
発売日: 2005年8月10日
ジャンル: ポップロック、ティーンポップ、ダンスポップ
ベスト盤+新曲で魅せる進化—Hilary Duffの音楽的ターニングポイント
2005年にリリースされたMost Wantedは、Hilary Duffのキャリアを総括するベストアルバム的な位置付けの作品でありながら、複数の新曲やリミックスが収録され、彼女の音楽スタイルの変遷と進化を感じさせる作品となっている。
本作は、前作Hilary Duff(2004年)までの代表曲をまとめつつ、新曲やリワークされたトラックを追加し、ポップロックからダンス寄りの要素を取り入れたことで、Duffの次なる方向性を示唆する重要なアルバムとなった。プロデューサーには、Joel Madden(Good Charlotte)、The Matrix、Max Martinといったポップロック/ポップシーンのトップクリエイターたちが関わり、よりモダンで洗練されたサウンドが特徴的。
全曲レビュー
1. Wake Up
アルバムのリードシングルであり、新曲の中でも特に注目された楽曲。ポップロックとダンスポップを融合させたキャッチーなメロディが特徴で、「Wake up, wake up on a Saturday night」と始まるフレーズが印象的。歌詞は、忙しい日常を忘れて楽しもうという前向きなメッセージを持つ。
2. The Getaway
前作Hilary Duffに収録されていた楽曲の再録バージョン。エレクトリックギターを活かしたポップロックサウンドが、アルバム全体の流れを引き締める。恋愛の悩みから逃げ出したいというテーマが描かれた楽曲。
3. Beat of My Heart
Joel Madden(Good Charlotte)がプロデュースを手掛けた新曲。ダンサブルなビートとシンプルなメロディが特徴で、Duffの新たな音楽スタイルへの移行を感じさせる。「The beat of my heart, the beat of my heart」というリフレインがキャッチー。
4. Come Clean (Remix 2005)
2003年のMetamorphosisに収録された代表曲のリミックス版。オリジナルの透明感のあるバラード調から、よりクラブ向けのアレンジに変更されている。MTVのリアリティ番組『Laguna Beach』のテーマソングとして再び話題となった。
5. Who’s That Girl?
前作Hilary Duffからの楽曲。ミステリアスなムードを持つポップロックナンバーで、アルバムのバランスを取るアクセントとなる一曲。
6. Mr. James Dean
同じく前作からの収録曲。クールなギターリフとポップなメロディが特徴的で、Duffのポップロック路線を象徴する楽曲のひとつ。
7. So Yesterday
2003年のヒット曲であり、Duffの代表曲のひとつ。失恋をテーマにした楽曲だが、前向きな歌詞と軽快なギターサウンドが印象的。
8. Metamorphosis
タイトルの通り、Duffの「変身」を象徴する楽曲。ポップロックとダンスの要素がミックスされており、彼女のキャリアの中で重要な位置を占める。
9. Rock This World (Remix 2005)
前作の楽曲をよりエッジの効いたリミックスに仕上げたバージョン。ギターのアレンジが強調され、ライブパフォーマンス向けのエネルギッシュな雰囲気を持つ。
10. Break My Heart
新曲のひとつで、エモーショナルなバラード。Duffのボーカルが際立ち、より成熟した音楽性を感じさせる。失恋の痛みを歌った楽曲で、アルバム全体のバランスを取る役割を果たす。
11. Jericho (Remix 2005)
オリジナルのロックサウンドにダンスビートを加えたリミックス。オリジナルよりもグルーヴィーな仕上がりになっており、クラブでも映えるようなアレンジが施されている。
12. Fly
前作のリードシングルで、自己肯定と勇気をテーマにした力強いポップロックバラード。アルバムのラストに配置され、Duffのメッセージを締めくくる役割を果たしている。
総評
Most Wantedは、単なるベストアルバムではなく、Hilary Duffの音楽キャリアにおける転換点を示す作品となった。新曲やリミックスが多く収録され、ポップロックからダンスミュージックへの移行を予感させる内容になっている。
また、プロデューサー陣にはGood CharlotteのJoel MaddenやThe Matrixといったロック寄りのアーティストが参加しつつ、Max Martinなどのポップ・プロデューサーの影響も感じられる。これにより、ポップロックとダンスポップのバランスが取れた作品となった。
商業的にも成功を収め、Billboard 200で1位を獲得し、Hilary Duffの人気をさらに確固たるものにした。2000年代のティーンポップシーンを代表する一枚であり、彼女がポップアイドルからより成熟したアーティストへと進化する過程を記録したアルバムとしても重要な作品である。
おすすめアルバム
- Ashlee Simpson – I Am Me (2005)
- Duffのロック寄りのアプローチと共通するサウンドを持つ作品。
- Avril Lavigne – The Best Damn Thing (2007)
- ポップロックとダンスポップを融合させたスタイルが、Duffの本作と共鳴する。
- Kelly Clarkson – All I Ever Wanted (2009)
- ロックとポップの要素をバランスよく取り入れたアルバム。
- Britney Spears – In the Zone (2003)
- ポップアイドルからよりダンサブルな方向へ進化した作品として、本作と比較すると面白い。
- Lindsay Lohan – Speak (2004)
- 同時期に活躍した女優兼シンガーの作品で、Duffのポップロック路線と似た要素を持つ。
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- 同時期に活躍した女優兼シンガーの作品で、Duffのポップロック路線と似た要素を持つ。
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