発売日: 1966年12月9日
ジャンル: ブルースロック, サイケデリックロック
Fresh Creamは、1966年にリリースされたイギリスのロックバンド、Creamのデビューアルバムであり、ブルースとロックが見事に融合した作品である。当時、エリック・クラプトン(ギター)、ジャック・ブルース(ベース、ボーカル)、ジンジャー・ベイカー(ドラムス)という3人の才能が集結し、当時としては画期的な「スーパーグループ」が誕生した。このアルバムでは、メンバーそれぞれの卓越したテクニックと即興演奏が際立っており、ブルースに基づきながらもロックのエネルギーが強く感じられる。特にクラプトンのギターリフとブルースの熱いボーカル、ベイカーのダイナミックなドラムは、彼らが従来のロックの枠を超えたサウンドを追求していることを示している。
アルバムにはブルースのカバーとオリジナル曲が混在し、泥臭いブルースの魅力とサイケデリックな実験性が調和している。Fresh Creamはその後のロックの発展に多大な影響を与え、彼らがロックシーンに確固たる足跡を残すきっかけとなった。現在でも、その大胆でエネルギッシュなサウンドは色褪せることなく、ロックファンに愛され続けている。
曲ごとの解説
1. I Feel Free
アルバム冒頭に収録されたポップでキャッチーなナンバーで、ブルースロックというジャンルを超えた広がりを感じさせる。アカペラで始まるイントロから一気に展開し、クラプトンの流麗なギターリフとブルースのボーカルが印象的だ。自由を象徴するような歌詞とエネルギッシュなリズムが、聴く者を鼓舞する一曲。
2. N.S.U.
ジャック・ブルースによるオリジナル曲で、アップテンポなリズムとサイケデリックなサウンドが特徴的。ブルースのリフが全体を支え、ベイカーのダイナミックなドラムが楽曲に躍動感を与えている。曲名の「N.S.U.」は「Non-Specific Urethritis(非特異的尿道炎)」の略で、ジョーク的にタイトルが付けられた。
3. Sleepy Time Time
スローなブルースで、ジャック・ブルースのボーカルとクラプトンのギターが相性良く響く。クラプトンのブルース色が強く、ソロパートでは彼の繊細な表現力が際立つ。ゆったりとしたテンポが、夜の静寂や気だるさを思わせる。
4. Dreaming
わずか2分強の短いトラックながら、心地よいメロディと軽やかなリズムが魅力的。ポップな要素を含み、当時のロックの流行を反映した一曲である。歌詞は夢を見ているかのような幻想的な内容で、サイケデリックな雰囲気が漂う。
5. Sweet Wine
ジャック・ブルースとジンジャー・ベイカーの共作で、エネルギッシュなドラムが際立つ楽曲。サビの高揚感が印象的で、自由を追求する精神が感じられる。サイケデリックロックへの実験性が見られ、クラプトンのギターとベイカーのドラムが楽曲にスリリングなテンションを与えている。
6. Spoonful
ブルースのスタンダードであるウィリー・ディクソンのカバー。クラプトンのギターが唸りを上げ、バンドの即興性と技術が際立つ一曲で、ジャムセッションのようなライブ感が強く感じられる。13分を超える大作で、彼らのブルースへの敬意とロックの実験性が詰まっている。
7. Cat’s Squirrel
ブルースのインストゥルメンタルで、クラプトンのリードギターが力強く響く。ベイカーとブルースのリズムセクションが楽曲に一体感をもたらし、クラプトンのブルースギターが際立つ。インストながらも緊張感があり、リスナーを惹きつける。
8. Four Until Late
ロバート・ジョンソンの楽曲をカバーした、軽快で陽気なブルースナンバー。クラプトンのボーカルがフロントに立ち、彼のブルースへの愛が感じられる。シンプルなアレンジとリラックスした雰囲気が、原曲のエッセンスを大切にしている。
9. Rollin’ and Tumblin’
マディ・ウォーターズのカバーで、アコースティックなブギースタイルが特徴的。ジャック・ブルースの力強いハーモニカが印象的で、彼のボーカルも荒々しく、ブルースの泥臭さが際立つ。伝統的なブルースのエネルギーを感じさせる。
10. I’m So Glad
スキップ・ジェイムズのカバーで、Creamのライブでも定番のナンバー。クラプトンのギターソロが曲を通して際立ち、ベイカーのドラムが躍動感を生み出している。高揚感のあるサウンドが聴く者を興奮させる。
11. Toad
アルバムを締めくくるインストゥルメンタルトラックで、ジンジャー・ベイカーのドラムソロがフィーチャーされている。7分を超える長尺のソロは当時としては画期的で、彼の卓越したテクニックと表現力が詰まった一曲だ。ロック・ドラムの新たな境地を示した楽曲である。
アルバム総評
Fresh Creamは、ブルースロックというジャンルを革新した作品であり、Creamのメンバーそれぞれの実力と個性が存分に発揮されたアルバムだ。エリック・クラプトンのギター、ジャック・ブルースのボーカルとベース、ジンジャー・ベイカーのドラムが一体となって、ブルースとロックの融合を見事に実現している。ブルースのルーツを大切にしながらも、サイケデリックやロックの要素を取り入れた彼らのアプローチは、後に続く多くのロックアーティストに影響を与えた。このアルバムは、ロックとブルースの歴史における重要な作品として、今なお輝きを放ち続けている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- Are You Experienced by The Jimi Hendrix Experience
ギターの革新的な表現とブルースを融合した、ロックの歴史的名盤。Cream同様にギター、ベース、ドラムのトリオ編成で、ブルースロックの限界を押し広げている。
エリック・クラプトンが在籍していたバンドの名作で、彼のブルースギタースタイルのルーツが感じられる。Creamファンには必聴の一枚。
Creamの影響を受けたブルースロックの名盤。ヘヴィなサウンドとブルースの融合が、新しいロックのスタイルを打ち立てた。
- Disraeli Gears by Cream
Creamのセカンドアルバムで、よりサイケデリックなアプローチが強化された作品。Fresh Creamからの進化を感じられる。
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ジェフ・ベックがブルースをベースにロックの新しい可能性を探ったアルバム。Creamのファンにとっても聴きごたえのあるブルースロックの名盤。
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