- 発売日: 1975年6月10日
- ジャンル: ロック、カントリーロック、ソフトロック
One of These Nightsは、Eaglesの4枚目のアルバムであり、バンドがサウンドをより洗練させ、大きな商業的成功を収めた作品である。このアルバムでは、ドン・ヘンリーとグレン・フライのソングライティングがさらに深みを増し、ソウルやディスコの影響を取り入れた楽曲も含まれている。タイトル曲「One of These Nights」や、叙情的な「Lyin’ Eyes」など、バンドのメロディーセンスとコーラスワークがこれまで以上に引き立ち、70年代のアメリカンロックの代名詞とも言えるアルバムに仕上がっている。
また、このアルバムを最後にギタリストのバーニー・レドンがバンドを脱退することになるため、Eaglesにとってはひとつの転換点でもある。本作は、複雑なアレンジとバンドの多面的な音楽性が融合したもので、カントリーロックの枠を超えて新しい音楽的領域に挑戦している。
トラック解説
1. One of These Nights
アルバムのタイトル曲であり、最も成功したシングルのひとつ。ファンキーなベースラインとソウルフルなボーカルが印象的で、ディスコやR&Bの影響が感じられる。ドン・ヘンリーのボーカルが力強く、エモーショナルなリフレインが心に響く。
2. Too Many Hands
バーニー・レドンとランディ・マイズナーが共作した楽曲で、マイズナーがリードボーカルを担当。カントリーロックとロックが融合したアップテンポの曲で、アコースティックギターとエレクトリックギターのハーモニーが美しい。
3. Hollywood Waltz
ゆったりとしたテンポのバラードで、ロサンゼルスの儚い夢と現実をテーマにしている。バーニー・レドンのスティールギターが曲に哀愁を与え、ヘンリーのボーカルが叙情的に響く。ハーモニーが特に印象的で、都会と孤独を感じさせる。
4. Journey of the Sorcerer
インストゥルメンタルで、バーニー・レドンが作曲した大作。バンジョーやオーケストレーションを取り入れ、神秘的でプログレッシブなサウンドが特徴。サイエンスフィクションやファンタジーを思わせる、Eaglesの楽曲の中でも異色のトラック。
5. Lyin’ Eyes
Eaglesの代表的なバラードで、都会の女性の切ない恋愛と二重生活を描いた名曲。グレン・フライがリードボーカルを務め、哀愁漂うメロディと素朴なギターの響きが印象的。歌詞のストーリーテリングが優れており、バンドの名バラードとして多くのリスナーに愛されている。
6. Take It to the Limit
ランディ・マイズナーがリードボーカルを担当する、ドラマチックでエモーショナルな楽曲。オーケストラのような壮大なアレンジと、美しいコーラスワークが特徴的で、人生の挑戦や限界をテーマにした歌詞が心に響く。特にサビでのマイズナーのボーカルが圧巻。
7. Visions
ドン・フェルダーが唯一リードボーカルを担当する楽曲で、彼がバンドのために書き下ろしたロックナンバー。重厚なギターリフが曲全体を引き立て、エネルギッシュでブルージーなサウンドが際立っている。
8. After the Thrill Is Gone
ヘンリーとフライの共作で、恋愛や成功が過ぎ去った後の空虚さを歌うバラード。落ち着いたメロディとリリックが成熟した感情を反映しており、バンドのハーモニーが楽曲に深みを与えている。
9. I Wish You Peace
アルバムの最後を飾る穏やかなバラードで、バーニー・レドンとパティ・デイヴィスの共作。リラックスしたアコースティックサウンドと静かなハーモニーが、心地よい余韻を残す。レドンのバンドへの別れのメッセージとも捉えられる。
アルバム総評
One of These Nightsは、Eaglesが新しい音楽的な挑戦を取り入れ、より成熟したサウンドを確立した作品である。ファンキーな要素を持つタイトル曲や、都会的な哀愁を感じさせる「Lyin’ Eyes」、壮大な「Take It to the Limit」など、バンドの幅広い音楽性が反映されている。バーニー・レドンの最後の参加作としても注目されており、彼のバンジョーやスティールギターが楽曲に独自の味わいを加えている。本作は、70年代のアメリカンロックを象徴する一枚であり、Eaglesの黄金期を象徴する傑作である。
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