Time of the Season by The Zombies(1968)楽曲解説

1. 歌詞の概要

「Time of the Season」は、**イギリスのロックバンドThe Zombiesゾンビーズ)**が1968年にリリースしたアルバム『Odessey and Oracle』に収録された楽曲であり、サイケデリックで幻想的な雰囲気と官能的な歌詞が特徴的な名曲です。

この曲のテーマは、「愛と自由」、そして「新しい時代への期待」です。60年代後半は、ヒッピー文化やフラワーパワーの影響が強まった時期であり、「Time of the Season」はその自由な愛と精神的な解放を象徴する楽曲となっています。歌詞の中では、恋人への甘美な誘いと、時代の変化を見据えたポジティブなメッセージが込められています。

また、楽曲のサウンドは、ジャズのようなリズムセクション、サイケデリックなオルガン、官能的なコーラスによって、60年代のサイケデリックロックの代表的なサウンドを形成しています。特に、Colin Blunstone(コリン・ブランストーン)の繊細で魅惑的なボーカルが、楽曲のムードを際立たせています。

2. 歌詞のバックグラウンド

「Time of the Season」は、The Zombiesのキーボーディストであり、主要ソングライターでもある**Rod Argent(ロッド・アージェント)**によって書かれました。

1967年の**「サマー・オブ・ラブ」の余韻が残る中で制作されたこの楽曲は、当時のヒッピーカルチャーやカウンターカルチャーの精神を反映しています。「愛」「自由」「新しい時代の始まり」**といった60年代のムーブメントが、歌詞と音楽の両方に込められています。

また、この曲が収録されたアルバム『Odessey and Oracle』は、バロックポップとサイケデリックロックの傑作として評価されています。しかし、発売当時は商業的には成功せず、バンドはアルバムリリース直後に解散してしまいました。

その後、1969年に「Time of the Season」がアメリカでヒットし、ビルボード・ホット100で3位を記録。これにより、The Zombiesは再評価され、今日では60年代の最も影響力のあるバンドのひとつと見なされています。

3. 歌詞の抜粋と和訳

以下は、「Time of the Season」の印象的な歌詞の一部です。

官能的な問いかけ

Lyrics:

What’s your name?
Who’s your daddy?
Is he rich like me?

和訳:

君の名前は?
君の父親は誰?
彼は僕みたいに裕福なの?

このフレーズは、やや挑発的でありながらも、恋の駆け引きのような雰囲気を持っています。「君の父親は金持ちか?」というラインは、単なる金銭的な意味ではなく、相手のバックグラウンドや立場を知ろうとするニュアンスを含んでいます。

愛と季節の象徴

Lyrics:

It’s the time of the season
When love runs high

和訳:

それは愛が高まる季節

ここでの「Time of the Season(季節の到来)」は、単なる春や夏のことではなく、60年代の自由な愛の時代が訪れたことを示唆しています。特に、ヒッピー文化では「愛と平和」が重要なテーマであり、この曲もまたその精神を象徴しています。

親密な誘い

Lyrics:

Take you in the sun to
Promised lands
Show you everyone

和訳:

太陽の下へ君を連れて行く
約束の地へ
みんなに君を紹介するよ

ここでは、「約束の地(Promised lands)」という聖書的な表現が使われており、新しい世界や精神的な解放を示唆しています。60年代のカウンターカルチャーのムーブメントでは、精神世界や新しい共同体への憧れが強調されており、それがこの歌詞にも反映されています。

歌詞全文はこちらから確認できます。

4. 歌詞の考察

「Time of the Season」は、単なるラブソングではなく、60年代の文化的ムーブメントの象徴的な楽曲です。

この曲には、性的なニュアンスと精神的な開放が共存しており、「愛とは何か?」を問いかける要素が含まれています。「Who’s your daddy?」というフレーズがやや挑発的である一方で、「Promised lands(約束の地)」といったスピリチュアルな表現が登場し、肉体的な愛と精神的な愛の両方を描いていることが分かります。

また、サウンドの面でも、軽快なベースライン、ジャジーなドラム、幻想的なオルガンが、楽曲全体に夢幻的なムードを与えており、聴く者をトランス状態へと導くような効果を生み出しています。特に、オルガンのリフとコーラスのハーモニーは、60年代後半のサイケデリックロックの特徴を強く表しています。

5. この曲が好きな人におすすめの曲

  • “A Whiter Shade of Pale” by Procol Harum
    → バロックポップとサイケデリックな雰囲気が共通。
  • “Strawberry Fields Forever” by The Beatles
    → サイケデリックで幻想的なサウンドと哲学的な歌詞が類似。
  • “For What It’s Worth” by Buffalo Springfield
    → 60年代のカウンターカルチャーを象徴する楽曲。
  • “Sunshine Superman” by Donovan
    → ヒッピーカルチャーを代表するサイケデリック・フォーク。
  • Somebody to Love” by Jefferson Airplane
    → 愛と革命の時代を象徴するサイケデリックロックの名曲。

6. 「Time of the Season」の影響と意義

「Time of the Season」は、リリース当初はヒットしませんでしたが、後にアメリカで再評価され、60年代を象徴するサイケデリックロックの名曲となりました。また、この楽曲は多くのアーティストにカバーされ、ヒップホップやR&Bのサンプリングにも使用されるなど、ジャンルを超えた影響を与えています

幻想的でありながら官能的な歌詞、サイケデリックなサウンド、そして60年代の精神を映し出した楽曲として、「Time of the Season」は今なお時代を超えて愛され続けているのです。

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