アルバムレビュー:The Psychomodo by Steve Harley & Cockney Rebel

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※本記事は生成AIを活用して作成されています。

発売日: 1974年6月
ジャンル: アート・ロック、グラム・ロック、キャバレー・ロック


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概要

『The Psychomodo』は、Steve Harley & Cockney Rebel が1974年に発表した2作目のスタジオ・アルバムであり、前作『The Human Menagerie』で提示されたアート・キャバレー的世界観をさらに深化・爆発させた代表作である。
“Psychomodo(サイコモド)”という造語に象徴されるように、本作は心の混乱、芸術家の狂気、ロックスターとしての自意識を描いた音楽的モノローグの集合体とも言える。

プロデュースは前作に続きNeil HarrisonとSteve Harley自身が担当し、Phil Kenzie(サックス)、Andrew Powell(オーケストレーション)らを交えた編成によって、クラシカルでシアトリカル、そして時に退廃的な音像がさらに複雑化。
バンドとしての最後の純粋な“Cockney Rebel編成”でもあり、これを最後にメンバーが離脱、Harleyは実質的にソロプロジェクト化していくため、本作はバンドとしての終着点とも位置付けられる。


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全曲レビュー

1. Sweet Dreams

ワルツのようなリズムと語り調のヴォーカルで始まり、すぐさまオーケストラが炸裂。
まるで舞台の幕開けのような高揚感があり、Harleyの美学が凝縮された1曲。
“夢”が悪夢のように反転する不穏さも孕んでいる。

2. Psychomodo

タイトル曲にして、本作の精神的核。
躁と鬱、現実と幻想を行き来するような不安定な展開が、まさに“Psychomodo”の名にふさわしい。
ヴァイオリンとピアノが不協和音を生みながら、Harleyの狂気的なモノローグを支える。

3. Mr. Soft

全英シングルチャートで成功を収めた、奇妙で美しいポップソング。
メロトロンや歪んだギター、フェイクな笑い声が重なり、まるで夢の中の遊園地。
“やわらかい男”という表現に潜む皮肉と滑稽さが、Harleyらしいユーモアと不穏を共存させる。

4. Singular Band

自己言及的な内容で、バンドの特異性と孤立感を描くロックンロール。
どこかThe Kinks的な英国的語り口と、バーレスク的エンタメ感が絶妙に交差する。
演奏は意外なほどストレートでパンキッシュ。

5. Ritz

ピアノとストリングスが支配する耽美なバラード。
高級ホテル“リッツ”を舞台にした、上流階級の退屈と虚飾への風刺。
Harleyの語りと歌のあいだの声色が非常にドラマティックで、まるで舞台劇の独白のよう。

6. Cavaliers

クラシック音楽の影響を感じさせる荘厳な構成。
Harleyが好んで描く“自意識と理想のはざまで揺れる芸術家”像が全開で、詩的で映像的。
ロックというより“文学の音楽化”とすら言える。

7. Bed in the Corner

“彼女と角のベッドで”というタイトルの通り、閉塞感と親密さを描いた密室的ポップ。
どこかノエル・カワード的な英国の古典喜劇の香りもあり、歌詞とアレンジの遊び心が光る。

8. Sling It!

前曲からそのまま続く形で始まる、インストゥルメンタルとボーカルが交錯する小品。
アルバム中ではブレイクのような位置づけながら、コンセプト的には重要な転調点でもある。

9. Tumbling Down

本作のクライマックスにして、Harley最大のカタルシス。
“Who’s the daddy now?”というリフレインが繰り返される中、社会、自己、名声、愛といったテーマが音とともに崩壊し、最後は観客のざわめきのようなSEと共に消えていく。
「すべてが崩れていく」その様を、演出ではなく実演として聴かせる一曲。


総評

『The Psychomodo』は、Steve Harley & Cockney Rebelのアーティストとしてのピークであり、ロックという形式に詩と演劇、自己崩壊と風刺を融合させた知的で破滅的な快作である。
“グラム・ロック”というジャンルの中でも最も文学的・演劇的な方向に振り切った作品であり、Harleyの特異なボーカルスタイルと、Cockney Rebelという異能集団が一体化した最後の瞬間でもある。

このアルバムは、成功と孤立、創造と破壊のあいだで揺れるアーティストの葛藤を、詩と音楽と語りで描ききった希有な作品である。
決して万人向けではないが、表現における“精神の逸脱”を愛するリスナーにとって、これ以上ない芸術的快楽が詰まった一枚なのだ。


おすすめアルバム(5枚)

  1. David BowieDiamond Dogs (1974)
     ディストピア的ロンドンと自己神話化。Harleyの退廃的世界とシンクロ。

  2. Roxy Music – Stranded (1973)
     美と倒錯のアート・グラム路線。Cockney Rebelとの対比が味わえる。

  3. Peter Hammill – The Silent Corner and the Empty Stage (1974)
     精神の彷徨を描いた英国アート・ロック。Harleyと同じ詩的暴走の気配。

  4. Jobriath – Jobriath (1973)
     演劇性とグラマラスな耽美を極限まで押し出した、隠れた同志。

  5. Be-Bop Deluxe – Axe Victim (1974)
     文学的で退廃的なグラム・ロック。音楽的にも構成的にも『The Psychomodo』の近傍。


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