アルバムレビュー：The Black and White Album by The Hives

• 発売日: 2007年10月15日
• ジャンル: ガレージロック、パンクロック、オルタナティブロック

The Black and White Albumは、The Hivesの4枚目のスタジオアルバムであり、これまでのスタイルに新たな実験要素を加えた意欲作である。プロデュースには、ファレル・ウィリアムスやジャックナイフ・リー、The Hivesの常連プロデューサーであるペレ・アルムクヴィストらを迎え、ガレージロックにエレクトロやファンクの要素をミックスした新しいサウンドに挑戦している。こうした多彩なプロデュース陣とのコラボレーションにより、アルバムにはバンドの荒々しいエネルギーと、キャッチーなメロディが融合したユニークなトラックが揃っている。

The Hivesの得意とするシンプルでパワフルなガレージロックは健在だが、新しいジャンルやリズムを取り入れることで、これまでにない広がりを見せている。このアルバムは、バンドが進化し続けながらも自分たちのルーツを大切にしていることを証明しており、リスナーに驚きと楽しさを提供する作品である。

トラック解説

1. Tick Tick Boom

アルバムのリードシングルであり、The Hivesの代表曲のひとつ。爆発的なリフと力強いボーカルが印象的で、ライブでの盛り上がりも必至の一曲。キャッチーなメロディとエネルギーに満ちた演奏がリスナーを一気に引き込む。

2. Try It Again

激しいドラムとエネルギッシュなギターリフが特徴で、The Hivesらしいガレージロックが炸裂する一曲。ペレ・アルムクヴィストのボーカルが高揚感を煽り、ファンを興奮させる。

3. You Got It All… Wrong

シンプルながらも攻撃的なサウンドで、ペレのシャウトが炸裂する。短く鋭い一曲で、パンクロックの反骨精神が感じられる。

4. Well All Right!

エレクトロの影響を受けたダンサブルなリズムが特徴で、これまでのThe Hivesのサウンドとは異なる新鮮な試み。リズムとメロディの調和が心地よく、アルバムに変化をもたらしている。

5. Hey Little World

キャッチーでアグレッシブなトラックで、リズムセクションが際立っている。ペレのボーカルが曲の躍動感を引き立て、シンプルな構成ながらも強烈な印象を残す。

6. A Stroll Through Hive Manor Corridors

インストゥルメンタルのトラックで、ジャックナイフ・リーのプロデュースによる実験的なサウンド。ゴシックでミステリアスなムードが漂い、アルバムに独特の雰囲気を加えている。

7. It Won’t Be Long

ややメロウなトラックで、シンプルなギターリフが主導する。激しさの中にも落ち着きがあり、アルバムの中で一息つけるような曲調が心地よい。

8. T.H.E.H.I.V.E.S.

ファレル・ウィリアムスのプロデュースによる異色のトラック。エレクトロファンクの要素が加わり、The Hivesの新しい一面を垣間見ることができる実験的な楽曲。独特のリズムが中毒性を持ち、リスナーにインパクトを与える。

9. Return the Favour

キャッチーなギターリフとシンプルなビートが際立つ、ポップな一曲。ペレのボーカルがメロディに寄り添い、The Hivesの柔軟性を感じさせる。

10. Giddy Up!

シンプルでパンクなエネルギーが詰まったトラック。ペレのボーカルとギターリフの掛け合いが楽しく、短くも強烈なインパクトを残す。

11. Square One Here I Come

エネルギッシュで、スピーディーなビートが印象的な一曲。タイトルに込められた「出発点に戻る」というテーマが反骨精神と合わさり、The Hivesの本質を表現している。

12. You Dress Up for Armageddon

メロディアスでノスタルジックな雰囲気が漂う。少し抑えたトーンの中に、エッジの効いたリズムが織り交ぜられ、アルバム全体に深みを与えている。

13. Puppet on a String

疾走感のあるギターと、ドラムの力強いビートが印象的なトラック。タイトルの通り、誰かに操られるような焦燥感と挑戦的なボーカルが印象的。

14. Bigger Hole to Fill

アルバムのラストを飾るダイナミックなトラックで、The Hivesの力強いエネルギーが再び爆発する。パワフルなリフとリズムがアルバム全体を締めくくるにふさわしい。

アルバム総評

The Black and White Albumは、The Hivesが新しい音楽性に挑戦しながらも、彼らの荒々しさとエネルギーを維持した作品である。ファレル・ウィリアムスやジャックナイフ・リーといった異色のプロデューサーとのコラボレーションにより、エレクトロやファンク、エクスペリメンタルな要素が加わり、サウンドに幅が広がっている。シングル「Tick Tick Boom」や「Try It Again」は、The Hivesのシグネチャーとも言える攻撃的なガレージロックを体現しており、アルバム全体に一貫したパワーが感じられる。

このアルバムは、従来のファンだけでなく、新たなリスナー層にもアピールする作品であり、The Hivesが単なるガレージロックバンドにとどまらず、進化を続けるバンドであることを証明している。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚

• Elephant by The White Stripes
  シンプルで力強いガレージロックが特徴の名盤で、The Hivesファンにもおすすめ。
• St. Elsewhere by Gnarls Barkley
  エレクトロやファンクの要素を取り入れたエクスペリメンタルなサウンドが魅力。The Hivesの新しい一面に共感するリスナーにぴったり。
• Room on Fire by The Strokes
  キャッチーで洗練されたガレージロックが楽しめる一枚で、The Black and White Albumと共通するポップなエッセンスが魅力。
• In Your Honor by Foo Fighters
  力強いサウンドとエネルギッシュな楽曲が詰まったアルバムで、パワフルなロックが好きなリスナーにおすすめ。
• Sound of Silver by LCD Soundsystem
  エレクトロとロックの融合が楽しめる作品で、The Hivesの実験的な側面に響く要素が詰まっている。