- 発売日: 1977年11月
- ジャンル: ブルースロック、ロック、カントリーロック
Slowhandは、エリック・クラプトンの代表作のひとつとして広く知られており、彼のニックネーム「Slowhand」をタイトルに冠した作品でもある。このアルバムは、クラプトンの熟練したギタープレイと成熟したボーカルが絶妙に融合し、彼の音楽的なピークを象徴する内容となっている。アルバムには、クラプトンの大ヒット曲「Cocaine」や「Wonderful Tonight」、そして「Lay Down Sally」など、キャリアを代表する楽曲が収録されており、ブルースロックとカントリーロックの要素が調和している。
Slowhandはプロデューサーのグリン・ジョンズとともに制作され、ミニマルで温かみのあるサウンドが特徴。クラプトンがシンプルで洗練されたアレンジを求めた結果、親しみやすくも深みのある楽曲が並んでいる。商業的にも成功を収め、クラプトンの地位を確立した一枚である。
トラック解説
1. Cocaine
J.J.ケイルの楽曲をカバーしたブルースロックの名曲で、クラプトンのギターリフが曲全体を支えている。タイトル通り、薬物依存に対する皮肉を込めた歌詞が特徴的で、キャッチーでありながら重みのある一曲。クラプトンの落ち着いたボーカルと鋭いギターが際立っている。
2. Wonderful Tonight
クラプトンの恋人パティ・ボイドに捧げられたラブバラードで、シンプルで美しいメロディとロマンチックな歌詞が印象的。クラプトンのギターソロが曲に温かみを加え、愛情がしみじみと伝わってくる。現在でもクラプトンの代表的なバラードとして多くのファンに愛されている。
3. Lay Down Sally
カントリーロックの影響が色濃く出た軽快なナンバーで、ダンサブルなリズムが特徴。クラプトンのギターとバッキングバンドがリズム感のある演奏を披露し、リスナーを楽しませる。シンプルで親しみやすいメロディが印象的で、ライブでも人気の高い一曲。
4. Next Time You See Her
リラックスした雰囲気のある楽曲で、クラプトンの柔らかいギタープレイと、シンプルな歌詞が際立っている。嫉妬や恋愛に対する複雑な感情が歌詞に表れており、エモーショナルな一面が垣間見える。
5. We’re All the Way
カントリーテイストのバラードで、愛の永続性について歌われている。穏やかなアコースティックギターが中心となり、クラプトンの落ち着いたボーカルが楽曲に優しさを添えている。シンプルながらも深みのあるバラード。
6. The Core
アルバム中で最もエネルギッシュな曲のひとつで、8分以上の長尺にわたるブルースロックナンバー。ギターソロとサックスソロが入り混じり、バンド全体が一体となってグルーヴを生み出している。クラプトンのギターが自由に鳴り響き、アルバムの中でも特に印象的。
7. May You Never
ジョン・マーティンの曲をカバーしたトラックで、友情と感謝がテーマ。クラプトンのソフトなボーカルとアコースティックギターが、楽曲に温かみを加えている。心地よく穏やかなサウンドが特徴で、シンプルながらも深い感情が伝わる。
8. Mean Old Frisco
トラディショナルなブルースナンバーで、クラプトンがそのルーツに立ち返った楽曲。ブルースの基本に忠実なギタープレイが印象的で、クラプトンのブルースに対する深い愛情が伝わる一曲。
9. Peaches and Diesel
インストゥルメンタルで、アルバムの締めくくりにふさわしい静かなトラック。穏やかなメロディが心地よく、クラプトンのギターが美しいフレーズを紡ぎ出す。シンプルで優雅なエンディングが、アルバム全体に安らぎを与える。
アルバム総評
Slowhandは、エリック・クラプトンがシンプルでメロディアスなアプローチを追求した傑作であり、彼の多面的な音楽性を存分に味わえるアルバムである。「Cocaine」「Wonderful Tonight」「Lay Down Sally」といった名曲が収録され、彼の代表作としての地位を確立している。ブルースロックを基盤にしながらも、カントリーロックやソウルの要素がうまくブレンドされ、リラックスした温かみのあるサウンドが特徴的である。グリン・ジョンズのプロデュースにより、シンプルで無駄のないアレンジが施されており、クラプトンのボーカルとギターがより親しみやすく感じられる。Slowhandは、クラプトンのキャリアにおいても特別なアルバムであり、長年にわたって愛され続けている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- 461 Ocean Boulevard by Eric Clapton
同じくクラプトンの代表作で、ブルースロックに加えてレゲエやソウルの要素が楽しめる。リラックスしたサウンドと温かみのある演奏が共通している。 - Backless by Eric Clapton
シンプルで穏やかなブルースロックのアルバムで、Slowhandの流れを引き継いだような作品。クラプトンの柔らかなボーカルとギターが楽しめる。 - Troubadour by J.J. Cale
「Cocaine」のオリジナル作曲者であるJ.J.ケイルのアルバムで、クラプトンに大きな影響を与えた。シンプルでリラックスしたサウンドが特徴。 - The Breeze: An Appreciation of JJ Cale by Eric Clapton & Friends
クラプトンがJ.J.ケイルに敬意を表して制作したトリビュートアルバムで、ケイルの楽曲がさまざまなゲストとともにカバーされている。 - Slow Train Coming by Bob Dylan
同じ1970年代後半に制作され、シンプルでスピリチュアルなメッセージが込められた作品。クラプトンの音楽に通じる落ち着いたブルースロックの雰囲気がある。
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