
発売日: 2013年3月20日
ジャンル: J-ロック、ポップパンク、パワーポップ
Rivers Cuomo、日本語で歌う——Weezer × J-POPの異色コラボ
Weezer のフロントマン Rivers Cuomo と、元 Allister のボーカリスト Scott Murphy がタッグを組んだプロジェクト Scott & Rivers。そのデビューアルバム Scott & Rivers は、全編日本語で歌われる異色のJ-ロック作品 であり、欧米アーティストによる日本語ロックアルバムとしてもユニークな試みとなっている。
Cuomo はかねてより日本文化に深い興味を持ち、日本語を学び続けていたが、このアルバムはその集大成ともいえる作品。Scott Murphy も日本での活動経験が豊富で、日本語詞の楽曲を手掛けてきたことから、この二人のコラボレーションは自然な流れだった。
本作は、Weezer のパワーポップ的エネルギーと、日本の J-POP / J-ロックのキャッチーさが融合した作品であり、日本のリスナーにも親しみやすく、英語圏のリスナーにも新鮮に響くサウンド となっている。
全曲レビュー
1. HOMELY GIRL
ポップパンク的な軽快なリズムと、キャッチーなメロディが特徴。Cuomo の日本語ボーカルは流暢で、J-POPのフィーリングを持ちながらも、Weezer の持つメロディセンスが感じられる。
2. 二人のストーリー
バラード調の楽曲で、優しく語りかけるようなメロディが印象的。日本のラブソングらしい叙情的な歌詞と、Cuomo のボーカルが意外にもマッチしている。
3. Ikenai
アップテンポでノリのいい楽曲。ポップパンクのエッセンスが強く、Allister の影響も感じられる。
4. Break Free
アルバムの中で最もロック色の強い楽曲のひとつ。ギターリフが際立ち、ライブでも盛り上がりそうなナンバー。
5. おくれてる (Okureteru)
メロウなメロディが印象的なナンバー。日本のシティポップやミドルテンポのJ-POPにも通じるエモーショナルな楽曲。
6. どんなことでも (Donna Koto Demo)
甘酸っぱい青春を感じさせるナンバー。J-ロックのエッセンスを多く含んでおり、日本のリスナーにとっても馴染みやすいメロディラインが魅力。
7. Maybe Tomorrow
タイトル通り英語混じりの歌詞だが、日本語部分の発音も自然で、日本のポップロックに違和感なく溶け込んでいる。
8. ため息のかわりに (Tameiki no Kawari ni)
アコースティックなサウンドが心地よい、シンプルで温かみのあるバラード。
9. スコットとリバースのテーマ (Scott to Rivers no Theme)
遊び心のある楽曲で、Scott & Rivers というユニットのコンセプトを伝える曲。アルバム全体のアクセント的な存在。
10. We Are Young
タイトルからも分かるように、若さをテーマにしたアンセミックな楽曲。疾走感があり、J-POPとポップパンクの融合が絶妙。
総評
Scott & Rivers は、J-POPとパワーポップの融合を実現した異色のアルバム であり、日本語で歌う Rivers Cuomo という新たな魅力を発見できる作品だ。Weezer の音楽的エッセンスを持ちながらも、日本のポップスの影響を色濃く受けており、どこか懐かしくも新鮮なサウンドに仕上がっている。
Cuomo の日本語の発音は驚くほどナチュラルで、楽曲も日本のリスナーに親しみやすいものが多い。Scott Murphy との相性も抜群で、ポップロックの軽快なサウンドと日本語詞が絶妙にマッチしている。
日本のリスナーにとっては「Weezer のフロントマンがこんなに日本語で歌えるのか!」という驚きがあり、英語圏のリスナーにとっては「J-POP風のWeezer」として楽しめるユニークな作品となっている。
おすすめのリスナー:
- J-POPと洋楽の融合に興味がある人
- Weezerのパワーポップサウンドが好きな人
- 日本語で歌う洋楽アーティストの楽曲を聴きたい人
おすすめアルバム
1. Weezer – Blue Album (1994)
Weezer の原点ともいえるアルバム。Cuomo のポップセンスが感じられる作品で、Scott & Rivers のルーツが垣間見える。
2. Allister – Last Stop Suburbia (2002)
Scott Murphy のバンド Allister の代表作。ポップパンクのエネルギーが詰まった一枚で、Scott & Rivers の原点を知ることができる。
3. Tokyo Ska Paradise Orchestra – Full Tension Beaters (2000)
日本のポップロックに影響を受けたスカサウンド。Scott & Rivers のポップな雰囲気と通じる部分がある。
4. Puffy AmiYumi – Nice (2003)
日本のポップロックと海外アーティストのコラボが楽しめる作品。Weezer の影響も感じられる。
5. Ellegarden – Eleven Fire Crackers (2006)
日本のポップパンクの代表作。Scott & Rivers の音楽と共通するポップなメロディとロックサウンドが楽しめる。
Scott & Rivers は、日本語と英語の音楽文化の架け橋となるような、独特の魅力を持つアルバムだ。J-POPとパワーポップの融合というユニークなコンセプトが、意外にも見事に機能し、日本のリスナーにも馴染みやすい作品に仕上がっている。
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