発売日: 1976年10月22日
ジャンル: パンク・ロック、アート・ロック、プロトパンク
Radio Ethiopiaは、パティ・スミスが1976年にリリースしたセカンドアルバムで、デビュー作Horsesの成功を受け、より実験的でエッジの効いたサウンドに挑戦した作品である。プロデュースは、キーボーディストのジャック・ダグラスによって行われ、スミスのバンドメンバーのエネルギッシュな演奏と彼女の詩的かつ叙情的なボーカルが一体となって、力強いロックナンバーが展開される。Radio Ethiopiaは、前作よりも荒々しく、ジャムセッションのような即興的な要素を含む曲が多いことが特徴であり、スミスの自己表現の自由とロックに対する情熱が感じられる。このアルバムは、スミスがより深くパンク・ロックに踏み込み、彼女の芸術的な探求を新たな次元へと引き上げた意欲作として評価されている。
各曲解説
- Ask the Angels
アルバムのオープニングを飾る力強いロックナンバーで、ギターのリフとスミスの挑発的なボーカルが響き渡る。パンク的なエネルギーと反抗心が詰まった一曲で、スミスの自由奔放なスタイルが全開。 - Ain’t It Strange
荒々しいギターサウンドとスミスの情熱的なボーカルが特徴的な曲。歌詞には孤独や存在についての深い洞察が込められ、詩的でダークな雰囲気が漂う。重厚なリズムが、曲の神秘的なムードを引き立てている。 - Poppies
幻想的で夢のような雰囲気が漂う一曲。スミスの詩的な歌詞が際立ち、物語を紡ぐような語り口が印象的。サウンドはサイケデリックな要素も感じさせ、スミスの詩人としての才能が光る。 - Pissing in a River
内省的で感情的なバラードで、スミスの切実なボーカルが際立つ。孤独や不安をテーマにした歌詞が胸に迫り、力強いピアノとギターが曲の深みを増している。アルバムの中でも特に感動的な一曲。 - Distant Fingers
パティ・スミスとアレン・ラニアー（ブルー・オイスター・カルト）の共作で、リラックスした雰囲気の中に憂いが漂う。メロディアスなギターが特徴的で、スミスの繊細な一面が感じられる。 - Radio Ethiopia
タイトル曲で、10分を超える長尺の実験的なナンバー。即興的な演奏とスミスの叫びや囁きが交錯し、狂気じみたエネルギーが溢れる。ジャムセッションのような構成が、彼女のアーティスティックな自由を体現している。 - Abyssinia
前曲「Radio Ethiopia」の流れを受け継ぐ形で、重いギターとリズムが曲全体を支配している。ダークでミステリアスなサウンドスケープが、聴き手を深い闇へと引き込む。 - Pumpin’ (My Heart)
リズミカルでエネルギッシュなロックンロールで、アルバムを締めくくるにふさわしい軽快なナンバー。スミスのボーカルは勢いがあり、ギターとドラムが絡み合って、楽しくも力強いエンディングを演出する。
アルバム総評
Radio Ethiopiaは、パティ・スミスが自らの音楽的ルーツを深め、より過激で実験的なアプローチを追求したアルバムである。ジャムセッションのような即興的な演奏や、荒削りなプロダクションが際立ち、スミスのロックに対する探究心と情熱が伝わってくる。タイトル曲「Radio Ethiopia」や「Abyssinia」など、インダストリアルなエッジと長尺のアートロック的な構成が、スミスの表現の幅を広げ、リスナーに挑戦的な体験を提供している。商業的には成功しなかったものの、スミスのキャリアにおいて重要な作品であり、彼女の芸術性とロックに対する情熱が溢れる一枚だ。今なお多くのリスナーに影響を与え続けるパンク・ロックの名盤として評価されている。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
The Velvet Underground – White Light/White Heat
インダストリアルなサウンドと実験的なアプローチが特徴のアルバム。Radio Ethiopiaと同様に荒々しい表現と挑戦的な音楽性が魅力。
Iggy and The Stooges – Raw Power
パンク・ロックの先駆的なアルバムで、激しいエネルギーと反抗的な精神が詰まっている。スミスの持つ荒々しさと共鳴する。
Sonic Youth – Bad Moon Rising
実験的なノイズロックを展開するソニック・ユースの代表作で、スミスの影響を受けた独特のアート性とインダストリアルな音が楽しめる。
MC5 – Kick Out the Jams
アグレッシブなパンクの元祖とも言えるアルバムで、エネルギッシュなライブ録音が特徴。スミスの激しいパフォーマンスを好むリスナーにぴったり。
Television – Adventure
パティ・スミスと同じニューヨーク・パンクシーンのテレヴィジョンによるセカンドアルバム。ギターの絡みと詩的なリリックが共鳴する。
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