アルバムレビュー：Strange Days by The Doors

発売日: 1967年9月25日
ジャンル: サイケデリックロック、アートロック

The Doorsのセカンドアルバム「Strange Days」は、デビュー作「The Doors」の成功を受けて、さらに実験的でダークなサウンドへと進化した作品である。Ray Manzarekの印象的なオルガン、Robby Kriegerの個性的なギタープレイ、John Densmoreのリズムセクション、そしてJim Morrisonの詩的でカリスマ的なボーカルが見事に融合し、サイケデリックで不穏なムードを作り出している。テクノロジーの進歩により、録音技術が向上し、バンドはより多様で実験的なサウンドを追求した。「Strange Days」は、時代の混乱や精神的な探求を反映した深遠なアルバムであり、60年代後半のサイケデリックロックの傑作とされている。

各曲ごとの解説:

1. Strange Days
   　タイトル曲「Strange Days」は、重厚なシンセサイザーと不穏なオルガンのイントロで始まり、アルバム全体のムードを象徴するようなサイケデリックな雰囲気を作り出している。Morrisonの歌詞は、疎外感や変化する時代を反映しており、奇妙でダークな世界観が漂う。
2. You’re Lost Little Girl
   　「You’re Lost Little Girl」は、静かでメランコリックなトラック。シンプルなギターリフと美しいメロディが特徴で、歌詞は自己喪失と孤独をテーマにしている。Morrisonのソフトなボーカルが曲に不思議な深みを与えている。
3. Love Me Two Times
   　ブルースの影響を色濃く受けた「Love Me Two Times」は、Kriegerのギターリフが主役となり、セクシュアルなエネルギーを放っている。軽快なリズムとキャッチーなメロディが融合し、商業的にも成功を収めた曲の一つである。
4. Unhappy Girl
   　シンプルなオルガンのメロディと浮遊感のあるアレンジが特徴の「Unhappy Girl」は、精神的な迷いをテーマにしている。曲全体に不安定なムードが漂い、Morrisonの歌詞は内面的な葛藤を反映している。
5. Horse Latitudes
   　「Horse Latitudes」は、ポエトリーリーディングのような形式で、Jim Morrisonの詩的な感性が際立つ実験的なトラック。荒れ狂う海と暴力的なイメージが描かれており、背景で響く不協和音がさらに緊張感を高めている。
6. Moonlight Drive
   　「Moonlight Drive」は、デビュー前から存在していた曲で、ミステリアスでロマンチックなムードが漂う。Kriegerのスライドギターが幻想的な雰囲気を醸し出し、Morrisonのボーカルが夜のドライブという詩的なイメージを力強く表現している。
7. People Are Strange
   　The Doorsの代表曲の一つである「People Are Strange」は、アウトサイダーや孤独感をテーマにした歌詞が印象的。Manzarekの軽やかなオルガンのメロディが、曲の奇妙なムードを際立たせ、シンプルながらも深いメッセージ性を持つ曲である。
8. My Eyes Have Seen You
   　力強いギターリフが印象的な「My Eyes Have Seen You」は、エネルギッシュなロックナンバー。Morrisonのボーカルは狂気と欲望を表現し、楽曲全体に緊張感が漂っている。
9. I Can’t See Your Face in My Mind
   　「I Can’t See Your Face in My Mind」は、夢幻的でリラックスしたサウンドが特徴。マリンバの音が不思議な雰囲気を作り出し、曲全体に神秘的で儚いムードが漂っている。
10. When the Music’s Over
    　アルバムのクライマックスを飾る「When the Music’s Over」は、11分に及ぶ壮大なサイケデリックロックの大作。Morrisonの詩的な歌詞は、音楽の力や人間の存在について深く問いかけている。曲の終盤に展開される激しいインストゥルメンタルパートは、バンドの演奏力が最大限に発揮された瞬間である。

アルバム総評:

「Strange Days」は、The Doorsがサイケデリックロックと実験的なサウンドをさらに深化させた作品である。前作「The Doors」と同様に、Jim Morrisonの詩的な歌詞とバンドの独創的なサウンドが融合し、60年代後半のカウンターカルチャーや精神的な混乱を反映している。特に「People Are Strange」や「When the Music’s Over」のような楽曲は、The Doorsの象徴的なサウンドとメッセージ性を強調しており、アルバム全体を通して統一感が感じられる。ロック史に残る名作として、現在もなお評価され続けている一枚だ。

このアルバムが好きな人におすすめの5枚:

1. Forever Changes by Love
   1967年にリリースされたサイケデリックロックの名作で、幻想的で深みのある歌詞とサウンドが「Strange Days」と共鳴する。
2. The Piper at the Gates of Dawn by Pink Floyd
   初期のPink Floydによる実験的でサイケデリックなサウンドが、「Strange Days」の精神と一致している。
3. Axis: Bold as Love by The Jimi Hendrix Experience
   サイケデリックロックとブルースが融合した作品で、Hendrixの幻想的なギタープレイがThe Doorsのサウンドを好むリスナーにおすすめ。
4. Anthem of the Sun by Grateful Dead
   The Grateful Deadの実験的なサイケデリックサウンドが、「Strange Days」のリスナーに新たな発見を与えるだろう。
5. The Velvet Underground & Nico by The Velvet Underground
   前衛的で実験的なアプローチが、「Strange Days」のダークで挑戦的なサウンドと共通しており、サイケデリックなムードが感じられる。