発売日: 2017年7月21日
ジャンル: ハードロック、アリーナロック
Defying Gravityは、Mr. Bigの9作目のスタジオアルバムであり、バンド結成から30年近くを経た熟練のサウンドが詰まった作品である。このアルバムでは、バンドの原点であるエネルギッシュなハードロックが中心となっており、彼らの持つ技巧とキャッチーなメロディが見事に融合している。メンバーの圧倒的な演奏技術が存分に発揮されている一方で、ベテランらしい遊び心も感じさせ、デビュー当時からのファンにも新しいリスナーにも楽しめる一枚に仕上がっている。
プロデューサーには、バンドの代表作Lean into Itも手がけたケヴィン・エルソンが再び迎えられ、初期のMr. Bigを思わせる生々しいサウンドが魅力的だ。シングル「1992」や「Everybody Needs a Little Trouble」など、懐かしさを感じさせるナンバーから、技巧が冴えわたる「Defying Gravity」まで、バンドの多彩な側面が表現されている。アルバム全体を通して、キャリアを重ねたMr. Bigの音楽性と進化が存分に楽しめる。
トラックごとの解説
1. Open Your Eyes
アルバムのオープニングを飾るエネルギッシュなロックナンバー。キャッチーなリフと、エリック・マーティンの力強いボーカルが印象的で、Mr. Bigらしい躍動感に満ちた一曲。
2. Defying Gravity
アルバムのタイトル曲で、シンコペーションの効いたリズムと華麗なギターソロが際立つ。複雑な構成ながらもスムーズに聴かせるアレンジが光り、バンドの技巧が際立っている。
3. Everybody Needs a Little Trouble
アップテンポでノリの良い楽曲で、ビリー・シーンのベースとポール・ギルバートのギターが絶妙に絡む。ハードでキャッチーなサウンドが、バンドの楽しさを表現している。
4. Damn I’m in Love Again
ポップでソウルフルなバラードで、エリック・マーティンの甘い歌声が際立つ。バンドのロマンチックな一面が垣間見える一曲。
5. Mean to Me
ファンキーなリフが特徴のロックナンバーで、遊び心あふれるビートとベースラインが楽しい。パット・トーピーのタイトなドラミングが際立っている。
6. Nothing Bad (Bout Feeling Good)
明るくポップなムードが漂うトラックで、爽やかなメロディが印象的。軽快なリズムとキャッチーなサウンドが、リスナーにポジティブな気分を与える。
7. Forever and Back
シンプルで心地よいバラードで、優しいギターのメロディが心に響く。バンドの感情豊かな一面を感じさせる楽曲で、マーティンのボーカルが温かみを加えている。
8. She’s All Coming Back to Me Now
グルーヴィーなベースラインが際立つ、ファンキーなリズムが魅力の曲。軽快で、リズムの変化が楽しめるアレンジが光る。
9. 1992
この曲は、Mr. Bigが世界的にヒットした年「1992年」へのオマージュであり、当時の栄光とノスタルジーが歌われている。パワフルなリフとエネルギッシュな演奏が、バンドの歴史を感じさせる。
10. Nothing at All
アコースティックギターを基調とした温かいトラックで、バンドのリラックスした一面が感じられる。メロディアスで、リスナーに優しい印象を与える一曲。
11. Be Kind
アルバムのラストを飾る、メッセージ性のあるエモーショナルなバラード。優しいメロディと歌詞が心に染み渡り、Mr. Bigの成熟したサウンドがアルバムを感動的に締めくくる。
アルバム総評
Defying Gravityは、Mr. Bigのキャリアと成長を感じさせるアルバムで、原点回帰しつつも新しいサウンドへの挑戦が見られる。特に「1992」や「Everybody Needs a Little Trouble」といった楽曲は、彼らの過去の栄光を思わせつつも、今のMr. Bigならではの深みが加わっている。ポール・ギルバートとビリー・シーンのテクニカルな演奏は健在で、エリック・マーティンのボーカルも力強さを増し、パット・トーピーのサポートも光っている。Defying Gravityは、技巧とエネルギー、そして豊かなメロディが融合した一枚であり、長年のファンにとっても、初めてMr. Bigを聴く人にとっても楽しめる作品だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Get a Grip by Aerosmith
キャッチーでエネルギッシュなロックアルバムで、技巧とメロディがバランスよく融合している。Defying Gravityのファンにおすすめ。
III Sides to Every Story by Extreme
テクニカルなギターと豊かなメロディが詰まった作品で、Mr. Bigのファンにも響く一枚。
The Winery Dogs by The Winery Dogs
ビリー・シーンが参加する別プロジェクトで、技巧とエネルギッシュなサウンドが楽しめる。Defying Gravityのファンにぜひ。
Slip of the Tongue by Whitesnake
ポール・ギルバートとビリー・シーンの技巧が好きなリスナーにおすすめの、メロディックでハードなアルバム。
Psycho Circus by KISS
アリーナロックの王道サウンドが詰まった作品で、Defying Gravityのエネルギッシュな側面が好きな人にぴったり。
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