発売日: 2010年8月23日
ジャンル: ニュー・レイヴ、インディーロック、サイケデリックロック
Surfing the Voidは、Klaxonsが前作Myths of the Near Futureでの成功に続き、よりサイケデリックかつヘヴィな音楽性を追求した2枚目のアルバムである。このアルバムでは、初期のダンスフロア向けサウンドに加え、スペースロックやプログレッシブロック、ハードロックの影響が強く感じられる。前作のポップでキャッチーな側面を引き継ぎつつも、より複雑で深みのあるサウンドが展開されており、エレクトロニックな要素や重厚なギターリフが全体を支配している。
プロデューサーには、アメリカの著名なプロデューサーであるロス・ロビンソンを迎え、バンドのサウンドに攻撃的なエッジが加えられた。また、宇宙やSFといったテーマが歌詞や楽曲構成に反映されており、サイケデリックでエキセントリックな世界観が際立っている。リードシングル「Echoes」は、アルバム全体の方向性を象徴する一曲であり、バンドの成長と音楽的冒険心が感じられる。Surfing the Voidは、ポップとアバンギャルドのバランスが絶妙で、独自の音楽的ヴィジョンを持つ一枚だ。
トラックごとの解説
1. Echoes
アルバムのリードシングルで、浮遊感のあるメロディと強烈なギターリフが印象的な一曲。サイケデリックなサウンドと壮大なスケール感が融合し、アルバムの世界観を象徴する。
2. The Same Space
エネルギッシュなビートと重厚なギターが特徴のトラックで、繰り返されるリフがトランス状態を誘う。SF的な歌詞が魅力的で、サイケデリックな雰囲気を強調している。
3. Surfing the Void
アルバムタイトル曲で、攻撃的なサウンドとグルーヴィーなベースラインが際立つ一曲。スピード感あふれるビートが、バンドの新しい音楽的方向性を体現している。
4. Valley of the Calm Trees
ミステリアスでダークなサウンドが印象的なナンバーで、ゆったりとしたビートと浮遊感のあるメロディが特徴。宇宙や自然といったテーマを扱い、幻想的なムードが漂う。
5. Venusia
エレクトロとロックが融合したアップビートなトラックで、キャッチーなメロディが印象的。シンセサウンドとギターリフが絡み合い、独特のエネルギーを生み出している。
6. Extra Astronomical
激しいリズムとサイケデリックなギターが主役のトラックで、スペーシーなムードが全開。未来的な歌詞と高揚感のあるメロディが融合し、ライブでも盛り上がる楽曲。
7. Twin Flames
リズミカルでエモーショナルな一曲で、宇宙的なテーマが歌詞に込められている。ダークでミステリアスなメロディが印象的で、バンドの新たな一面を感じられる。
8. Flashover
攻撃的なギターとスピーディなビートが特徴のトラックで、激しいエネルギーが全編にわたって感じられる。インストゥルメンタル部分も豊富で、サイケデリックなムードが充満している。
9. Future Memories
切ないメロディと浮遊感のあるサウンドが美しいトラック。宇宙や未来をテーマにした歌詞が詩的で、幻想的なムードが漂う。
10. Cypherspeed
アルバムのラストを飾るエネルギッシュなナンバーで、スピード感あふれるビートと攻撃的なサウンドが印象的。未来志向のテーマと大胆なアレンジが、壮大な締めくくりにふさわしい。
アルバム総評
Surfing the Voidは、Klaxonsがポップなニュー・レイヴから一歩踏み出し、よりダークでサイケデリックな音楽性を追求した作品である。ロックとエレクトロの融合を基調としつつも、サイケデリックな要素やスペースロック的なテーマが全編にわたって散りばめられており、バンドの音楽的野心が感じられる。特に「Echoes」や「Flashover」といった楽曲は、攻撃的でエネルギッシュなサウンドが特徴で、リスナーに強烈なインパクトを与える。Surfing the Voidは、Klaxonsが自らの音楽的ヴィジョンを深め、成長した姿を示した一枚であり、SF的なテーマやサウンドを愛するリスナーにとっても魅力的な作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
Congratulations by MGMT
サイケデリックロックとインディーポップが融合した作品で、幻想的で実験的なサウンドが特徴。Surfing the Voidのファンにも響く一枚。
Primary Colours by The Horrors
ダークでサイケデリックなサウンドとポストパンクの要素が詰まったアルバムで、Klaxonsの実験的な側面を気に入ったリスナーにおすすめ。
Innerspeaker by Tame Impala
サイケデリックロックの要素が強いアルバムで、エレクトロニックとロックが見事に融合している。Klaxonsのサウンドに共感するファンに最適。
Amok by Atoms for Peace
エレクトロニカとロックの要素が融合し、サイケデリックなムードが漂う一枚。壮大で緻密なサウンドが楽しめる。
Warrior on the Edge of Time by Hawkwind
スペースロックの代表作で、サイケデリックなサウンドとSF的なテーマが特徴。Klaxonsのサウンドとテーマ性が好きなリスナーにおすすめ。
コメント