
発売日: 1994年3月22日
ジャンル: オルタナティブ・ロック、ポストグランジ
カナダ発のオルタナティブロック——Our Lady Peaceの衝撃的デビュー作
1994年にリリースされたNaveedは、カナダのオルタナティブ・ロックバンドOur Lady Peace(OLP)のデビューアルバムであり、彼らのキャリアを決定づけた作品である。本作は、90年代初頭のグランジムーブメントの影響を受けながらも、独特のサイケデリックな雰囲気やメロディアスなアレンジが際立つアルバムとなっている。
ボーカルのレイン・メイダ(Raine Maida)の独特な声と、不安定でエモーショナルな歌い回しがバンドのアイデンティティを確立し、ヘヴィなギターリフとメロディアスな要素を融合させたサウンドが、当時のオルタナティブ・ロックシーンの中でも異彩を放っていた。
シングル「Starseed」は本作の代表曲として広く知られ、カナダ国内のみならずアメリカでも成功を収めた。また、タイトル曲「Naveed」もバンドのライブで定番となり、Our Lady Peaceのサウンドの原点として現在も評価されている。
全曲レビュー
1. The Birdman
アルバムのオープニングを飾る、ヘヴィなギターリフと浮遊感のあるボーカルが印象的な楽曲。曲の構成が独特で、突然のテンポチェンジや不協和音的なギターフレーズが、OLPの持つ実験的な側面を強調している。
2. Supersatellite
ダイナミックなリズムとリフが特徴的なナンバー。レイン・メイダのヴォーカルが楽曲全体に緊張感を与え、サビではメロディアスな展開へとシフトする。ポストグランジ的な雰囲気を持ちながらも、どこかサイケデリックな要素も感じられる。
3. Starseed
本作の代表曲であり、OLPの初期を象徴する名曲。ヘヴィでドライブ感のあるギターリフが印象的で、サビでのエモーショナルな盛り上がりが魅力。カナダ国内で大ヒットし、アメリカでも成功を収めた。バンドのライブでは欠かせない楽曲となっている。
4. Hope
アコースティックギターを中心にしたシンプルな楽曲。OLPの持つ叙情的な側面が強調され、メイダのボーカルの繊細な表現力が際立つ。アルバムの中で一息つけるような曲。
5. Naveed
タイトル曲であり、バンドの初期を代表する重要な楽曲。イントロのヘヴィなギターリフと、ダークな雰囲気が特徴的。歌詞のテーマは戦争や自己犠牲に関するものであり、OLPの社会的なメッセージ性が垣間見える。後半のギターソロも印象的。
6. Dirty Walls
不穏な雰囲気を持つミディアムテンポの楽曲。ギターのアルペジオとメイダの不安定な歌唱が、楽曲に独特の緊張感を与えている。サビではエモーショナルな爆発があり、バンドの持つダイナミクスが生かされている。
7. Denied
アップテンポな楽曲で、アルバムの中でも比較的ストレートなロックソング。シンプルなリフとキャッチーなメロディが特徴で、90年代のオルタナティブ・ロックらしい一曲。
8. Is It Safe?
スローテンポの楽曲で、OLPの持つダークでメランコリックな側面が表現されている。歌詞の内容も内省的で、メイダのボーカルが楽曲に深みを与えている。
9. Julia
美しいギターフレーズとエモーショナルなボーカルが融合した楽曲。アルバムの中でも最も感傷的なトラックの一つで、バンドの繊細な側面が感じられる。
10. Under Zenith
ダークな雰囲気を持つ楽曲で、ギターのアルペジオと歪んだリフが交錯する独特の構成。90年代オルタナティブ・ロックの要素を色濃く反映した一曲。
11. Neon Crossing
アルバムの最後を締めくくる楽曲で、静かに始まりながらも、徐々に壮大な展開へと向かう。エモーショナルなボーカルとヘヴィなギターが印象的なフィナーレ。
総評
Naveedは、Our Lady Peaceのデビュー作として、90年代オルタナティブ・ロックの流れの中で異彩を放つ作品である。グランジやポストグランジの影響を受けながらも、独特なボーカルスタイルとサイケデリックな雰囲気を融合させたOLP独自のサウンドが確立されている。
特に「Starseed」や「Naveed」といった楽曲は、現在もバンドのライブセットリストに残り、OLPの原点として高く評価されている。レイン・メイダの唯一無二のヴォーカル、ヘヴィでありながらメロディックなギター、そして内省的な歌詞が、アルバム全体を通して一貫している。
90年代のオルタナティブ・ロックが好きなリスナーにはもちろん、Pearl JamやSoundgarden、Bushなどのバンドが好きな人にも強くおすすめできるアルバムである。
おすすめアルバム
- Our Lady Peace – Clumsy (1997)
- より洗練されたサウンドと、エモーショナルな楽曲が詰まったバンドの代表作。
- Pearl Jam – Ten (1991)
- グランジとメロディアスなロックを融合させた名盤。OLPと共通するエモーショナルな要素がある。
- Soundgarden – Superunknown (1994)
- ヘヴィでサイケデリックな要素を持つオルタナティブ・ロックの金字塔。
- Live – Throwing Copper (1994)
- 90年代オルタナティブ・ロックの名盤。内省的な歌詞とエモーショナルなボーカルが特徴。
- Bush – Sixteen Stone (1994)
- ポストグランジの代表作。OLPと同じ時代のオルタナティブ・ロックサウンドを体感できる。
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