発売日: 2021年3月26日
ジャンル: ポップ、オルタナティブポップ
10代のリアルな感情を詰め込んだポップEP——Tate McRaeの成長を感じさせる一枚
カナダ出身のシンガーソングライター Tate McRae の2作目のEP Too Young to Be Sad は、彼女のソングライティングとアーティストとしての成長を証明する作品 となった。
デビューEP All the Things I Never Said（2020年）が、内省的で繊細な楽曲を中心としたものであったのに対し、本作ではより自信に満ちたサウンドと、多様な音楽性を取り入れたアレンジが特徴。10代ならではの恋愛や不安、自分探しといったテーマを扱いながら、ポップでキャッチーなメロディを前面に押し出している。
また、本作に収録された「You Broke Me First」は、TikTok でバイラルヒットし、彼女の知名度を一気に押し上げた代表曲 となった。
全曲レビュー
1. R U OK
シンセポップの要素を取り入れた、ダークでムーディーな楽曲。別れた相手が自分なしでやっていけるかどうかを問いかける歌詞が印象的で、リズムの展開が独特。
2. You Broke Me First
本作の最大のヒット曲で、失恋の痛みを淡々と歌い上げるエモーショナルなバラード。TikTokで大ヒットし、McRae のキャリアを大きく飛躍させた。シンプルなピアノのイントロとミニマルなプロダクションが、彼女の繊細なボーカルを際立たせている。
3. Slower
柔らかいギターリフとメロウなメロディが特徴の楽曲。関係が急展開することへの戸惑いを歌った内容で、切ないながらも心地よい雰囲気を持つ。
4. Bad Ones
エネルギッシュなポップ・ナンバー。「いつも良くない相手に惹かれてしまう」という恋愛の矛盾をテーマ にしており、McRae の遊び心のあるリリックが光る。
5. Rubberband
心の傷を乗り越えようとする強さを歌った楽曲。「ゴムバンドを手首にはめて、痛みを感じたら弾く」という行動を比喩に用いた歌詞が印象的。ビートのグルーヴ感が心地よい。
6. Wish I Loved You in the 90s
90年代の恋愛を理想化し、現代の恋愛と比較するユニークな視点を持つ楽曲。ノスタルジックな歌詞と洗練されたサウンドが特徴で、彼女の新たな音楽的アプローチを感じさせる。
総評
Too Young to Be Sad は、Tate McRae の音楽的成長を示す重要なEP であり、彼女の持つソングライティングの才能と、ポップアーティストとしての可能性を存分に発揮した作品となった。
特に「You Broke Me First」の大ヒットにより、彼女は世界的な注目を集め、他の楽曲もより幅広い層のリスナーに届くようになった。本作では、ポップ、オルタナティブポップ、シンセポップの要素をバランスよく取り入れ、前作よりもダイナミックなサウンドになっている。
おすすめのリスナー:
- Billie Eilish や Olivia Rodrigo のようなエモーショナルなポップが好きな人
- 失恋ソングや内省的な歌詞に共感できる人
- TikTokで流行したポップアーティストに興味がある人
おすすめアルバム／EP
1. Olivia Rodrigo – SOUR (2021)
10代の恋愛や感情の揺れを描いた作品で、McRae の楽曲と共通する要素が多い。
2. Billie Eilish – Happier Than Ever (2021)
エモーショナルな楽曲と洗練されたプロダクションが特徴のアルバム。
3. Gracie Abrams – This Is What It Feels Like (2021)
内省的なポップと繊細なボーカルが魅力の作品。
4. Madison Beer – Life Support (2021)
ポップとエレクトロニックなサウンドが融合したアルバムで、McRae の音楽と似た雰囲気を持つ。
5. Sasha Sloan – Only Child (2020)
シンガーソングライターとしての繊細な表現が光る作品で、McRae の楽曲とも相性が良い。
Tate McRae の2作目のEP Too Young to Be Sad は、彼女のアーティストとしての進化を示す作品であり、エモーショナルな歌詞とキャッチーなメロディが共存する魅力的なEP となっている。10代のリアルな感情を詰め込んだこの作品は、多くのリスナーに共感を与えることだろう。
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