発売日: 2014年7月18日
ジャンル: シンセポップ、ニューディスコ、エレクトロポップ
La Rouxのセカンドアルバム『Trouble in Paradise』は、前作『La Roux』から5年の沈黙を経てリリースされた作品であり、大きな音楽的進化を遂げた一枚である。Elly Jacksonがプロジェクトの単独メンバーとなったことで、彼女自身の音楽的ビジョンが色濃く反映されている。本作では、1980年代のシンセポップの要素を継承しつつ、ニューディスコやファンク、レゲエなど多様な影響を取り入れた洗練されたサウンドを展開している。
歌詞の面では、恋愛や自己反省といったテーマが深く掘り下げられており、個人的な感情が豊かに表現されている。グルーヴ感のあるビートとドリーミーなサウンドスケープが融合し、ダンサブルでありながらも内省的な雰囲気を併せ持つアルバムとなっている。
トラック解説
1. Uptight Downtown
アルバムの幕開けを飾るグルーヴィーなトラックで、ニューディスコの影響が色濃い。キャッチーなギターリフと軽快なビートが印象的で、ダンサブルなエネルギーを放っている。
2. Kiss and Not Tell
80年代のシンセポップを思わせる明るいメロディーとリズムが特徴の楽曲。恋愛の軽やかな側面を描いた歌詞がポップなサウンドとマッチしている。
3. Cruel Sexuality
恋愛における矛盾や苦悩をテーマにした楽曲。エモーショナルな歌詞とファンキーなサウンドが融合し、ダンスフロアでも楽しめる一曲に仕上がっている。
4. Paradise Is You
ミッドテンポでドリーミーな雰囲気を持つトラック。甘美なメロディーとエモーショナルなボーカルが、アルバムの中で異彩を放つ。
5. Sexotheque
軽快で遊び心のある楽曲。歌詞では、恋愛よりも遊びを優先するテーマを扱い、シニカルなユーモアが光る。
6. Tropical Chancer
レゲエとディスコの影響を感じさせるグルーヴィーなトラック。南国の楽園を思わせる軽やかなサウンドが楽しい。
7. Silent Partner
アルバムで最もエネルギッシュな楽曲で、7分を超える長尺が特徴。重厚なシンセとドラムが生み出す勢いが圧巻で、ライブ感を強く感じさせる。
8. Let Me Down Gently
アルバムを代表する感情的なバラードで、切ないメロディーと心を打つ歌詞が印象的。静かなイントロからドラマチックなクライマックスへと展開する構成が秀逸。
9. The Feeling
シンセポップとファンクを融合させた楽曲で、アルバムを締めくくるにふさわしい軽やかで楽しいエンディングを演出している。
アルバム総評
『Trouble in Paradise』は、La Rouxがアーティストとしての幅を広げた作品であり、シンセポップを核にしながらもニューディスコやファンクの要素を大胆に取り入れた洗練されたアルバムである。「Uptight Downtown」や「Let Me Down Gently」といった楽曲は、ダンサブルでありながらも感情的な深みを持ち、La Rouxの成長を感じさせる。本作は、ポップミュージックにおける創造性と個性を見事に融合させた成功例であり、リスナーに多様な楽しみを提供する一枚となっている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Róisín Murphy – Overpowered
エレクトロポップとディスコを融合した作品で、『Trouble in Paradise』のファンにぴったりの一枚。
Goldfrapp – Head First
シンセサウンドを基調にしたキャッチーなポップアルバムで、La Rouxのエッセンスと通じる。
Jessie Ware – Devotion
内省的な歌詞と洗練されたサウンドが、『Trouble in Paradise』の繊細な一面と共鳴する。
Cut Copy – Free Your Mind
ニューディスコとシンセポップが融合したダンサブルなアルバムで、La Rouxの進化を感じたリスナーにおすすめ。
Robyn – Honey
ダンサブルなエレクトロポップと感情的な歌詞が特徴で、『Trouble in Paradise』の内面的な要素を楽しめる。
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