発売日: 1994年6月7日
ジャンル: グランジ / オルタナティブロック
Stone Temple Pilotsのセカンドアルバム『Purple』は、1990年代のオルタナティブロックシーンを象徴する一枚として評価されている。デビュー作『Core』の成功を受けて、よりメロディックで幅広いサウンドに挑戦し、グランジの枠を超えた多様な音楽性を披露した。Scott Weilandの力強いボーカルとDean DeLeoのリフが中心となり、バンドのヘヴィさを保ちつつも、フォークやサイケデリックの要素を取り入れた曲作りが印象的。アルバムはリリース直後に大ヒットし、STPを90年代ロックのトップに押し上げた。
各曲ごとの解説:
1. Meatplow
アルバムは「Meatplow」でスタート。力強いギターリフとWeilandのボーカルが特徴のハードなロックナンバー。重厚なサウンドと暗い雰囲気を持ちながらも、メロディアスな部分も感じられ、アルバム全体のダークさを象徴するオープニングトラックとなっている。
2. Vasoline
「Vasoline」は、シングルとしてリリースされたヒット曲で、Dean DeLeoの反復的なギターリフが印象的。曲全体に疾走感があり、Scott Weilandのボーカルが痛烈なメッセージを放つ。歌詞は自己破壊や不安定な感情を描写しつつ、キャッチーなメロディでリスナーを引き込む。
3. Lounge Fly
「Lounge Fly」は、サイケデリックな要素が強いミッドテンポの曲。イントロのスライドギターと、浮遊感のあるサウンドが特徴的で、リスナーを夢幻的な世界へ引き込む。リズムセクションのグルーヴも際立っており、バンドのサウンドの多様性を示すトラックだ。
4. Interstate Love Song
「Interstate Love Song」は、STPのキャリアの中でも最大のヒット曲の一つで、キャッチーなメロディと明るめのサウンドが特徴。歌詞では裏切りや嘘をテーマにしており、Dean DeLeoのギターリフが曲全体を支える。シングルとしてリリースされ、ラジオでも大ヒットし、バンドの代表作となった。
5. Still Remains
「Still Remains」は、ロマンチックなバラードで、Weilandの感情豊かなボーカルが際立つ一曲。柔らかいギターサウンドと、静かに高まっていくメロディが印象的で、アルバムの中でも感傷的な瞬間を提供している。歌詞には愛と献身のテーマが込められている。
6. Pretty Penny
「Pretty Penny」は、アコースティックギターを主体としたフォーク色の強い楽曲。シンプルなリズムと美しいメロディが組み合わさり、アルバム全体におけるカラフルなサウンドのアクセントとなっている。バンドのより静かな側面が強調されており、多様な音楽性を示す一曲。
7. Silvergun Superman
「Silvergun Superman」は、ヘヴィでスローテンポなナンバー。力強いギターリフとエネルギッシュなボーカルが特徴で、サイケデリックな要素が加わったダークなサウンドが展開される。曲全体に渡ってダイナミックな演奏が目立ち、アルバムの中でもハードな側面を強調している。
8. Big Empty
「Big Empty」は、映画『クロウ/飛翔伝説』のサウンドトラックにも収録され、大ヒットした楽曲。ブルース的な要素を持ったギターとWeilandのメランコリックなボーカルが調和し、ゆったりとしたテンポが感情的な深みを引き出している。サビに向かって徐々に盛り上がるダイナミックな構成が魅力的だ。
9. Unglued
「Unglued」は、2分半という短い時間に詰め込まれたパワフルなロックナンバー。アップテンポでハードなリフが展開され、バンドのエネルギーが凝縮されたトラックだ。シンプルながらも迫力ある演奏で、ライブでも人気のある一曲。
10. Army Ants
「Army Ants」は、疾走感あふれるリズムと、緻密なギターリフが絡み合った楽曲。歌詞は暴力や権力への疑問を投げかけ、Weilandのボーカルが激しく叩きつけられるように展開される。アルバムの中でも特にエネルギッシュなトラックで、終盤に向けてテンションが高まる。
11. Kitchenware & Candybars
「Kitchenware & Candybars」は、アルバムの最後を締めくくるバラード。叙情的なメロディと静かなアコースティックギターが心に残る、感傷的なトラックで、Weilandの内面的な歌詞が印象的。静かに盛り上がっていく展開が、アルバム全体のテーマを総括するようなフィナーレを提供している。
アルバム総評:
『Purple』は、Stone Temple Pilotsがデビューアルバム『Core』での成功を超えて成長を見せた作品であり、彼らの音楽的な幅広さが証明された一枚である。グランジやハードロックのエッジを保ちつつ、メロディアスでより内省的な要素を取り入れたこのアルバムは、彼らの最高傑作の一つとされている。「Interstate Love Song」や「Vasoline」などのヒット曲を通して、STPのサウンドがさらに洗練され、感情的な深みが加わったことで、彼らは90年代ロックシーンのトップに立つ存在となった。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Vs. by Pearl Jam
Pearl Jamのセカンドアルバムで、グランジの力強さと内省的な歌詞が融合している。Stone Temple Pilotsの『Purple』と同様に、バンドのサウンドが成熟した作品だ。 - Superunknown by Soundgarden
サイケデリックロックとグランジが見事に融合した傑作。『Purple』のサイケデリックな要素に惹かれたリスナーには、Soundgardenのダークなサウンドもおすすめ。 - Dirt by Alice in Chains
ヘヴィなギターリフとダークな歌詞が特徴のグランジアルバム。『Purple』の暗いトーンを楽しんだリスナーには、Alice in Chainsの重厚なサウンドが響くだろう。 - Ten by Pearl Jam
グランジの名作で、感情的な歌詞とメロディックなギターが特徴。『Purple』のファンには必聴のアルバム。 - In Utero by Nirvana
Nirvanaの最後のスタジオアルバムで、グランジの荒々しさと内省的な歌詞が強く表現されている。Stone Temple Pilotsのダークな側面を楽しんだリスナーにおすすめ。
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