- 発売日: 1985年11月
- ジャンル: グランジ、オルタナティブロック、パンクロック
Come on Downは、シアトルのバンドGreen RiverがリリースしたデビューEPであり、後にグランジムーブメントの中心的存在となるメンバーが集結した重要な作品として知られる。メンバーには、後にMudhoneyやMother Love Bone、さらにはPearl Jamといった90年代のオルタナティブシーンを牽引するバンドに所属することになるジェフ・アメン、ストーン・ゴッサード、マーク・アーム、アレックス・ヴィンセントが含まれている。彼らの荒々しいサウンドとパンクの影響が色濃く表れたこのEPは、グランジのルーツとしての地位を確立した一枚であり、その影響力は現在に至るまで続いている。
サウンド面では、パンクロックのスピードとエネルギーに加えて、ヘヴィメタルやガレージロックの影響を取り入れており、後に「グランジ」として知られる音楽スタイルの原型を感じさせる。アルバム全体に漂う粗削りなエッジとダークな雰囲気、そしてメンバーの力強い演奏が、シアトルのインディーシーンのサウンドを象徴している。特に「Come on Down」や「Swallow My Pride」といったトラックはその後のシーンに多大な影響を与え、グランジの原点を体現する楽曲として高く評価されている。
トラック解説
1. Come on Down
タイトル曲であり、アルバムの中でも特に存在感のあるトラック。重厚なギターリフとマーク・アームの攻撃的なボーカルが特徴で、パンクとメタルの要素が融合したサウンドが耳に残る。力強い演奏がグランジの土台を築いたとされる一曲。
2. New God
リズムの効いたギターワークと、勢いのあるビートが印象的なトラックで、リリース当時のシアトルのアンダーグラウンドシーンの荒々しさを体現している。パンクとメタルのバランスが絶妙で、Green Riverの個性がよく表れた楽曲。
3. Swallow My Pride
Green Riverの代表曲ともいえる一曲で、キャッチーなメロディとパワフルなリズムが特徴的。後にMudhoneyやSoundgardenなどによってカバーされ、グランジのアイコン的な楽曲となった。自己主張や反抗心がテーマで、力強いメッセージが聴き手に伝わる。
4. Ride of Your Life
高速でエネルギッシュなトラックで、パンクの影響が強く感じられる。シンプルながらもインパクトのある構成で、Green Riverの持つ生々しいエネルギーが爆発している。疾走感とアグレッシブなボーカルが聴きどころ。
5. Corner of My Eye
一転してダークでスローな雰囲気が漂うトラック。重厚なリズムと歪んだギターが、緊張感のあるムードを醸し出しており、バンドの幅広い音楽性が感じられる一曲。内省的でありながらも力強さが感じられる。
6. Tunnel of Love
アルバムのエンディングを飾るトラックで、グランジの原型ともいえるサウンドが詰まっている。歪んだギターと激しいドラムが絡み合い、最後まで勢いを保ちながら終わる。荒々しい演奏とダークな雰囲気が、Green Riverのスタイルを見事に表現している。
アルバム総評
Come on Downは、Green Riverによる革新的なデビュー作であり、シアトルのグランジシーンの源流ともいえる重要な作品である。パンクロックとヘヴィメタル、さらにはガレージロックの影響を独自に組み合わせたサウンドは、当時としては新鮮であり、その後のオルタナティブロックシーンに多大な影響を与えた。Green Riverのメンバーは後にシアトルの音楽シーンを代表するバンドへと進化を遂げるが、その原点ともいえるこのアルバムには、荒削りながらも情熱と革新性が詰まっている。
このEPを通じて聴ける音楽は、後のシアトルサウンドの原点として非常に興味深いものであり、グランジやオルタナティブロックのファンにとって必聴の作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Bleach by Nirvana
荒々しく重厚なサウンドが特徴で、シアトルのグランジシーンを代表する作品の一つ。Come on Downと同様に、パンクとメタルの融合が楽しめる。 - Superfuzz Bigmuff by Mudhoney
Green Riverのメンバーが結成したバンドMudhoneyによる名盤で、グランジの音楽性が確立された一枚。パワフルでエネルギッシュなサウンドが印象的。 - Louder Than Love by Soundgarden
ヘヴィなサウンドとグランジ特有のダークなムードが融合したアルバム。Green Riverの影響が感じられる作品で、シアトルサウンドの進化が楽しめる。 - Facelift by Alice in Chains
グランジとヘヴィメタルを融合させたAlice in Chainsのデビューアルバム。ダークでヘヴィなサウンドがCome on Downのファンにも響く。 - Temple of the Dog by Temple of the Dog
シアトルのミュージシャンによるスーパーグループによる一枚。Green Riverのメンバーが参加したMother Love BoneやSoundgardenの影響が感じられる。
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