発売日: 2019年1月18日
ジャンル: エレクトロポップ、ファンク、インディーダンス
「Outer Peace」は、Toro y Moiの6枚目のスタジオアルバムで、Chaz Bear(本名Chazwick Bundick)がこれまで築いてきたチルウェーブやインディーポップのスタイルを進化させた作品である。このアルバムは、彼がよりダンサブルでファンキーな方向性を追求し、エレクトロポップやファンク、ハウスミュージックなど多彩な音楽スタイルを融合させている。全体的に明るく軽快なトーンが支配しており、前作「Boo Boo」よりも開放的なサウンドが特徴。テーマには、現代の生活、自己表現、テクノロジーと個人の関係性などが盛り込まれており、音楽的な実験とともにメッセージ性の強い作品となっている。
各曲ごとの解説:
- Fading
アルバムのオープニングトラック「Fading」は、アップテンポなビートとディスコの影響が感じられる一曲。シンセサウンドがリードし、軽快でリズミカルな雰囲気が漂う。歌詞は失うことや変化に焦点を当てており、アルバム全体のテーマを暗示している。 - Ordinary Pleasure
「Ordinary Pleasure」は、ファンキーなベースラインと軽快なパーカッションが際立つダンサブルな楽曲。エレクトロポップとディスコファンクの要素が融合し、心地よいリズムがリスナーを引き込む。日常のささやかな喜びを歌ったリリックが、明るいサウンドとよくマッチしている。 - Laws of the Universe
「Laws of the Universe」は、よりディスコファンクに寄ったサウンドが特徴で、シンセベースとリズムセクションが心地よく絡み合う。歌詞にはテクノロジーと現代生活への批評が込められており、Toro y Moiの鋭い視点が反映されている。 - Miss Me (feat. ABRA)
「Miss Me」は、R&BシンガーABRAをフィーチャーした楽曲で、柔らかいリズムと滑らかなボーカルが美しく調和している。Chaz Bearのミニマルなアレンジと、ABRAの感情的なボーカルが織りなすコントラストが魅力。 - New House
「New House」は、より内省的なトラックで、静かなビートと落ち着いたシンセサウンドが特徴。歌詞は、自己表現と物質的な生活への欲望との間で葛藤する心情を描写しており、アルバム全体に深みを与えている。 - Baby Drive It Down
リズミカルでメロディアスな「Baby Drive It Down」は、ファンキーなベースラインが楽曲を引っ張る。軽快なテンポの中にも、現代生活への鋭い観察が込められており、リズムとメッセージ性が両立した一曲。 - Freelance
アルバムのリードシングル「Freelance」は、ファンキーでエレクトロなビートが特徴的な楽曲。現代のフリーランスワーカーの自由とプレッシャーを描いた歌詞が、軽やかなシンセサウンドとともに響く。リズミカルなベースとシンセのフレーズが、ダンサブルなエネルギーを生み出している。 - Who I Am
「Who I Am」は、Toro y Moiのポップサイドが強調されたキャッチーなトラック。メロディが中心に置かれ、自己のアイデンティティに関するテーマが歌われている。シンセポップ的なアレンジと、軽やかなリズムが特徴。 - Monte Carlo (feat. WET)
エレクトロニカ的なサウンドが強調された「Monte Carlo」は、WETの参加によってメロディが一層引き立っている。リズミカルなビートに浮遊感のあるボーカルが重なり、幻想的で夢見心地な雰囲気を生み出している。 - 50-50 (feat. Instupendo)
アルバムのラストを飾る「50-50」は、ミニマルでダークなエレクトロニカトラック。Instupendoとのコラボレーションにより、アンビエント的な雰囲気が強調され、アルバムを静かに締めくくる。
アルバム総評:
「Outer Peace」は、Toro y Moiがこれまでのチルウェーブやインディーポップから進化し、エレクトロポップやファンク、ディスコなど多様なスタイルを大胆に融合させた作品である。リズミカルで軽快なトラックが多く、現代の社会や個人の葛藤をテーマにしつつも、明るく心地よいサウンドが展開されている。「Freelance」や「Ordinary Pleasure」など、ダンサブルでキャッチーなトラックがアルバム全体を引き締め、Chaz Bearの音楽的な柔軟さと成長を感じさせる一枚だ。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚:
- Awaken, My Love! by Childish Gambino
ファンキーでソウルフルな要素が強く、「Outer Peace」と同様にダンサブルでリズミカルなサウンドが楽しめる。 - Everything Is Recorded by Everything Is Recorded
エレクトロニカとファンク、R&Bの要素が融合した作品で、Toro y Moiの洗練されたサウンドに近いものが感じられる。 - Currents by Tame Impala
サイケデリックとポップが融合したモダンサウンドで、エレクトロポップの要素が「Outer Peace」と共通する。 - Honey by Robyn
ダンサブルなシンセポップの傑作で、キャッチーなメロディと心地よいリズムがToro y Moiのスタイルに通じる。 - It Is What It Is by Thundercat
ソウルフルでファンキーなベースラインと、現代的なリズムが特徴で、「Outer Peace」のファンにも響く豊かなグルーヴが楽しめる。
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