- 発売日: 2015年8月21日
- ジャンル: インディーロック、オルタナティブロック、ガレージロック
Eyes Wide, Tongue Tiedは、The Fratellisにとって4枚目のスタジオアルバムで、前作までの荒削りなガレージロックの要素を進化させ、さらにメロディアスで洗練されたサウンドが特徴的な作品である。カリフォルニアでのレコーディングや、前作Here We Standでタッグを組んだデイヴ・スィッティックとの再度のプロデュースによって、アルバム全体に広がりと温かみが加わっている。楽曲の構成やアレンジもバラエティに富んでおり、The Fratellisの幅広い音楽性が楽しめる。
本作では、前向きでポジティブなメッセージや、自由でのびのびとしたサウンドが際立っており、The Fratellisの新たなステップを感じさせる一枚である。「Me and the Devil」や「Baby Don’t You Lie to Me!」といったエネルギッシュなトラックから、「Imposters (Little by Little)」や「Slow」などのメロウで心地よいナンバーまで、アルバム全体を通して幅広い感情が表現されている。
トラック解説
1. Me and the Devil
アルバムの幕開けを飾るエネルギッシュなナンバーで、ブルージーなギターリフとファンキーなリズムが印象的。自由を求める姿勢や内面の葛藤が歌詞に表現されており、バンドのロックンロール魂が溢れ出す一曲である。
2. Imposters (Little by Little)
軽快なリズムとキャッチーなメロディが特徴のトラックで、現代の社会における自分自身の位置や疑念をテーマにしている。バンドらしいノスタルジックな雰囲気とポップなフックが絶妙に融合しており、リスナーに考えさせられる内容となっている。
3. Baby Don’t You Lie to Me!
アップテンポでダンサブルなトラックで、アルバムの中でも特にエネルギッシュな一曲。リズミカルなギターと軽快なビートが曲に勢いを与えており、ライブで盛り上がること間違いなしのナンバー。陽気でポップなメロディに乗せて、ジョンのボーカルが冴え渡る。
4. Desperate Guy
少しメランコリックなトラックで、恋愛における不安や切なさを表現している。リズムは落ち着いているが、メロディと歌詞にどこか憂いが漂い、The Fratellisの成熟した一面が感じられる。シンプルなギターが印象的。
5. Thief
重厚なリフとドラムが印象的なトラックで、よりダークな雰囲気が漂う一曲。ジョンのボーカルが陰影のある歌詞を力強く歌い上げ、ミステリアスなムードを引き立てている。ロックの力強さを感じさせる、アルバムの中で異彩を放つ楽曲。
6. Dogtown
アメリカ西海岸の影響を感じさせる軽快で陽気な曲で、開放感あふれるサウンドが特徴。リスナーを遠い場所へと誘うような、どこかノスタルジックなムードが漂う。ストーリー性のある歌詞も魅力で、ロードトリップにぴったりの一曲。
7. Rosanna
メロウでロマンチックなナンバーで、甘いメロディと柔らかなボーカルが印象的。恋愛や憧れがテーマとなっており、落ち着いたサウンドが心地よい。The Fratellisの柔和でリラックスした一面が垣間見えるトラック。
8. Slow
静かで心に沁みるバラードで、切なさがメロディに溢れている。アコースティックギターとジョンのエモーショナルなボーカルが、内面の葛藤や感情を表現しており、アルバム全体に深みを与えている一曲。
9. Getting Surreal
ファンキーなビートとポップなメロディが融合した楽曲で、リスナーを心地よい気分にさせるような明るいサウンドが特徴。軽快で遊び心のある雰囲気があり、The Fratellisらしい楽しい一面が際立っている。
10. Too Much Wine
ブルース調のサウンドが特徴的なトラックで、哀愁漂う歌詞が魅力的。恋愛における後悔や切なさを、ジョンのエモーショナルなボーカルが表現している。アルバムの中でも落ち着いたトーンが印象に残る一曲。
11. Moonshine
アルバムのフィナーレにふさわしい、穏やかで優雅なバラード。ムードが漂うピアノとアコースティックギターが曲に温かみを与えている。ノスタルジックで、じっくりと聴かせるフィナーレとして、アルバム全体に美しい余韻を残す。
アルバム総評
Eyes Wide, Tongue Tiedは、The Fratellisの成長が感じられる一枚で、ガレージロックからさらに進化した洗練されたサウンドが楽しめる作品である。軽快なビートとメロディアスな曲調が特徴的で、バンドのエネルギッシュな面だけでなく、柔らかくエモーショナルな一面も強調されている。前向きで開放的なトラックと、内省的で哀愁漂うトラックがバランスよく配置されており、Eyes Wide, Tongue Tiedは、The Fratellisの音楽性の幅広さを示すと同時に、リスナーに多彩な感情を呼び起こさせる一枚である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Only by the Night by Kings of Leon
ブルージーなギターとエモーショナルなボーカルが特徴で、Eyes Wide, Tongue Tiedの持つ深みと落ち着いたトーンに通じる。 - AM by Arctic Monkeys
ファンキーなリズムと、哀愁漂うロックサウンドが楽しめる一枚。メロディのキャッチーさと奥行きが、The Fratellisのファンにおすすめ。 - Torches by Foster the People
ポップでダンサブルなビートが特徴のアルバムで、軽快なエネルギーが楽しめる。ノスタルジックで開放的な雰囲気が共通している。 - We Are the Night by The Chemical Brothers
エレクトロとロックが融合した、幻想的なサウンドが特徴の作品。フロア向けのビートと開放感あるトーンが、Eyes Wide, Tongue Tiedに響く。 - Favourite Worst Nightmare by Arctic Monkeys
エネルギッシュでキャッチーなロックサウンドが詰まった一枚。パーティー感と内省的なトラックがバランスよく配置され、The Fratellisのファンにぴったり。
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