発売日: 2015年11月6日
ジャンル: ポップ、エレクトロポップ、ダンスポップ
Ellie Gouldingの3枚目のスタジオアルバム『Delirium』は、エレクトロポップの枠を超え、メインストリームのポップミュージックに完全に踏み込んだ作品だ。このアルバムでは、スケール感の大きなサウンドとプロダクションを追求し、彼女のキャリアにおけるさらなる進化を示している。
「Love Me Like You Do」の成功を受けて制作された本作は、リスナーに向けたポップの壮大な声明であり、Ellieの多面的な才能を全面的に披露している。ドラマチックなバラードからアップテンポのダンスナンバーまで、多様性に富んだ楽曲が収録されており、ポップアイコンとしての地位を確立した一枚である。
アルバムの背景
『Delirium』は、Ellie Gouldingがこれまでのフォークやインディーポップのスタイルから大きく飛躍し、ポップミュージックの頂点を目指した作品だ。プロデューサーにはMax Martin、Greg Kurstin、Ryan Tedderなど、世界的に有名なクリエイターが参加し、グローバルな視点で制作が行われた。
Ellie自身はアルバム制作について「ポップミュージックの探求」と語っており、これまで以上にダンスフロア向けのサウンドや、大規模なオーケストレーションを取り入れている。また、この作品はリリース前の「Love Me Like You Do」(映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の主題歌)の成功によって、さらに期待が高まっていた。
各曲解説
1. Intro (Delirium)
アルバムの幕開けを飾る短いインストゥルメンタル。夢幻的なサウンドスケープが、アルバム全体の壮大な雰囲気を予感させる。
2. Aftertaste
ギターリフとエレクトロサウンドが融合したトラックで、Ellieの軽やかなボーカルが、別れの後の余韻を切なく描き出している。
3. Something in the Way You Move
キャッチーなダンスポップナンバー。シンセビートとEllieの滑らかなボーカルが、エネルギッシュな高揚感を生み出している。
4. Keep on Dancin’
クラブ向けのビートが際立つ一曲。タイトル通り、踊り続けたくなるような楽曲で、リズムの変化が楽しい。
5. On My Mind
リードシングルで、ギターリフとエレクトロポップが融合したトラック。Ellieの鮮烈なボーカルと、過去の恋愛をテーマにした歌詞が印象的。
6. Around U
恋愛の複雑な感情を描いたポップバラード。Ellieの感情的な歌唱が際立ち、アルバムの中でも特にドラマチックな一曲。
7. Codes
シンセとドラムビートが主体のアップテンポな楽曲。Ellieの遊び心あるボーカルが光るポップトラックだ。
8. Holding on for Life
エモーショナルなバラードで、深い愛情と不安の間で揺れる感情を描いている。壮大なプロダクションが楽曲を引き立てている。
9. Love Me Like You Do
映画『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の主題歌としてリリースされた大ヒット曲。壮大なオーケストレーションとEllieのボーカルが感情の頂点を表現している。
10. Don’t Need Nobody
クラブ向けのエレクトロトラック。パワフルなビートとEllieのリフレインが耳に残る一曲。
11. Don’t Panic
内省的な歌詞とアップビートなサウンドが特徴の楽曲。混乱の中で自己を取り戻すテーマが描かれている。
12. We Can’t Move to This
エキゾチックなリズムとポップなメロディが融合した楽曲。Ellieの柔らかな歌声が、楽曲に繊細さを加えている。
13. Army
Ellieが親友に捧げた感動的なバラード。友情をテーマにした歌詞と壮大なアレンジが、アルバムの中でも特に心温まる一曲。
14. Lost and Found
明るいメロディとノスタルジックな歌詞が魅力的な楽曲。フォークポップの要素が感じられる。
15. Devotion
シンセサウンドと感情的なボーカルが調和したトラックで、愛と献身をテーマにしている。
16. Scream It Out
アルバムの締めくくりを飾る楽曲。自己解放とカタルシスを歌った歌詞と壮大なアレンジが、アルバムを感動的に締めくくっている。
アルバム総評
『Delirium』は、Ellie Gouldingがポップミュージックの頂点を目指し、これまでのインディーポップ的な要素を洗練されたメインストリームのサウンドに昇華させた作品だ。プロダクションの規模感が非常に大きく、各楽曲が異なる雰囲気を持ちながらも、アルバム全体に一貫したエネルギーが感じられる。
「Love Me Like You Do」や「On My Mind」といったシングルはもちろん、友情をテーマにした「Army」や感情的な「Holding on for Life」など、アルバムトラックにも聴きどころが満載だ。Ellie Gouldingがポップ界の重要人物としての地位を確立した、この壮大な作品は、彼女のキャリアにおける新たな章の始まりを象徴している。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
1989 by Taylor Swift
ポップとシンセサウンドが融合したアルバムで、『Delirium』と同じくキャッチーなメロディが魅力。
Emotion by Carly Rae Jepsen
感情的なポップとダンス要素が絶妙に融合したアルバム。
Future Nostalgia by Dua Lipa
ディスコとエレクトロポップの要素が際立つアルバムで、エネルギッシュな楽曲が多い。
Ceremonials by Florence + The Machine
壮大なアレンジと力強いボーカルが特徴で、Ellie Gouldingファンにも響く作品。
Dangerous Woman by Ariana Grande
パワフルなポップトラックとバラードがバランス良く収録されたアルバム。
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