようなトラックは、Tower of Powerの音楽的多様性と深みを象徴している。歌詞は、愛、自己表現、そして都会生活の現実を描き出し、リスナーを引き込む魅力を持つ。
各トラック解説
1. Oakland Stroke
アルバムの幕開けを飾るインストゥルメンタルトラック。ホーンセクションの圧倒的な迫力と、オークランドの街を象徴するグルーヴが完璧に表現されている。街の活気やスピリットが感じられる曲だ。
2. Don’t Change Horses (In the Middle of a Stream)
Tower of Powerの代表曲のひとつ。スティービー・ワンダーの「Superstition」を彷彿とさせるようなグルーヴィーなリズムとキャッチーなメロディが特徴。愛の一貫性を説く歌詞は、情熱的なLenny Williamsのボーカルによって力強く伝えられている。
3. Just When We Start Makin’ It
ミッドテンポのソウルナンバーで、愛が芽生え始める瞬間を描写した歌詞が印象的。ホーンセクションが楽曲全体を優雅に彩り、楽曲にエモーショナルな深みを加えている。
4. Can’t You See (You Doin’ Me Wrong)
エネルギッシュなファンクトラックで、恋愛の葛藤をテーマにしている。タイトなリズムセクションとホーンの掛け合いが楽曲の緊張感を高めている。
5. Squib Cakes
アルバムのハイライトとも言えるインストゥルメンタルトラック。Tower of Powerのジャズファンク志向を体現する楽曲で、ロッコ・プレスティアのファンキーなベースラインとチェスター・トンプソンの鍵盤プレイが際立つ。即興性と構成美が絶妙に絡み合う、彼らの技術の結晶だ。
6. Time Will Tell
ロマンチックなバラードで、Lenny Williamsのソウルフルなボーカルが楽曲の中心を支えている。愛の忍耐と未来への希望を歌った歌詞が心に響く。
7. Man from the Past
スリリングな展開を持つアップテンポのトラック。ジャズの影響を色濃く感じさせるアレンジと、ホーンセクションの緻密な演奏が際立つ一曲。
8. Love’s Been Gone So Long
感傷的なソウルバラードで、失恋の悲しみを描いている。Lenny Williamsのエモーショナルなボーカルが、失われた愛への切ない感情を見事に表現している。
9. I Got the Chop
ファンキーでアグレッシブな楽曲。ホーンセクションとドラムが主導するリズムが特徴的で、Tower of Powerのグルーヴィーなサウンドが存分に楽しめる。
10. Below Us, All the City Lights
アルバムのフィナーレを飾るバラード。オークランドの街の夜景をイメージさせるようなロマンチックな曲で、ピアノとストリングスのアレンジがドラマチックな雰囲気を作り出している。
アルバム総評
「Back to Oakland」は、Tower of Powerの音楽的多様性と技術的完成度を示す作品であり、彼らのキャリアの中でも最も評価の高いアルバムの一つだ。ファンク、ソウル、ジャズの要素が高度に融合し、個々のトラックが独自の魅力を持ちながらも、アルバム全体が一貫したストーリーを紡ぎ出している。「Don’t Change Horses」や「Squib Cakes」のような名曲を含む本作は、Tower of Powerの代表作としてファンクファン必聴の一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Bump City by Tower of Power
彼らの2作目で、ファンクとソウルがさらに洗練された作品。Tower of Powerサウンドの原点を楽しめる。
There’s a Riot Goin’ On by Sly & The Family Stone
Tower of Powerに多大な影響を与えた名盤で、社会性の強いファンクサウンドが特徴。
Fresh by Kool & The Gang
ファンクとジャズの要素を取り入れたアルバムで、「Back to Oakland」と通じるグルーヴが楽しめる。
Head Hunters by Herbie Hancock
ジャズファンクの代表作。Tower of Powerの即興性を好むリスナーにおすすめ。
Innervisions by Stevie Wonder
ソウルとファンクが高度に融合した作品で、愛と社会性をテーマにした深い内容が共通している。
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