発売日: 1990年6月12日
ジャンル: ポップ、R&B、ソウル
マライア・キャリーのデビューアルバム「Mariah Carey」は、1990年代の音楽シーンに衝撃を与えた作品で、彼女の驚異的なボーカル能力とソングライティングの才能が広く認知された。20歳にしてリリースされた本作は、彼女のデビューにもかかわらず大きな成功を収め、4枚のシングルがビルボード・ホット100で1位を獲得するという快挙を成し遂げた。プロデュースにはトミー・モトーラをはじめ、ウォルター・アファナシエフやベン・マルゲルなどのベテランが参加し、ソウルフルでありながらもポップ市場に適した洗練されたサウンドが完成している。
アルバムのリリース当時、マライアはその5オクターブの音域と、ホイッスル・レジスターを自在に操る力で話題をさらい、彼女のボーカルスタイルはリスナーを圧倒した。楽曲には愛、希望、そして自己成長といった普遍的なテーマが含まれており、彼女のメッセージ性の強い歌詞も大きな魅力である。「Mariah Carey」は、音楽業界に新たな歌姫の登場を知らせるとともに、彼女の成功への道を切り開いたアルバムとなった。
トラックごとの解説
1. Vision of Love
アルバムのリードシングルで、強烈なインパクトを与えた名曲。愛の発見と希望をテーマにした歌詞と、ドラマチックなボーカルが特徴。特にブリッジのホイッスル・レジスターが印象的で、彼女のボーカル力を世に知らしめた一曲。
2. There’s Got to Be a Way
社会問題や人間の団結を歌ったメッセージ性の強いトラック。アップテンポのビートに乗せたキャッチーなメロディが印象的で、リスナーに希望を訴えかける一曲。
3. I Don’t Wanna Cry
切ない別れの感情を表現したバラードで、リスナーを涙させる感情的な楽曲。マライアの繊細で感情豊かなボーカルが際立っており、彼女の多様な表現力を示す。
4. Someday
失恋をテーマにしたダンサブルなトラックで、リズミカルなビートとキャッチーなサビが印象的。リスナーを前向きにさせる楽曲で、エネルギッシュなポップナンバーとして高い人気を誇る。
5. Vanishing
シンプルなピアノ伴奏のバラードで、マライアのボーカルがしっとりとしたムードを演出する。アルバムの中でも特にシンプルでありながら、彼女の歌唱力が際立つ感動的な一曲。
6. All in Your Mind
ダイナミックなビートに乗せたミッドテンポのトラックで、彼女の多彩なボーカルスタイルを楽しめる。ホイッスル・レジスターも再び披露され、リスナーを驚かせる技巧が詰まっている。
7. Alone in Love
メロウで心地よいバラードで、切ない恋愛の感情がテーマ。ソウルフルなボーカルが静かに響き、彼女の感情表現の豊かさが際立つ楽曲。
8. You Need Me
パワフルなビートと情熱的な歌詞が特徴的なトラックで、愛されることへの切望と葛藤が描かれている。彼女のボーカルは感情的で、聴く者の心に訴えかける。
9. Sent from Up Above
ファンクやソウルの要素が融合した楽曲で、リズミカルなビートが魅力的。愛の喜びを歌うアップテンポのナンバーで、彼女の多彩な音楽性が感じられる。
10. Prisoner
ラップ調の部分を取り入れた意欲的なトラックで、80年代後半から90年代初頭のヒップホップの影響がうかがえる。恋愛の束縛と解放をテーマにした歌詞が個性的。
11. Love Takes Time
アルバムを締めくくるバラードで、ゆっくりとしたテンポの中で愛の葛藤が描かれている。感情の起伏がドラマティックに表現され、マライアのソウルフルなボーカルが際立つ。
アルバム総評
「Mariah Carey」は、マライア・キャリーの並外れた才能を初めて世に知らしめたデビュー作であり、彼女の成功の礎となる重要なアルバムである。全体を通して、ポップとR&Bを基調とした洗練されたサウンドが特徴で、マライアの5オクターブにわたる広い音域とホイッスル・レジスターが彼女の独特の個性を引き立てている。特に「Vision of Love」や「Love Takes Time」などのバラードは彼女のキャリアを代表する楽曲となり、リスナーに強い感動を与えた。「Mariah Carey」は、90年代ポップシーンのスタンダードを築いたアルバムであり、彼女の今後の音楽的展開を予感させる作品として評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Emotions by Mariah Carey
デビューアルバムからさらに進化し、ソウルフルでパワフルなボーカルが楽しめる作品。マライアの歌唱力がさらに際立つ。
Whitney by Whitney Houston
ホイットニー・ヒューストンの2作目で、彼女のボーカル力が際立つ名盤。パワフルなボーカルが好きなリスナーにおすすめ。
The Bodyguard (Soundtrack) by Whitney Houston
映画サウンドトラックとしてリリースされたアルバムで、ソウルフルなバラードが満載。マライア同様、圧倒的な歌唱力が楽しめる。
Butterfly by Mariah Carey
マライアの音楽性がさらに成熟したアルバムで、R&Bとポップが見事に融合している。感情的なバラードが好きな人に最適。
The Velvet Rope by Janet Jackson
ソウルフルで感情的なアルバムで、90年代のポップR&Bを代表する作品。マライアのバラード好きなリスナーに響く一枚。
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