- 発売日: 2012年6月
- ジャンル: インディーロック、ドリームポップ、シューゲイザー
Exloversのデビューアルバム「Moth」は、バンドの持つドリーミーでメランコリックなサウンドを余すところなく表現した一枚で、ポップでありながらもどこか儚さを感じさせる音楽が特徴である。彼らはこのアルバムで、透き通るようなメロディと、男女のハーモニーを重ねたボーカル、そしてシューゲイズ的なギターレイヤーをうまく融合させ、Exlovers独自のサウンドを完成させている。
本作には、青春期の恋や失恋、孤独感といったテーマが綴られ、ノスタルジックな雰囲気が漂っている。バンドは、My Bloody ValentineやThe Pains of Being Pure at Heartからの影響を感じさせながらも、彼ら独自のメロディアスなインディーポップサウンドでリスナーを引き込んでいく。「Moth」は、Exloversの音楽の成熟を示し、彼らの瑞々しい感性が詰まった一枚である。
トラック解説
1. Starlight, Starlight
アルバムのオープニングを飾るトラックで、軽やかで耳に残るギターメロディが印象的。青春時代の甘く切ない感情を思い起こさせるようなサウンドが心地よく、アルバムの幕開けにふさわしい一曲。
2. This Love Will Lead You On
恋愛における希望と不安が織り交ぜられたナンバー。ギターのリフとミドルテンポのビートが調和し、優しさと儚さが共存するサウンドが特徴的である。歌詞には、愛が持つ不安定さが表現されている。
3. Emily
軽やかなメロディが切なく響く、ノスタルジックな一曲。Emilyという人物への淡い想いが歌われており、シンプルながらも心に残る歌詞とメロディが秀逸。Exloversの持つポップなセンスが感じられる。
4. Just a Silhouette
過去のEPにも収録されていたトラックで、軽快なギターと淡々としたボーカルが特徴的。恋愛の淡い感情と切なさを歌い上げる歌詞が、Exloversらしい夢見るようなサウンドとマッチしている。
5. Unlovable
失恋や愛の喪失をテーマにした切ない楽曲で、タイトルが示す通り、愛されない苦しみを表現している。淡々としたボーカルとメランコリックなギターメロディが、楽曲全体に哀愁を漂わせている。
6. Blowing Kisses
恋人への愛情をシンプルに表現したトラックで、メロディックなギターが心に残る。軽やかで親しみやすい曲調が、リスナーに心地よさをもたらし、Exloversの優しさが感じられる一曲。
7. I Wish We’d Never Met
ノスタルジックでセンチメンタルなテーマを持つ一曲。過去の恋愛への後悔や切なさを歌い上げており、ギターのアルペジオと男女のボーカルが美しく調和している。Exloversの叙情的な側面が際立つ。
8. Moth-Eaten Memories
アルバムのタイトルに通じる曲で、消えかけた記憶や過去への執着を描いている。タイトル通り、少しずつ失われていく記憶と、それに伴う感情がメロディと歌詞に反映されている。儚くも美しい一曲。
9. The Ruins
EP『You Forget So Easily』にも収録されていたトラックで、失われたものへの追憶をテーマにしている。Exloversの持つ繊細なサウンドが曲全体に広がり、優しさと哀愁が心に残る。
10. You’re So Quiet
アルバムの締めくくりにふさわしい、静かでエモーショナルなバラード。穏やかなメロディとリリックが余韻を残し、Exloversの感情表現の豊かさを感じさせる。
アルバム総評
「Moth」は、Exloversが持つドリーミーで儚いサウンドを最大限に引き出した作品であり、彼らのインディーポップやシューゲイズの影響が色濃く反映されている。青春の甘酸っぱさや恋愛の痛みといった普遍的なテーマを、シンプルで親しみやすいメロディと繊細なリリックで表現しており、リスナーに共感とノスタルジアをもたらす。Exloversのデビューアルバムとして、彼らの音楽性を存分に感じられる一枚であり、ドリームポップやシューゲイズファンには特におすすめの作品である。
このアルバムが好きな人におすすめの5枚
- In the Court of the Wrestling Let’s by Let’s Wrestle
ローファイなインディーポップと切ない歌詞がExloversに通じるものがある。青春と恋愛のテーマが共通しており、淡いメロディが魅力。 - Belong by The Pains of Being Pure at Heart
シューゲイズやインディーロックの要素を持ち、ノスタルジックでメロディアスなサウンドが特徴。Exloversのファンに響く作品。 - Teen Dream by Beach House
ドリーミーで幻想的なサウンドが楽しめる一枚。Exloversの浮遊感あるメロディと共通する部分が多く、静かな感動を与えてくれる。 - Yuck by Yuck
シューゲイズとオルタナティブロックの影響を受けたアルバムで、Exloversのローファイサウンドに似たレトロな雰囲気が感じられる。 - Primary Colours by The Horrors
シューゲイズやポストパンクの要素を取り入れたアルバムで、幻想的でダークなサウンドが特徴。Exloversの音楽に共通する美しいギターが楽しめる。
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