アルバムレビュー：Uptown Special by Mark Ronson

発売日: 2015年1月13日
ジャンル: ファンク、R&B、ポップ、ヒップホップ

ヴィンテージ・ファンクと現代ポップの融合—Mark Ronsonの最高傑作
全曲レビュー
総評
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ヴィンテージ・ファンクと現代ポップの融合—Mark Ronsonの最高傑作

2015年にリリースされたUptown Specialは、Mark Ronsonにとってキャリアの頂点とも言えるアルバムであり、ファンク、ソウル、R&Bの要素を現代的に昇華させた作品である。本作には、世界的大ヒット曲「Uptown Funk (feat. Bruno Mars)」が収録され、Ronsonの名を一躍世界に知らしめた。

アルバム全体のプロデュースには、Jeff Bhasker（Kanye West、Beyoncé、Alicia Keysなどを手掛けたプロデューサー）が参加し、Stevie Wonderがハーモニカを演奏するオープニング＆エンディングを含め、70年代のファンク／ソウルを現代的にアップデートしたサウンドが際立つ。また、Kevin Parker（Tame Impala）、Mystikal、Andrew Wyatt（Miike Snow）といったアーティストがゲスト参加し、異なるスタイルの融合を試みた実験的な側面も持つアルバムとなっている。

全曲レビュー

1. Uptown’s First Finale (feat. Stevie Wonder & Andrew Wyatt)

Stevie Wonderによるハーモニカ演奏とAndrew Wyattのヴォーカルで幕を開ける、まるで70年代のソウルアルバムのイントロのようなトラック。アルバム全体のレトロな雰囲気を提示する序章的な役割を果たす。

2. Summer Breaking (feat. Kevin Parker)

Tame ImpalaのKevin Parkerを迎えたドリーミーなファンクナンバー。サイケデリックなギターと滑らかなビートが絡み合い、涼しげなサウンドが心地よい。

3. Feel Right (feat. Mystikal)

本作のファンク度を一気に引き上げる楽曲。James Brownを彷彿とさせるMystikalのシャウトと、強烈なブラスセクションが炸裂する、グルーヴィーでエネルギッシュなナンバー。ライブパフォーマンス向きの一曲。

4. Uptown Funk (feat. Bruno Mars)

本作の最大のヒット曲にして、2010年代を代表するポップ・アンセム。Bruno Marsのヴォーカルと、80年代のプリンスやザップを彷彿とさせるファンクサウンドが融合し、世界的に大成功を収めた。キャッチーなフック、洗練されたリズム、遊び心のあるリリックが見事に噛み合った究極のファンクポップ。

5. I Can’t Lose (feat. Keyone Starr)

パワフルな女性ボーカルKeyone Starrをフィーチャーした、クラシックなディスコ・ファンクナンバー。ダンスフロアを意識したアップテンポなグルーヴが特徴で、70年代のモータウンサウンドを現代風にアップデートしたような楽曲。

6. Daffodils (feat. Kevin Parker)

Kevin Parkerが再び参加し、Tame ImpalaのサイケデリックロックとRonsonのファンクグルーヴが融合した独特なトラック。浮遊感のあるシンセサウンドとファンキーなリズムがクセになる一曲。

7. Crack in the Pearl (feat. Andrew Wyatt)

Andrew Wyatt（Miike Snow）を迎えたバラード調の楽曲。シンプルなピアノのメロディと繊細なボーカルが美しく、アルバム全体の中で一息つけるようなスムーズなトラック。

8. In Case of Fire (feat. Jeff Bhasker)

Jeff Bhaskerのボーカルが印象的な、グルーヴィーでシンセを多用したファンクナンバー。どこかStevie Wonderの影響を感じさせる、キャッチーかつスムーズなサウンド。

9. Leaving Los Feliz (feat. Kevin Parker)

Kevin Parkerが3回目の登場。レイドバックした雰囲気のメロディと、幻想的なサウンドスケープが特徴的なサイケファンクトラック。ロサンゼルスの喧騒から離れることをテーマにした歌詞も印象的。

10. Heavy and Rolling (feat. Andrew Wyatt)

Andrew Wyattが再び参加したミッドテンポのナンバー。ピアノとファンクグルーヴのバランスが良く、シンプルながら味わい深いサウンドが特徴。

11. Crack in the Pearl, Pt. II (feat. Stevie Wonder & Jeff Bhasker)

アルバムのエンディングとして、再びStevie Wonderが登場し、ノスタルジックな雰囲気でアルバムを締めくくる。

総評

Uptown Specialは、Mark Ronsonが過去のソウル／ファンクのエッセンスを現代のポップミュージックに落とし込んだ傑作であり、彼のプロダクションの集大成とも言える作品である。特に「Uptown Funk」の爆発的な成功により、ファンクサウンドをポップシーンのメインストリームに復活させたアルバムとして、その歴史的意義は大きい。

また、Kevin ParkerやAndrew Wyattといったインディーミュージックの影響も取り入れ、従来のファンク／ソウルの枠にとらわれない、新たな音楽的挑戦が試みられている。Ronsonのヴィンテージサウンドに対するこだわりと、現代的なポッププロダクションが見事に融合した作品として、彼のキャリアの中でも最も評価の高いアルバムのひとつとなっている。