発売日: 2021年4月2日
ジャンル: ポップ、ソウル、R&B
Dancing with the Devil… The Art of Starting Overは、デミ・ロヴァートの7作目のスタジオアルバムであり、彼女の過去の苦難と再生への決意を赤裸々に綴った作品である。このアルバムは、ロヴァートが経験した過去のトラウマや中毒、心の葛藤をテーマにしながらも、そこから立ち直り、再び自分らしく生きる姿を表現している。特に、オープニングトラック「Anyone」と続く「Dancing with the Devil」では、彼女が経験した痛みや孤独を率直に歌い上げ、聴く者に強いインパクトを与える。
プロデューサーにはフィニアス（ビリー・アイリッシュの兄であり、音楽プロデューサー）をはじめ、現代ポップのトップクリエイターたちが参加し、エモーショナルで洗練されたサウンドが印象的だ。アルバム全体にはR&Bやソウルの影響が強く感じられ、ロヴァートのボーカル力が存分に発揮されている。また、アリアナ・グランデやノア・サイラスといったゲストアーティストとのコラボレーションも話題となり、幅広い音楽性を持つ一枚に仕上がっている。
トラックごとの解説
1. Anyone
アルバムを切り開くエモーショナルなバラードで、ロヴァートの深い苦悩と孤独が響く。ピアノとボーカルだけのシンプルな構成が、彼女の本音を際立たせている。
2. Dancing with the Devil
アルバムのタイトル曲で、自己破壊的な行為との戦いがテーマ。ロヴァートの圧倒的なボーカルと力強い歌詞が、彼女の過去と向き合う決意を表現している。
3. ICU (Madison’s Lullabye)
姪のために歌われた優しいバラードで、家族への愛が込められている。ロヴァートの繊細なボーカルが心を癒す。
4. Intro
アルバムの第二章の幕開けを告げる短いインストゥルメンタル。過去から立ち直り、新しい人生へ向けての転機を象徴している。
5. The Art of Starting Over
リズミカルでアップテンポなポップナンバーで、新しい自分として再出発する喜びを歌っている。爽やかなサウンドが印象的。
6. Lonely People
恋愛における孤独感をテーマにした楽曲で、キャッチーなメロディとダークな歌詞が対比を成す。
7. The Way You Don’t Look at Me
心の痛みと恋愛の難しさを描いたバラードで、ロヴァートのボーカルが切なく響く。深い感情が伝わる一曲。
8. Melon Cake
過去の厳しいダイエット経験を皮肉ったトラックで、自由を求めるメッセージが込められている。ポップで明るいサウンドがユーモラス。
9. Met Him Last Night (feat. Ariana Grande)
アリアナ・グランデとのコラボレーションによる楽曲で、幻想的でエレクトロなサウンドが新鮮。恋愛の誘惑と危険をテーマにしている。
10. What Other People Say (with Sam Fischer)
サム・フィッシャーとのデュエットで、他人の期待に応えることの難しさを歌う。2人のボーカルが美しく調和している。
11. Carefully
静かでロマンチックなトラックで、愛を慎重に育てたいというテーマが込められている。控えめなメロディが優しさを感じさせる。
12. The Kind of Lover I Am
恋愛に対するロヴァートのユニークな視点を描いた楽曲で、個性が光る。軽快でポップなサウンドが耳に残る。
13. Easy (feat. Noah Cyrus)
ノア・サイラスとのコラボレーションで、別れの切なさを歌ったバラード。2人のボーカルが感情的な深みを生み出している。
14. 15 Minutes
裏切りをテーマにしたポップロック調の楽曲で、過去の恋愛への冷静な批判が描かれている。
15. My Girlfriends Are My Boyfriend (feat. Saweetie)
サウィーティを迎えたアップテンポなトラックで、友情を恋愛のように大切にするテーマ。ポップでダンサブルな一曲。
16. California Sober
リラックスしたトラックで、依存から解放されつつも慎重に生きることへの感謝を歌う。自身の経験からくる深いメッセージが込められている。
17. Mad World
ティアーズ・フォー・フィアーズのカバーで、ロヴァートのバージョンは静かでエモーショナル。彼女の歌唱力が際立っている。
18. Butterfly
家族への想いを歌ったトラックで、和解と自己解放のメッセージが込められている。柔らかく美しいサウンドが心に残る。
19. Good Place
アルバムを締めくくるトラックで、過去の痛みからの回復を象徴するポジティブな一曲。穏やかなボーカルと癒しのサウンドが印象的。
アルバム総評
Dancing with the Devil… The Art of Starting Overは、デミ・ロヴァートが苦悩と成長の軌跡を描いたパーソナルな作品であり、彼女のアーティストとしての成熟を感じさせるアルバムである。過去の経験と向き合いながら、新たな始まりを誓う姿が力強く表現され、心に残るメッセージとエモーショナルなサウンドが詰まっている。R&Bやポップ、ソウルなどの多彩なジャンルを融合し、彼女のボーカル力が存分に発揮された一枚。Dancing with the Devil… The Art of Starting Overは、ロヴァートの人生の再出発を象徴し、多くのリスナーに共感と勇気を与える作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Future Nostalgia by Dua Lipa
モダンなポップとレトロなディスコサウンドが融合した一枚で、ロヴァートのキャッチーな要素と共通する。
Plastic Hearts by Miley Cyrus
ロックとポップの融合が特徴的で、人生の困難と再生をテーマにした内容がロヴァートのアルバムと共鳴する。
Rare by Selena Gomez
ポップとR&Bを基調に自己成長をテーマとしたアルバムで、ロヴァートのパーソナルな内容が好きなリスナーにおすすめ。
Thank U, Next by Ariana Grande
グランデ自身の経験と回復が詰まったポップアルバムで、ロヴァートと同じく自己発見と癒しがテーマに含まれている。
Manic by Halsey
エモーショナルで内省的な内容が詰まった作品で、心の葛藤と成長を描いたロヴァートのアルバムと共通点が多い。
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